卓越した設置性にも注目
JVCの独自技術により4K対応を実現 ー D-ILAプロジェクター「DLA-X70R」をレビュー
JVCの独自技術「e-shift」による4K映像を実現したD-ILAプロジェクター「DLA-X70R」のレビューを鴻池賢三氏がレポートする。
「e-Shift」技術によりフルHDを超える映像の世界を実現
本機はJVC独自の1920x1080の画素を持つD-ILAデバイスをベースに、JVCケンウッドと日本放送協会(NHK)、(財)NHKエンジニアリングサービスが小型スーパーハイビジョン用プロジェクターのために共同開発した、画素ずらしによって高精細化を行う「e-Shift」技術を家庭用プロジェクターに応用。新規に開発したe-shiftデバイスを加え、4K相当の表示を可能にした点で新しい。e-shiftとは、光学的に画素をズラして解像度を高めるというユニークなアイデアで、製品の大きさやコストを抑えられるなどのメリットも併せ持つ。
その他の特徴は前モデルを踏襲するが、3D関連では独自のアルゴリズムに基づくクロストークキャンセル機能、各人の目と目の間隔や立体感の好みに対応する視差調整機能、JVCが得意とし放送局でも使用されている高度な2D/3D変換アルゴリズムを家庭用にチューニングした映像処理機能が加わり、3Dプロジェクターとしても磨きがかかっている。同じく4K対応の上位機「DLA-X90R」に対しては、映像のオートキャリブレーション機能と最大コントラスト性能以外は同等で、いま最もリーズナブルな価格で4K画質が楽しめる注目モデルである。
流石の4K画質 − 卓越した設置性もポイント
まず、本機でポイントとなる4K画質を、ブルーレイ映画「英国王のスピーチ」でチェックした。画質を評価する上では、4K解像度の持つ密度に加え、2Kから4Kへのアップスケーリング品質が肝となる。過去、DVD映画をフルHDディスプレイで見ると、ピンボケのように感じた経験はないだろうか?解像度向上の恩恵を得るためには、優れた映像処理技術も大切なのだ。
話を4K画質に戻すと、その映像にはピンボケ感どころか、前モデルである「DLA-X7」がピンボケに見えてしまうほどの解像感に圧倒された。これば単に細部が良く見えるという意味ではなく、例えば瞳の輝きや、ガラスに映る風景などに注目すると、キラリとした光沢感が感じられ、映像全体がリアリティを増す。
シャープな映像は硬い画と捉えられがちだが、本機では背景など焦点の合っていない部分や被写体の曲面も輪郭を感じさせず柔らかく描き出し、総じて質感と立体感に富む。これは本機に搭載される超解像機能の効用であるが、その効き目は調整可能なので、作品や好みによって最適レベルを探るのも面白い。また、4Kの良さは、大画面を間近で鑑賞しても画素が目だたず、スクリーンで視野を覆うような超大画面ファンにもメリットがある。
本機の特徴としては、画質だけでなく、設置性にも繊細な配慮がなされている点に注目したい。レンズは電動仕様で高倍率の2倍ズーム、上下80%および左右34%のレンズシフトが可能で、設置位置を柔軟に検討する事ができる。また、新しく採用されたレンズメモリー機能は、ズーム、フォーカス、レンズシフトの組み合わせを3つまで登録でき、ビスタサイズとシネスコサイズをワンタッチで呼び出して切り換えできる。ワイドなシネスコサイズのスクリーンを活用するのに高価なアナモフィックレンズを使う必要がない。動作の精度も高く、画角変更による投射位置のズレもごく僅かで実用的な機能だ。
本機は従来モデルに近い価格で4K投写を可能にしたアイデアと技術力が素晴らしい。画質だけでなく、レンズシフトやレンズメモリーなど、設置面での機能性も、世界のハイエンド市場を牽引してきたJVCならではの充実ぶりだ。4Kに興味のあるユーザーは必見のモデルと言える。
【SPEC】●表示デバイス:フルハイビジョン対応D-ILA デバイス ●パネルサイズ:フルHD 0.7インチ×3(16:9) ●表示解像度:3840×2160 ●レンズ:2倍電動ズーム・フォーカスレンズ ●レンズシフト:上下80%、左右34% ●光源ランプ:220W超高圧水銀ランプ ●輝度:1,200lm ●コントラスト:80,000対1 ●ビデオ入力端子:HDMI×2、コンポーネント1、PC入力1、トリガー端子、RS-232C、LAN端子、リモート端子、3Dシンクロ ●騒音レベル:20dB(ランプ標準モード時) ●消費電力:360W(スタンバイ時0.8W) ●外形寸法:455W×179H×472Dmm ●質量:15.4kg ●問い合わせ先:JVCケンウッド カスタマーサポートセンターTEL/0120-2727-87
◆筆者プロフィール 鴻池賢三
THXISF認定ホームシアターデザイナー。ISF認定映像エンジニア。AV機器メーカー勤務を経て独立。現在、AV機器メーカーおよび関連サービスの企画コンサルタント業を軸に、AV専門誌、WEB、テレビ、新聞などのメディアを通じてアドバイザーして活躍中。2009年より(社)日本オーディオ協会「デジタルホームシアター普及委員会」委員/映像環境WG主査。
「e-Shift」技術によりフルHDを超える映像の世界を実現
本機はJVC独自の1920x1080の画素を持つD-ILAデバイスをベースに、JVCケンウッドと日本放送協会(NHK)、(財)NHKエンジニアリングサービスが小型スーパーハイビジョン用プロジェクターのために共同開発した、画素ずらしによって高精細化を行う「e-Shift」技術を家庭用プロジェクターに応用。新規に開発したe-shiftデバイスを加え、4K相当の表示を可能にした点で新しい。e-shiftとは、光学的に画素をズラして解像度を高めるというユニークなアイデアで、製品の大きさやコストを抑えられるなどのメリットも併せ持つ。
その他の特徴は前モデルを踏襲するが、3D関連では独自のアルゴリズムに基づくクロストークキャンセル機能、各人の目と目の間隔や立体感の好みに対応する視差調整機能、JVCが得意とし放送局でも使用されている高度な2D/3D変換アルゴリズムを家庭用にチューニングした映像処理機能が加わり、3Dプロジェクターとしても磨きがかかっている。同じく4K対応の上位機「DLA-X90R」に対しては、映像のオートキャリブレーション機能と最大コントラスト性能以外は同等で、いま最もリーズナブルな価格で4K画質が楽しめる注目モデルである。
流石の4K画質 − 卓越した設置性もポイント
まず、本機でポイントとなる4K画質を、ブルーレイ映画「英国王のスピーチ」でチェックした。画質を評価する上では、4K解像度の持つ密度に加え、2Kから4Kへのアップスケーリング品質が肝となる。過去、DVD映画をフルHDディスプレイで見ると、ピンボケのように感じた経験はないだろうか?解像度向上の恩恵を得るためには、優れた映像処理技術も大切なのだ。
話を4K画質に戻すと、その映像にはピンボケ感どころか、前モデルである「DLA-X7」がピンボケに見えてしまうほどの解像感に圧倒された。これば単に細部が良く見えるという意味ではなく、例えば瞳の輝きや、ガラスに映る風景などに注目すると、キラリとした光沢感が感じられ、映像全体がリアリティを増す。
シャープな映像は硬い画と捉えられがちだが、本機では背景など焦点の合っていない部分や被写体の曲面も輪郭を感じさせず柔らかく描き出し、総じて質感と立体感に富む。これは本機に搭載される超解像機能の効用であるが、その効き目は調整可能なので、作品や好みによって最適レベルを探るのも面白い。また、4Kの良さは、大画面を間近で鑑賞しても画素が目だたず、スクリーンで視野を覆うような超大画面ファンにもメリットがある。
本機の特徴としては、画質だけでなく、設置性にも繊細な配慮がなされている点に注目したい。レンズは電動仕様で高倍率の2倍ズーム、上下80%および左右34%のレンズシフトが可能で、設置位置を柔軟に検討する事ができる。また、新しく採用されたレンズメモリー機能は、ズーム、フォーカス、レンズシフトの組み合わせを3つまで登録でき、ビスタサイズとシネスコサイズをワンタッチで呼び出して切り換えできる。ワイドなシネスコサイズのスクリーンを活用するのに高価なアナモフィックレンズを使う必要がない。動作の精度も高く、画角変更による投射位置のズレもごく僅かで実用的な機能だ。
本機は従来モデルに近い価格で4K投写を可能にしたアイデアと技術力が素晴らしい。画質だけでなく、レンズシフトやレンズメモリーなど、設置面での機能性も、世界のハイエンド市場を牽引してきたJVCならではの充実ぶりだ。4Kに興味のあるユーザーは必見のモデルと言える。
【SPEC】●表示デバイス:フルハイビジョン対応D-ILA デバイス ●パネルサイズ:フルHD 0.7インチ×3(16:9) ●表示解像度:3840×2160 ●レンズ:2倍電動ズーム・フォーカスレンズ ●レンズシフト:上下80%、左右34% ●光源ランプ:220W超高圧水銀ランプ ●輝度:1,200lm ●コントラスト:80,000対1 ●ビデオ入力端子:HDMI×2、コンポーネント1、PC入力1、トリガー端子、RS-232C、LAN端子、リモート端子、3Dシンクロ ●騒音レベル:20dB(ランプ標準モード時) ●消費電力:360W(スタンバイ時0.8W) ●外形寸法:455W×179H×472Dmm ●質量:15.4kg ●問い合わせ先:JVCケンウッド カスタマーサポートセンターTEL/0120-2727-87
◆筆者プロフィール 鴻池賢三
THXISF認定ホームシアターデザイナー。ISF認定映像エンジニア。AV機器メーカー勤務を経て独立。現在、AV機器メーカーおよび関連サービスの企画コンサルタント業を軸に、AV専門誌、WEB、テレビ、新聞などのメディアを通じてアドバイザーして活躍中。2009年より(社)日本オーディオ協会「デジタルホームシアター普及委員会」委員/映像環境WG主査。