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HD 650との比較試聴も

【レビュー】SHURE初の開放型ヘッドホン「SRH1840」を聴く

公開日 2011/12/20 11:00 高橋 敦
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SRH1840の音の全体の印象を先に述べると、音の傾向から言えば、モデル名は「SRH1840」より「SRH1940」の方が似つかわしいと感じた。滑らかで、かつ鋭い高域とハイスピードな低域は、SRH940に通じるものがある。


「鋭い高域とハイスピードな低域。解像感が高く空間表現力も高い」と高橋氏
開放型の強みが存分に生かされた空間表現もやはり印象的だ。自然に広がった空間に抜けの良い音が配置され、音と音の分離が素晴らしく、ひとつひとつの音の描き込みもより鮮明である。スピーカー並みとまで言うと大げさだが、ヘッドホンとしては最上級の空間表現だ。

細かなところを述べていこう。ジャズのピアノ・トリオ、Helge Lien Trio「Hello Troll」は、硬質な音調での緊張感溢れる演奏が特徴だ。

ピアノは期待通りにキンと硬質で、その音が周囲の張り詰めた空気を震わす。豊かに描き込まれた空気感も、本機の大きな特長だ。

シンバルの強打は直線的に耳に飛び込んでくる。一方でソフトタッチの場面ではさわさわと細やかな感触で、表現の幅が広い。高域側ではスネアドラム裏面の金属線の存在感が際立ち、スネアの音色に、ザザッっと粗い金属の質感が生々しく強めに加わる。

ウッドベースやドラムスなど低音は、すっと立ち上がりすっと収まる。開放型ならではの音抜けもあいまって、低音域はすっきりとクリアで、演奏者の指先の感触まで伝わってくる。

やくしまるえつこ「ノルニル」のボーカルは、ややシャープに描き出される。彼女独特のきめ細かなささくれや息遣いの感触を強く引き出し、距離感が近い。ボーカルの描き込み、質感描写も“迫真”と言える域に達している。

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