[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域
【第14回】目指せ!耳穴ベストフィット −ハイエンドイヤホンのチューニングを追い込む
大サイズのソフト・フォームは、音の差もやはり大きかった。バスドラムの太さや踏み込みの強さ、ベースの重心の低さといったところが明らかに向上。こちらがこのイヤホンの本来の力だ。高域側の感触はほぼ変わらない。
一応、小サイズのソフト・フォームも確認したが、論外だった。装着感ゆるゆる、低音スカスカで音場は薄っぺらく、遮音性も皆無。耳に密着しないイヤーピースなんて使い物にならない。
もちろん、耳穴のサイズは人によって違う。耳の穴が小さい方は小サイズや中サイズでしっかりとした密着を得られるだろう。その場合は大きなサイズを無理矢理押し込む必要はない。
続いてソフト・フレックスも全サイズを一通り試したが、やはり僕の耳には大サイズが合う。ただそれでも、遮音性はソフト・フォームには及ばない。低音の厚みも上述のソフト・フォームの方が上回る印象だ。
しかし低音の感触は両者で異なる。ソフト・フォームは柔軟性、ソフト・フレックスは弾力性が持ち味。同じイヤホンから出る音なので決定的な違いとまではいかないが、チューニングの一要素としては使えそうだ。
他の2種類のうち、イエロー・フォームは遮音性も音質もソフト・フォームの大サイズに近い印象。柔軟性のある低音を豊かに出しながら、バランスも良い。
トリプル・フランジは遮音性が高い。ただその代わり、ケーブルのタッチノイズが耳の中に強く伝わってくる。耳の中にさらに直接的に注ぎ込まれてくるような、密度感の高い音場も特徴だ。
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