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【特別企画】ハイブリッド/デュアルドライバ搭載機の魅力に迫る

マクセルの注目イヤホン「DBA700/DD600」の実力徹底解剖 − 音質傾向はどう違う?

公開日 2012/12/07 11:30 野村ケンジ
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■BAとダイナミックのハイブリッド機「MXH-DBA700」を聴く


今回デビューした2モデルのうち、まず「MXH-DBA700」を紹介しよう。このモデルの最大の特徴といえば、やはりBA型とダイナミック型、それぞれ1機ずつを搭載する、ハイブリッド構成のドライバユニットだろう。

MXH-DBA700

イヤーピースを外したところ

しかも、搭載レイアウトがとてもユニーク。BAドライバをセンター付近に置き、その横にダイナミック型ドライバをレイアウトしているのだ。このレイアウトでは、BA型を前方に配置することで解像度の高い繊細な高音を耳に届けるとともに、ダイナミック型を後方で斜めに配置することで直進性の強い高音を抑え、迫力ある中低音を再生するという狙いがある。ただでさえ珍しいハイブリッドドライバ方式のなかでも、類のない個性的なレイアウトといえる。

非常にユニークなドライバ配置を行っている

DBA700の周波数特性イメージ

また、筐体には、ホーンユニットを彷彿とさせる円錐形状の、アルミ削りだし素材を採用。スタイリッシュなデザインとともに、高い剛性によって不要振動を抑えることで、余計な付帯音の少ないクリアなサウンドを実現しているという。

独特なホーン型デザインを採用

ユーザビリティの面でも、“上級”モデルならではの配慮がいくつか見られる。まずケーブルは、フラットタイプのコードを採用することで、絡みにくさを実現。いっぽうで、銀イオンによる抗菌が施されたイヤーチップには、SSからLまでの4サイズを同梱。耳穴の小さい女性などにもピッタリと装着でき、ベストなサウンドが楽しめるようになっている。

フラットケーブルとL型プラグを採用

4種類のイヤーピースが付属する

アルミ製に加えて、シックなつや消しのブラック塗装が施されたボディは、なかなかに上品な印象を持つ。耳側に向かって細くなるホーン形状のデザインによって、装着感もなかなかにいい。豊富なイヤーチップのサイズも含めて、装着感については良好といえる。

製品パッケージ

さて、肝心のサウンドはどうだろう。聴き始めて最初に感じたのが、音数の多さとダイレクト感の高さ、そして高域の伸びやかさだ。アコースティックギターを聴くと、とても明瞭で細やか表現の演奏が楽しめる。さらに、ボディの胴鳴りが豊かで、演奏が普段よりも数段印象的になっている。ピアノの演奏とも相性が良く、響きが伸びやかだ。

とはいえ、いちばんの魅力といえばやはり女性ヴォーカルだろう。少しだけハスキーさが増した声色で、のびのびとした、響きの美しい歌声を披露してくれるのだ。しかも、低域の倍音成分がしっかりと乗っているためか、力強さも備わっていて、表現が普段よりもダイナミックに感じる。

BAドライバとダイナミック型ドライバはもともとの音色傾向が異なるため、ハイブリッドタイプのイヤホンは、それらをひとつの音に纏め上げるには困難がつきまとうはずだが、その点「MXH-DBA700」はけっこう巧みで、それぞれの特徴を活かしつつも、全体としては違和感のないサウンドに仕上げられている。こと音色傾向に関しては、なかなかに完成度の高い製品といえる。

何よりも、ハイブリッド構成のドライバを採用しつつ、1万円前後の実売価格というのは驚くばかり。衝撃的なプライスタグといっていいだろう。しかも、アルミ製ハウジングや音質重視のユニークなドライバレイアウトなど、スタイルに関しても音質に対しても、いっさいの手抜かりはない。音質だけでなく、コストパフォーマンスにおいても、大きな魅力をもつ製品といえる。

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