[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域
【第55回】これが究極の低音ホン!? “ベーシストのため”のヘッドホンを聴く
■“ベーシストのため”のヘッドホン「H850」に迫る
まず見た目だが、質実剛健。強いて意匠はと言えばハウジングのヘアライン仕上げだ。
それほど大きくはなく、重くもない。もっと大型にした方が低音再生能力の面だけで考えれば有利なのだが、ベーシストのプレイングモニター(演奏しながら自身の音や他の楽器の音を確認するモニターヘッドホン)として考えると、大きくて重いヘッドホンは使われにくいだろう。
実際、装着感は軽快だ。重さは感じられないし、イヤーパッドはすっぽりと耳を覆ってくれるし厚みも十分。頭を挟み込む側圧は控えめなので圧迫感もない。ライブ時のレッチリのフリー氏のように頭を激しく振ったらすっぽ抜けて飛んでいくだろうが、我々はフリー氏でもないし、このヘッドホンはライブ用ではないので問題ない。
「アルティメットベースコンストラクション!」だとか「リニアストリームベースポート!」だとか「硬化テクタイト振動板!」だとか、そんな感じの必殺技っぽい独自技術は搭載されていない。特別な技術を投入したものではなく、オーソドックスしかし入念なチューニングを施したヘッドホンなのだろう。いや、僕は必殺技的なやつも好きなのだけれど。
ではいよいよ音質チェック…の前に、メーカーが説明するこのヘッドホンの狙いを引用して確認しておこう。
・ベースプレーヤーにオススメするヘッドホンですが、基本的にはオーディオ用として幅広く使用されることを前提とした設計
・ベースサウンドが聴きやすい
・通常の音楽を聴くヘッドホンとして品位のあるサウンドクオリティ
・プロ・アマ問わず購入しやすい価格
というわけなので、オーディオ用として使うことも何ら問題ない、それも想定範囲内という製品だ。しかしもちろん鍵は「ベースサウンドが聴きやすい」というところ。これが実際にはどういった音作りになっているのか、そこに特に注目しながらチェック開始だ!
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