型番に“X”を冠した新2機種を発売前にレビュー
オーディオテクニカ“SOLID BASS”「ATH-CKS77X」「ATH-CKS55X」レビュー − 新システムで更に低音増強
新機構「エクストラチャンバーメカニズム」を搭載し、定評ある低音再生力を更に強化したオーディオテクニカ“SOLID BASS”シリーズの新モデル「ATH-CKS77X」「ATH-CKS55X」が4月18日に発売される。型番に“X”を冠した新2機種を、登場に先駆けて、両機を中林直樹氏が試聴した。
耳穴にすっぽりフィットするような小ささと、豊かな低音域を醸し出すこと、それらを両立させることは、イヤホンにおいて極めて困難な問題である。スピーカーに置き換えればわかりやすいはずだ。小型のブックシェルフ型から、ふくよかな低域を溢れさせるためには、それ相応の工夫が必要だ。そのために、バスレフポートの採用や、低域を自然な厚みを持たせるダクトなどを内蔵している製品があることは、周知のとおりだろう。
オーディオテクニカは、そうした豊かな低域再生に注力してきたブランドのひとつだ。“SOLID BASS”と銘打たれたシリーズがそれに当たる。低域を増強するのは以下の2つの仕組み。ひとつはハウジングとは別に空気室(チャンバー)を用意したこと。これで低域の充実に不可欠な容積を稼いだ。もうひとつは、イヤピースが2段階で調整可能な2ポジションポストの採用だ。遮音性を高め、また音漏れも抑えられるから、低域を余すことなく伝えられる。
さて、ATH-CKS77X、ATH-CKS55Xは、そんなSOLID BASSシリーズの最新モデルである。大きな進化点は、両モデルとも、チャンバー部を新たなものとしたことだ。その名称は「エクストラチャンバーメカニズム」。より高度な設計で、低域再生をパワーアップさせた。ドライバーも12.5mmのものを新開発している。さらに上位機であるATH-CKS77Xは、ボディに切削無垢アルミニウムを採用。その剛性の高さで不要な響きを抑える狙いだ。
では、これらでまずデヴィッド・ボウイの新譜『ザ・ネクスト・デイ』を聴く。まずATH-CKS55X。ボーカルの奥行きや深さ、そして確かにベースが存在感を主張する。力強く、音楽の底から低域が迫り上ってくるようだ。そのおかげもあって、全体として濃密な空間が出現する。
ATH-CKS77Xでは、それにスピード感が加わってくる。音場も広大だ。そしてやはり低域のパワーに圧倒される。ベースやドラムスはもちろん、ストリングスやキーボードの低音もたっぷりとした深みを湛えている。しかし、それが決してわざとらしくないところが、このモデルの真骨頂だろう。
それならと思い、一年ほど前に発売され、良く聴いたエスペランサ『ラジオ・ミュージック・ソサイエティ』を引っ張り出してきた。さて、彼女の弾くベースラインがどのように聴こえるのか。これは面白い体験だった。さずがSOLID BASSシリーズの最高峰というだけあって、ベースラインは太く、深く、それでいてタイトに聴かせてくれる。そのおかげで音楽が筋肉質になったかのようだ。輪郭も明瞭で、彼女のグルーブ感溢れるプレイを堪能できた。こうして過去に親しんだ楽曲にも、新たなイメージを授けてくれたのだった。
耳穴にすっぽりフィットするような小ささと、豊かな低音域を醸し出すこと、それらを両立させることは、イヤホンにおいて極めて困難な問題である。スピーカーに置き換えればわかりやすいはずだ。小型のブックシェルフ型から、ふくよかな低域を溢れさせるためには、それ相応の工夫が必要だ。そのために、バスレフポートの採用や、低域を自然な厚みを持たせるダクトなどを内蔵している製品があることは、周知のとおりだろう。
オーディオテクニカは、そうした豊かな低域再生に注力してきたブランドのひとつだ。“SOLID BASS”と銘打たれたシリーズがそれに当たる。低域を増強するのは以下の2つの仕組み。ひとつはハウジングとは別に空気室(チャンバー)を用意したこと。これで低域の充実に不可欠な容積を稼いだ。もうひとつは、イヤピースが2段階で調整可能な2ポジションポストの採用だ。遮音性を高め、また音漏れも抑えられるから、低域を余すことなく伝えられる。
さて、ATH-CKS77X、ATH-CKS55Xは、そんなSOLID BASSシリーズの最新モデルである。大きな進化点は、両モデルとも、チャンバー部を新たなものとしたことだ。その名称は「エクストラチャンバーメカニズム」。より高度な設計で、低域再生をパワーアップさせた。ドライバーも12.5mmのものを新開発している。さらに上位機であるATH-CKS77Xは、ボディに切削無垢アルミニウムを採用。その剛性の高さで不要な響きを抑える狙いだ。
では、これらでまずデヴィッド・ボウイの新譜『ザ・ネクスト・デイ』を聴く。まずATH-CKS55X。ボーカルの奥行きや深さ、そして確かにベースが存在感を主張する。力強く、音楽の底から低域が迫り上ってくるようだ。そのおかげもあって、全体として濃密な空間が出現する。
ATH-CKS77Xでは、それにスピード感が加わってくる。音場も広大だ。そしてやはり低域のパワーに圧倒される。ベースやドラムスはもちろん、ストリングスやキーボードの低音もたっぷりとした深みを湛えている。しかし、それが決してわざとらしくないところが、このモデルの真骨頂だろう。
それならと思い、一年ほど前に発売され、良く聴いたエスペランサ『ラジオ・ミュージック・ソサイエティ』を引っ張り出してきた。さて、彼女の弾くベースラインがどのように聴こえるのか。これは面白い体験だった。さずがSOLID BASSシリーズの最高峰というだけあって、ベースラインは太く、深く、それでいてタイトに聴かせてくれる。そのおかげで音楽が筋肉質になったかのようだ。輪郭も明瞭で、彼女のグルーブ感溢れるプレイを堪能できた。こうして過去に親しんだ楽曲にも、新たなイメージを授けてくれたのだった。