HOME > レビュー > 【レビュー】Ultimate Earsの新フラグシップイヤホン「UE900」を聴く

クアッドドライバーの実力を検証

【レビュー】Ultimate Earsの新フラグシップイヤホン「UE900」を聴く

公開日 2013/04/03 14:01 ファイル・ウェブ編集部:小澤貴信
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
■「UE900」のサウンドを徹底検証する

果たして、大きな進化を遂げたUE900のサウンドはどれほどbのものなのか。iBasso Audioのハイレゾ対応ポータブルオーディオプレーヤー「HDP-R10」を用いて試聴を行った。試聴する音源は、ハイレゾを中心にCDリッピング音源も聴いた。

ハイレゾも含めた各音源でUE900のサウンドクオリティを検証した

試聴にはiBasso Audioのオーディオプレーヤー「HDP-R10」を用いた

まず印象に残ったのは、音場の広がりの心地よさと、各楽器の音の質感の高さである。ジャズ&女性ボーカルものとしてハイレゾ配信のノラ・ジョーンズ『Come Away With me』(192kHz/24bit)を最初に試聴したが、アコースティックギターの倍音の広がりや残響、ピアノの響きの感触が非常に豊かだ。

こうした印象は、同程度の価格帯のイヤホンではあまり感じたことがない。ノラのボーカルは、一聴するともう少し抜けの良さが欲しくなるのだが、じっくり聴いていくと、この録音のややオンマイク気味の発声と息づかいが、とてもリアルに伝わるのに驚かされた。

低域再現はどうか。ベースラインが気持ちよく沈み、ここでもウッドベースの音色の自然さが印象的だった。演奏全体を通して、突出した解像感の高さはないが、やはり質感の高さが印象づけられた。

次はロック系として、ハイレゾ配信のニルヴァーナ『Nevermind(Remastered)』(96kHz/24bit)を聴いた。サウンドに適度な厚みがある。スネアドラムのアタック音の抜けが良く、シンバルの響きは繊細だ。この印象は、どちらかというと口当たりがよいボーカルとは相反するが、UE900で様々なソースを試聴して一貫して感じた傾向だ。エレキギターはクリーントーンの響き、コーラス・エフェクターを用いたときの音色が美しい。ディストーションギターになると、音の厚みは良好だが、粒立ちがもう少し欲しいと感じた。この手のサウンドなら、中高域はもう少し前に出た方が気持ちいいだろう。

CDリッピング音源で、各ジャンルのサウンドも確認してみた。打ち込み系のダンスミュージックでは、バスドラム、ベースなど重低音は量感と質感ともに優れ、ハイハットは切れがある。ヒップホップは、ベースラインが太い。音色の重なりや空間性がよく再現されている。クラブ系の音とも相性が良さそうだ。

クラシックの弦楽四重奏は、弱音からの立ち上がりの繊細さが印象的。UE900の音色の柔らかさ、質感の高さが、小編成の弦楽にマッチする。大編成のオーケストラでは、音の広がりと厚みに優れるという長所が引き出されていた。

次ページシュア「SE535」との比較試聴を敢行

前へ 1 2 3 4 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

トピック: