HD 650との比較試聴も
【レビュー】SHURE初の開放型ヘッドホン「SRH1840」を聴く
ドライバーは40mm径で、振動板素材はマイラー。振動板に求められる諸特性を十分に満たして加工性も良好と、扱いやすい樹脂素材だ。
そして、ドライバーフレームのセンターポールピースの通気孔、ドライバー背面のダンパースクリーンによって、空気の流れや圧力を調整。ドライバーを滑らかに一定に駆動できるようにしている。さらにドライバーは左右の特性を揃えて搭載。より正確なステレオ再生のための重要ポイントだ。
視点を外側に移そう。SHUREヘッドホン従来機のルックスは、ネットの反応などを見ると好みが分かれていたところだ。プロ機らしいゴツさや質感など、仕上げにさほど気を遣われていないような印象を受けていた方も多いようだ。
しかし本機では、ヨークとヘッドバンドのシンプルでスマートなライン。ステンレス製のグリルも渋い質感で全体を引き締めている。このクラシカルとも言える雰囲気は、多くの方にとって魅力的だろう。ヘッドバンドとハウジングをつなぐヨークの部分の材質は、軽量で頑丈な航空機グレードのアルミ合金。その仕上げの質感も美しい。
ただ金属部分、ヨークとグリルの質感が良すぎて、ハウジングなどプラスチックの部分との落差は少し気になった。さらに欲を言えば、ヘッドバンドの長さ調整機構にクリック感があると、実用性と高級感の両方が増したと思う。とは言え、本機の無段階調整機構もスムーズに動き、固定力も適度に確保されている。
■軽量さとヘッドバンドの工夫で装着感を高めている
ヨークの軽量さもあり、総重量は軽い。SRH840は372g、SRH940は320gなのだが、本機は268gだ。
重量差以外の部分でも装着感は大きく改善されている。SRH940は頭頂部へのヘッドパッドの当たりが強いとの声もあった。本機は「デュアルフレーム」と呼ばれる二列型のヘッドバンドを長細くパッドが覆っており、負荷を巧く分散している感触だ。またデュアルフレーム・ヘッドバンドは柔軟性も高く、これがハウジングの可動フィット機構に近い役割を果たし、装着感向上に貢献している。
頭を挟み込む側圧は、SRH940と同程度に、やや強め。しかしベロア素材のイヤーパッドがクッション性と肌触りの良さを発揮し、この部分でも装着感は良好だ。ちなみにイヤーパッドは着脱可能で、交換用イヤーパッドが一組付属する。長く使ってもらおうという意識、長く使ってもらえるという自信が伺える。
ほかに特徴としてはケーブルの着脱機構が挙げられる。コネクタ部分はSHUREのイヤホンと同じくMMCX端子。超小型の端子ながら、強めのスナップ感で確実に固定される。
付属品は前述の予備イヤーパッドの他に、6.3mm標準プラグアダプタ、ジッパー式の堅牢なケースなどだ。
■ハイレゾ音源を中心に試聴
ではいよいよ音を聴いていこう。本機は感度が低めでインピーダンスが高めなので、ヘッドホンアンプはほぼ必須。今回はiBasso Audio D5 Hjを利用し、そのUSB入力からハイレゾ音源を中心に試聴した。