[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域
【第31回】オススメのスマホ高音質化アプリを紹介! 〜iOS編〜
さて、早速その効果を確認してみよう。今回はEarPodsとの組み合わせを試してみた。このアプリは再生を続けたまま音響技術「Dirac HD Sound」のオンオフを切り替えられるので、随時切り替えながらチェック。
まず予想通りの変化としては、中低音の増強だ。ベースやドラムスを中心に音色の太さや厚みが増し、音場全体も肉厚になる。音場全体の感触としては密度感が高まることも特徴で、オンの状態でしばらく聴いてからオフに戻すと(悪くも良くもだが)スカッと抜けた印象を受ける。
細かな音が強調されるのも特徴だ。例えば小さめの音量で演奏・ミックスされているハイハットシンバルが、オンにするとぐっと前に出てくるというか、耳元に寄ってくる。その他の細かな音についても同様の傾向で、クローズアップ感がある。音色の響きもより目立たせる。このあたりが先述の「メガネが〜」の意味するところだろうか。
ボーカルは歌手ごとに変化の大小や傾向は異なるが、例えば宇多田ヒカルさんの場合は声の明るさが増した。より聴き取りやすくなったとは言える。
と書き連ねていくと「加工しまくってるから自然さは損なわれているのでは?」と思われたかもしれない。しかし全体の印象としては極端に不自然ではない。派手ではあるが過剰すぎない演出といったところだ。
とはいえ曲によってはシンバルやボーカルの強調が効きすぎて音色に癖が出たり、音場の密度が高まる代わりに空間性(音と音の間のスペースの生かし方など)が落ちる場面もあった。そういった場合はその場その場でオンオフすることもできるが、しかし頻繁にオンオフするようだと冒頭で設定した「手軽に簡単に」から外れてしまう。まあ無料なので、実際に試してみてその少しの癖が気になるかどうかを確認してみてほしい。
ちなみに他のイヤホン(カナル型数種類)でも試してみたところ、変化の傾向は同じなのだが、低音がもこっと出過ぎたりしてバランスはやはりよろしくなかった。Apple標準イヤホンに近いタイプのイヤホン(数千円クラスの非カナル型)でなら適当な効果を発揮するかもしれないが、基本、Apple標準イヤホン専用だ。
続いてもうひとつ。手軽さについてはDiracに譲るものの、同じく独自の処理でイヤホンの音質を向上させるアプリを紹介しておこう。Sound Scienceの「UBiO」だ。こちらは450円。
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