HOME > レビュー > <ユーザーレポート(3)>コンプライ・イヤホンチップの実力を本音レビュー!

【特別企画】イヤホンチップでイヤホンリスニングを変える!

<ユーザーレポート(3)>コンプライ・イヤホンチップの実力を本音レビュー!

公開日 2012/12/21 11:52 記事構成:ファイル・ウェブ編集部
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

 ユーザーレポート(4) ペンネーム:kskmeukさん
付属チップで再現しきれていなかった細かい音がコンプライだと明瞭に


IEM856mにTシリーズを装着して試聴開始!
< 試聴機器 >
・イヤホン:Scosche「IEM856m」

< 試聴した楽曲 >
・東京事変『能動的3分間』
・宇多田ヒカル『HEART STATION』
・畠山美由紀『若葉の頃や』
・UA『閃光』
・山下達郎『クリスマス・イヴ』
・Bill Evans『Waltz For Debby』


■装着感について

きわめて良好。とくに、IEM856mはドライバー部が太くて大きいのですが、コンプライチップはしっかりフィットするので、安心のホールドがあります。


■遮音性について

標準チップよりも高まります。本機は裏側がダクトになっているタイプのカナル型イヤホンなのですが、はっきりと遮音性が増しました。


■使用レビュー

イヤホンチップの変更はまさにタイヤ交換のイメージがぴったり来ると思いました。良いタイヤがエンジンやシャーシなど車の性能を路面に的確に伝えることでパフォーマンスを改善するように、イヤホンのチップもちょうど乗り物のタイヤのように、耳へのあたりを改善することでイヤホンの本来の性能を十二分に引き出す効果があると思います。今回イヤホンチップを交換したことで、イヤホンの特徴がより明確にわかりました。

私が試聴に用いたScosche「IEM856m」はハイブリッド型のイヤホンで、ダイナミック型とバランスドアーマチュア型を両方搭載して、それぞれの良いとこどりを目指したモデルです。私はこのIEM856mを、コストパフォーマンスに優れた、隠れた名機だと思っています。高域は繊細で明確な良さを、低域は量感と迫力を出してくるモデルです。そのダイナミックな低音と明確な高域の描き分けの良さが、イヤホンチップをコンプライ製品に変えることでよりはっきりしました。

ハイブリッドタイプのIEM856m。コンプライのチップを装着したことで、イヤホンの良さが引き出されたという

まずコンプライのチップを使うと、付属チップよりも耳の中にしっかり固定することができました。サイズはMサイズを使用しました。ぎゅっとつぶすと、くにゃっと縮み、耳に入れると、元どおりにふわっと膨らみます。

IEM856m はドライブが大きめなので、しっかりホールド出来ると安心感があります。付属のチップは薄めで遮音性は低めですが、コンプライチップにすると、遮音性も高まり、よりよく音楽に集中することが可能です。なお、しっかり固定されて遮音性が高めになるので、コードのタッチノイズは少し目立つようになります。IEM856mはきしめんのような扁平ケーブルで、クリップ付きのモデルですが、コンプライ使用時は俗にいう「SHURE巻き」で、耳の上をいちど引っ掛けて、装着するのがおすすめです。

音の面では、耳の奥でしっかり固定されることにより、音全体がより前面に出てくる印象になるとともに、付属チップで再現しきれていなかった細かい音がより明瞭になってきます。とくに低音の迫力や中域の量感が増し、さらにメリハリのついたノリが感じられ、より楽しく聴けました。

一方で、高域やボーカルは細かいニュアンスがはっきりし、表現が明確になります。特にしっかりしたボーカル曲や魅力的なインスト曲であれば、元の曲や演奏や録音のよさに引き上げられるように、上述の低音や中域とあわせて「競演」的なニュアンスが強まって、とても魅力的なリスニング体験になります。

「付属チップで再現しきれていなかった細かい音がより明瞭になった」と語る


■楽曲ごとの試聴レビュー


【1】東京事変『能動的3分間』

「実力の確かなメンバーの競演」といったニュアンスが強い曲で、あっという間の3分間ですが、コンプライチップを装着した状態だと、各音がより抜けなくもれなく届くので、競演のテンションをより良く感じられました。


【2】宇多田ヒカル『HEART STATION』

宇多田ヒカルさんのこの曲は、彼女自身のセンスにあふれた良曲で、バックの音が量感や迫力をより伝えてくる印象です。コンプライのチップを使用すると、宇多田ヒカルさんのボーカルの細かい表現がより明確に伝わるので、ノリのよさとともに楽しく聴ける感じがより一層高まります。


【3】畠山美由紀『若葉の頃や』

日本で最高に素晴らしく歌も声も素敵な女性ヴォーカルの一人が、畠山美由紀さんであると思っています。コンプライのチップを使用すると、やはりボーカルの細かい表現がはっきりとわかるので、元々の声の魅力が一層高まり、特に控え目な曲だからこそ、味わいが深まりぐっとくる印象が強まります。


【4】UA『閃光』

コンプライのチップで聴くと、レイハラカミの音とUAの危険な香りのする声が絶妙にあいまって、競演的な魅力がとても高まります。レイハラカミの多彩な打ち込み音が細部まで聴こえて迫力を増すうえ、UAの糸を引くようなヴォーカルの表現力もあいまって、さらに良い曲に聴こえます。


【5】山下達郎『クリスマス・イヴ』

曲や音や構成など、細部まで精緻な山下達郎さんの曲からこの1曲を聴きました。コンプライチップにすることで、イントロのきめの細かい音の数々から、途中のコーラス、そして達郎さんのヴォーカルにいたるまでがより自分の近く感じられ、まさに名曲をより堪能できます。


【6】Bill Evans『Waltz For Debby』

今回使用したイヤホンIEM856mは、ピアノとベースにそれぞれ強みがあるイヤホンで、JAZZトリオがかなり魅力的に聴こえます。定番のこの一枚を聴くと、トリオの三者三様の演奏がはっきりと、より迫力をもって迫ってきます。コンプライのチップを使うと、ベースが量感と迫力を増し、細部の響きまでよりよく表されることによってピアノの輝きが生まれ、そしてハイハットがさらに演奏の芯を明確にするからだと思います。


このように、お手軽にイヤホンの性能を引き出す可能性を持っているのがコンプライのイヤホンチップだと思います。オーディオ好きな人は新しいものや変化が好きで、様々なイヤホンを試してみたり、衝動的に新しいモデルを購入したりというのはよくあると思います。

しかし新規にイヤホンを購入するよりも、イヤホンチップの交換だけならよりお得にグレードアップが出来ます。これは、今お持ちのイヤホンがお気に入りの良いものであればなおさらですね。まずはコンプライチップを試してみるというのは、新たにイヤホンを買うよりはお得に、そして、良い結果になることも多いと思うのでおすすめです。

私が試した限りでは、特に高域の細かさと中低音の量感でよりよく聴こえるようになり、多くの音楽をより魅力的に楽しめるイヤホンチップだと思いました。注意点があるとすれば、装着感と遮音性の向上によってタッチノイズが気になりやすくなるので、イヤホンをいわゆる「SHURE巻き」にするなどして、対策を講じられれば完璧だと思います。<了>


『イヤホンチップでイヤホンリスニングを変える!』に戻る

前へ 1 2

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE