AirPlay&ネットワークオーディオ再生も聴く
音質に磨きをかけたAVアンプ − DENON「AVR-3313」速報レビュー
デノンから中級クラスのAVアンプ「AVR-3313」が発表された。「DENON Link HD」をはじめとする最新オーディオ技術を搭載し、アンプとしての基本的な再生能力を高めたという本機の実力を岩井喬氏が速報レポートする。
進化したジッターフリー伝送
「DENON LINK HD」搭載
デノンの中級AVアンプであるAVR-3312がAVR-3313へとリニューアルし、4Kアップスケーリングやパススルー機能に加え、これまで上位モデルに搭載されていた“DENON LINK”の最新バージョン「DENON LINK HD」を新たに実装することになった。4thまで進化してきた“DENON LINK”は、同社製の対応BDプレーヤーとHDMI接続+LINK用の専用ケーブル(LAN端子と同じRJ45コネクター)接続を行うことで、AVアンプ側のDACの根本となるマスタークロックをプレーヤー側と共有し、BD再生時(音声)のジッターを低減。3rdまでは高速伝送素子によるバランス伝送のデジタルリンクによってCDやSACD、DVDといったコンテンツの完全なリアルタイムバランス・デジタル伝送を行っており、これらの機能は上級モデルAVR-4311に搭載されていた。
最新バージョンとなった「DENON LINK HD」ではBDだけでなく、すべてのディスクコンテンツの再生においてAVアンプ側DAC部のマスタークロックを対応BDプレーヤーと共有できるようになり、SACDを含めた再生環境でより進化したジッターフリーなオーディオ伝送を可能としている。なお今回の「DENON LINK HD」から、専用ケーブルがRCA同軸コネクターに変更されており、対応できるBDプレーヤーも今後発売予定の次世代モデルからとなる。また、対応プレーヤー以外の入力ではHDMI、光・同軸デジタル、アナログの各接続に対して最適化された「ハイブリッドPLLクロックジッターリデューサー」によってジッター低減を行うという。
アナログ部も改良して
オーディオ再生能力を強化
下位モデルAVR-2113と比較し、大きな違いとなっている点は他にもある。電源や全ch同一クオリティとしたディスクリート構成のパワーアンプ部を含め、基本的なアナログブロックの規模が大きくなっており、AVR-2113の入力段では差動1段構成だったものが本機では差動2段構成になっている。フロントパネルはアルミ製となり、トラップパネルを使った精悍なデザインとした。そしてサラウンド再生のために必要な信号処理は各々のブロックで独立させ、32bit処理DSPなどを用いてディスクリート化。独自のアナログ波形再現技術である「AL24 Processing Plus」も投入し、全ch同一レスポンス&クオリティを念頭に置いて構成したという「D.D.S.C.(ダイナミック・ディスクリート・サラウンド・サーキット)」のHDコンテンツに対応した新バージョン「D.D.S.C.-HD」が投入されている。
AirPlayやDLNAといったネットワーク環境への対応についても、現在のところ最高96kHz/24bitのFLAC・WAVファイルまでの対応であるが、この夏に予定されているファームウェアのバージョンアップによって192kHz/24bitまでのFLAC・WAVファイル再生やギャップレス再生、Apple Losslessファイル再生に対応できるようになる。操作性やGUIの完成度を高めたiPod touch/iPhone用アプリケーション「Denon Remote App」との連携も含め、より快適なネットワーク再生環境を構築できるだろう。
出力系装備についても追記しておくと、HDMI出力は同時出力可能な3系統(メインゾーン×2、マルチゾーン【メインゾーンとは違う再生ソースを選択可能】×1)用意されており、将来の発展性に繋がる11.2chプリ出力も含めより踏み込んだ上級の使いこなしが実践できる仕様となっている。
きめ細やかで、かつ濃密なサウンド
ネットワーク再生も高い安定感
肝心なサウンドについてであるが、情報量やS/Nが高く、音場の緻密さが良く表現されている。SACDプレーヤーによるステレオ再生においても、クラシックの弦楽器は滑らかな弦のハリが一層際立ち、艶めき方も耳当たりが良い。オーケストラのハーモニーは音のほぐれ感も高く、余韻の粒子も細やかで、深い音場感を再現。低域の輪郭は引き締まり、ボーカルの質感はきめ細やかでナチュラルなボトムの厚さを実感できた。
BDによるマルチch再生では各音像の密度の濃さを軸に、解像感の高いディティール描写によってキレのある際立ちを得ることができる。定位の移動もその音から物体の重みをしっかりと感じられ、音の軌跡もスムーズに描く。音楽ソースにおいては中低域の厚みがアナログ的な落ち着きと押し出しの良さを生み、ホーンセクションなどの高域楽器でも存在感のある音像として表現してくれる。倍音成分は幾分豊かに感じられるが、煌めき感が程良く、耳馴染み良いものとして捉えることができた。
続いてネットワーク系の環境についてであるが、AirPlayでは濃密な中低域に支えられ、どっしりとした安定感がある。滑らかでハリがある輪郭表現は程良い明瞭度に繋がっている。続いてDLNA環境での96kHz/24bitファイル再生であるが、高解像度かつ高S/Nなサウンドが展開。ボーカルの口元は鮮やかでリアルな潤いをたたえており、低域をつかさどるリズム隊もキレ良く弾力を伴った描写となる。現状でもAVアンプ再生であることを感じさせないクオリティの高いネットオーディオサウンドであったが、192kHzへのアップデートではどのような凄みのあるサウンドになるのか、今から楽しみでならない。
【SPEC】
●定格出力:125W×7ch(8Ω) ●実用最大出力:195W×7ch(6Ω) ●周波数特性:10Hz〜100kHz ●HDMI:入力7、出力3 ●映像入出力:コンポーネント映像入力×2、コンポーネント映像出力×1、アナログ映像入力×4、アナログ映像出力×3 ●音声入出力:アナログ音声入力×6、光デジタル入力×2、同軸デジタル入力×2、フォノ入力×1、7.2chプリアウト×1、ヘッドホン出力×1 ●その他入出力端子:Denon Link HD(イーサーネット)×1、iPod/USB端子×1 など ●消費電力:670W ●外形寸法:434W×167H×382Dmm ●質量:12.0kg ●問い合わせ先:(株)ディーアンドエム ホールディングス TEL/044-670-5555
進化したジッターフリー伝送
「DENON LINK HD」搭載
デノンの中級AVアンプであるAVR-3312がAVR-3313へとリニューアルし、4Kアップスケーリングやパススルー機能に加え、これまで上位モデルに搭載されていた“DENON LINK”の最新バージョン「DENON LINK HD」を新たに実装することになった。4thまで進化してきた“DENON LINK”は、同社製の対応BDプレーヤーとHDMI接続+LINK用の専用ケーブル(LAN端子と同じRJ45コネクター)接続を行うことで、AVアンプ側のDACの根本となるマスタークロックをプレーヤー側と共有し、BD再生時(音声)のジッターを低減。3rdまでは高速伝送素子によるバランス伝送のデジタルリンクによってCDやSACD、DVDといったコンテンツの完全なリアルタイムバランス・デジタル伝送を行っており、これらの機能は上級モデルAVR-4311に搭載されていた。
最新バージョンとなった「DENON LINK HD」ではBDだけでなく、すべてのディスクコンテンツの再生においてAVアンプ側DAC部のマスタークロックを対応BDプレーヤーと共有できるようになり、SACDを含めた再生環境でより進化したジッターフリーなオーディオ伝送を可能としている。なお今回の「DENON LINK HD」から、専用ケーブルがRCA同軸コネクターに変更されており、対応できるBDプレーヤーも今後発売予定の次世代モデルからとなる。また、対応プレーヤー以外の入力ではHDMI、光・同軸デジタル、アナログの各接続に対して最適化された「ハイブリッドPLLクロックジッターリデューサー」によってジッター低減を行うという。
アナログ部も改良して
オーディオ再生能力を強化
下位モデルAVR-2113と比較し、大きな違いとなっている点は他にもある。電源や全ch同一クオリティとしたディスクリート構成のパワーアンプ部を含め、基本的なアナログブロックの規模が大きくなっており、AVR-2113の入力段では差動1段構成だったものが本機では差動2段構成になっている。フロントパネルはアルミ製となり、トラップパネルを使った精悍なデザインとした。そしてサラウンド再生のために必要な信号処理は各々のブロックで独立させ、32bit処理DSPなどを用いてディスクリート化。独自のアナログ波形再現技術である「AL24 Processing Plus」も投入し、全ch同一レスポンス&クオリティを念頭に置いて構成したという「D.D.S.C.(ダイナミック・ディスクリート・サラウンド・サーキット)」のHDコンテンツに対応した新バージョン「D.D.S.C.-HD」が投入されている。
AirPlayやDLNAといったネットワーク環境への対応についても、現在のところ最高96kHz/24bitのFLAC・WAVファイルまでの対応であるが、この夏に予定されているファームウェアのバージョンアップによって192kHz/24bitまでのFLAC・WAVファイル再生やギャップレス再生、Apple Losslessファイル再生に対応できるようになる。操作性やGUIの完成度を高めたiPod touch/iPhone用アプリケーション「Denon Remote App」との連携も含め、より快適なネットワーク再生環境を構築できるだろう。
出力系装備についても追記しておくと、HDMI出力は同時出力可能な3系統(メインゾーン×2、マルチゾーン【メインゾーンとは違う再生ソースを選択可能】×1)用意されており、将来の発展性に繋がる11.2chプリ出力も含めより踏み込んだ上級の使いこなしが実践できる仕様となっている。
きめ細やかで、かつ濃密なサウンド
ネットワーク再生も高い安定感
肝心なサウンドについてであるが、情報量やS/Nが高く、音場の緻密さが良く表現されている。SACDプレーヤーによるステレオ再生においても、クラシックの弦楽器は滑らかな弦のハリが一層際立ち、艶めき方も耳当たりが良い。オーケストラのハーモニーは音のほぐれ感も高く、余韻の粒子も細やかで、深い音場感を再現。低域の輪郭は引き締まり、ボーカルの質感はきめ細やかでナチュラルなボトムの厚さを実感できた。
BDによるマルチch再生では各音像の密度の濃さを軸に、解像感の高いディティール描写によってキレのある際立ちを得ることができる。定位の移動もその音から物体の重みをしっかりと感じられ、音の軌跡もスムーズに描く。音楽ソースにおいては中低域の厚みがアナログ的な落ち着きと押し出しの良さを生み、ホーンセクションなどの高域楽器でも存在感のある音像として表現してくれる。倍音成分は幾分豊かに感じられるが、煌めき感が程良く、耳馴染み良いものとして捉えることができた。
続いてネットワーク系の環境についてであるが、AirPlayでは濃密な中低域に支えられ、どっしりとした安定感がある。滑らかでハリがある輪郭表現は程良い明瞭度に繋がっている。続いてDLNA環境での96kHz/24bitファイル再生であるが、高解像度かつ高S/Nなサウンドが展開。ボーカルの口元は鮮やかでリアルな潤いをたたえており、低域をつかさどるリズム隊もキレ良く弾力を伴った描写となる。現状でもAVアンプ再生であることを感じさせないクオリティの高いネットオーディオサウンドであったが、192kHzへのアップデートではどのような凄みのあるサウンドになるのか、今から楽しみでならない。
【SPEC】
●定格出力:125W×7ch(8Ω) ●実用最大出力:195W×7ch(6Ω) ●周波数特性:10Hz〜100kHz ●HDMI:入力7、出力3 ●映像入出力:コンポーネント映像入力×2、コンポーネント映像出力×1、アナログ映像入力×4、アナログ映像出力×3 ●音声入出力:アナログ音声入力×6、光デジタル入力×2、同軸デジタル入力×2、フォノ入力×1、7.2chプリアウト×1、ヘッドホン出力×1 ●その他入出力端子:Denon Link HD(イーサーネット)×1、iPod/USB端子×1 など ●消費電力:670W ●外形寸法:434W×167H×382Dmm ●質量:12.0kg ●問い合わせ先:(株)ディーアンドエム ホールディングス TEL/044-670-5555