【特別企画】4K映像の高精細映像を描き切るスクリーンとは!?
オーエス「ピュアマットIII」の“4K対応度”を山之内正&鴻池賢三がレビュー
■4K映像の精細感を描ききる抜群のフォーカス感 |
取材・執筆/鴻池賢三
■4K映像を堪能できる映像ファン待望の幕面
一昨年、ソニーよりホーム用4Kプロジェクターが登場して以来、その精細な映像に映像ファンの注目が集まっている。眼前を覆い尽くすほどの近接視聴でも画素を感じさせない滑らかな映像は、それだけでも価値があり、超解像技術も相まって引き出される4Kマスターの画は、細部の緻密な描写に加え、空気感や奥行き感までもリアルに再現する。
だからこそ、その受け手となるスクリーンがきわめて重要な役割を果たすのは言うまでもない。4Kプロジェクターの高精細な映像と色彩を100%引き出すためにはスクリーンにもこだわりたいところだ。
では、4K時代に必要なスクリーンの要素とは一体何であろうか? その問に対するひとつの解として、スクリーンメーカーの老舗・オーエスが満を持して投入する幕面がピュアマットIII(WF301)である。
ピュアマットIIIは、フルHD時代に好評を得たピュアマットIIEX(WF203)と同じく、“なにも足さない、なにも引かない映像表現"という元画忠実の思想を根底に、幕面を構成する繊維の幅を約半分にすることで、織り構造の微細化を図り、4Kプロジェクターが放つ約800万もの高画素と、尖鋭なフォーカスを余さず受け止める密度と平滑性を獲得している。
また、色再現の点でもピュアマットIIEXを踏襲。幕面の繊維に含浸させた化合物は、可視光線を分光特性ベースで均一に反射する性質を備え、プロジェクターからの投写光を色付きなく再現可能だ。これは基準の白である6500K投写時の反写光測定結果でも裏付けられる。
■幕面に吸い付くような映像の安定感に驚愕
視聴は120インチ張込み仕様のピュアマットIIIと、ソニーの4Kプロジェクター・VPL-VW1000ESを組み合わせて行ったが、まず目に止まったのが幕面に吸い付くような映像の安定感である。
張込み式の特長として完璧な平滑性が挙げられるか、同じ平滑さを持つ幕面でも、塩ビ素材にシボ加工を施したスクリーンでは、凹のない平らな部分も存在し、それがテカリとなって現れる。一方、ピュアマットIIIは、立体形状に織り込んだ極細繊維が入射光をランダムな方向に拡散反射することで、完璧とも言えるシルキーさと、幕面自体が発光しているかのような安定した色彩を放つ。
『アメイジング・スパイダーマン』では、4Kデジタルシネマカメラで撮影された4Kマスターの解像感に加え、VPL-VW1000ESが持つ官能的なピーク感と明暗のダイナミックレンジ、滑らかなグラデーション描写を見事に引き出し、再生を一時停止しワンシーンを切り取っても、奥行き感を感じさせる感動的な画質を確認することができた。まるで優れたレンズを持つカメラで撮影された写真に心を奪われるかのような感覚だ。色再現は投射光に忠実なのは測定結果からも明白だが、色彩の透明感も実に秀逸で、広色域のDCI基準で投写してもその印象が変わることはない。
4Kプロジェクターが放つ新たな映像世界。それは劇場での映像体験を凌駕するといっても決して言い過ぎではない。この極上の映像体験を余すことなく堪能させてくれる、ピュアマットIIIはそんな4K時代の幕開けに相応しい、映像ファン待望の幕面である。