林正儀イチオシのブルーレイ3Dタイトル紹介
この夏大画面シアターで楽しみたいオススメBD作品 − 『glee』『TIME』をエプソン“ドリーミオ”で見る
精細感と色彩感豊かな映像が緊張感あふれる物語を演出する:『TIME/タイム』
人が一生のうちに与えられた「時間」が通貨として機能するという、未来社会を描いたSFアクション大作が『タイム』だ。作品の世界では、人類の成長が25歳になると止まってしまい、腕に刻まれた「体内クロック」によって余命がコントロールされてしまう。そしてクロックのカンターがゼロなると即、死に至るのだ。
冒頭はジャスティン・ティンバーレイクが演じる主人公のウィルが暮らす、スラム社会の情景がクールなコントラスト感で描かれている。あくせく働き、足早に歩く町の人たちの殺伐とした空気がリアルに描かれ、とても印象的だ。
シーンによって色のトーンが変わる作品だが、「チャプター3」では夕焼けの茜色をバックに、物語で描かれる「時間」を有り余るほど持っている“富裕ゾーン”から流れてきた自殺志願者のハミルトンの心の葛藤を、映像で表わしているかのようだ。一方の“富裕ゾーン”ではピカピカに磨かれた白い建物や、豪華なカジノが目を刺激する。こうした明暗対比や色調を描かせると、EH-TW6000Wのうまさが光る。
ある出来事を経て、長大な余命を手にすることになった主人公ウィルは“富裕ゾーン”に潜入。見所は映画『マンマミーヤ』でも注目を浴びた女優アマンダ・セイフライドが演じる令嬢シルビアとのダンスや、裸で海を泳ぐ「チャプター9」のシーンだ。ノイズのない暗い水面と、人肌の対比がとても美しく、ミステリアスに光るクロックの蛍光色が瞳に焼き付いて残る。S/Nの悪いプロジェクターでは、この映像の魅力を再現するのは難しいと思うが、EH-TW6000Wは透明感に溢れる映像だ。静かなシーンにふさわしい波音とピアノの包囲感がとても自然だ。
サラウンドといえば「チャプター11」から、ウィルがシルビアを誘拐した後にカーチェイスを演じるシーンはしびれる。高級車らしい迫力いっぱいのエンジン音とタイヤのきしみ。映像のテンポやキレもよく、バックで逆走するシーンはスリル満点だ。
物語後半の「チャプター26」では再びカーチェイスのシーンが見所となるが、さらにパワーアップして、派手な機銃戦も加わるというサービスぶり。ヒロインのシルビアが社会の不条理に気が付き、銀行や父の経営するタイムローン会社に押し入り、「時間」を奪ってスラムの人々に配るシーンは痛快そのものだ。物語のラストに主人公たちの登場するシーンも映像の奥行き感が見事で、ストーリーの緊張感を大いに高めてくれる。ラストシーンは、ここでストーリーそのものを語ってしまうわけにはいかないので、ぜひご自身の目で確かめて欲しいと思う。
今回ご紹介した作品は、3Dの音楽ライブ、2DのSFアクションと、それぞれに趣は異なっているが、どちらの作品も内容と映像、サラウンドのクオリティが非常に高いところは共通点である。今夏にぜひホームシアターで鑑賞して欲しい。
◆プロフィール:林 正儀
福岡県出身。工学院大学で電子工学を専攻。その後、電機メーカー勤務を経て、技術 系高校の教師というキャリアを持つ。現在、日本工学院専門学校の講師で、音響・ホー ムシアターの授業を受け持つ。教鞭をとっている経験から、初心者向けに難しい話題 をやさしく説明するテクニックには特に定評がある。