【特別企画】ハイブリッド/デュアルドライバ搭載機の魅力に迫る
マクセルの注目イヤホン「DBA700/DD600」の実力徹底解剖 − 音質傾向はどう違う?
■デュアルダイナミック機「MXH-DD600」の音質傾向は? |
いっぽうの「MXH-DD600」は、低域用の8mmドライバに加え、中高域用の6mmドライバを搭載する、デュアルドライバ構成のカナル型イヤホンだ。
しかも、「MXH-DBA700」に負けずレイアウトがユニーク。同軸上に配置するのではなく、中心軸を少しずらした、オフセットした場所に配置している。こちらも、様々な位置をテスト行い、このスタイルを採用することになったようだ。ちなみに両ドライバとも、マグネットにはネオジウム素材を採用、高音質なサウンドと表現のダイナミックさとを両立している。
そのほか、削り出しのアルミ製ハウジングや、絡みにくいフラットコード、SSからLまでの4サイズが付属する銀イオン抗菌イヤーチップの採用などは、「MXH-DBA700」とまったく同じ。両者の違いは、ドライバ構成のみといっていい。兄弟モデルというよりは、2卵生双生児といった方がピッタリなモデル展開だ。
ちなみに、ブラック1色の「MXH-DBA700」に対して、「MXH-DD600」はカラーバリエーションが用意されていて、ブラックのほかレッドもチョイスできる。
カラーバリエーション以外、外観からは違いがまったく判別できない両モデルだが、ドライバユニットが違うためか、そのサウンドキャラクターは結構異なっている。
ダイレクト感が高く、ダイナミックでのびのびとしたサウンドを披露する「MXH-DBA700」に対し、「MXH-DD600」はどちらかというと自然な音色の、素直なサウンドを聴かせてくれるのだ。
女性ヴォーカルを聴くと、両者の違いが良く分かる。伸びやかな高域とダイナミックな抑揚表現で力強い歌声を聴かせてくれる「MXH-DBA700」に対し、「MXH-DD600」はもっと清楚な感じのする、丁寧な歌声を聴かせてくれるのだ。
一見すると素っ気ないし、声の厚みも(「MXH-DBA700」に比べて)やや線の細い感じもするが、ニュアンス表現が細やかで、音色も透明感のあるクリアさを持ち合わせているので、実は「MXH-DD600」のほうが歌に込めた感情が良く伝わってくたりする。この違いは、なかなかに興味深い。
また、帯域バランスも「MXH-DD600」のほうがオーソドックスで、低域のロールオフもそつがない。そのため、長時間の試聴には、こちらの方が向いていそうにも感じる。
ただし、ピアノなどを聴くと、高域の伸びやかさ、響きの良さに関しては、BAドライバを搭載するためか「MXH-DBA700」のほうがやや優位に思える傾向もある。どちらを良しとするかは、単純に好み次第といえる。
このように、「MXH-DBA700」と「MXH-DD600」は、上下関係というよりも並び立つ双子のような、それぞれに魅力的な個性を持つ製品となっている。価格的にもそれほど大きな差はないので、純粋にどちらの音が好みにあうかでチョイスして間違いはない。どちらにしろ、サウンドクォリティもコストパフォーマンスも高い、優秀な製品だということは断言しよう。