ライン/スピーカー/デジタルケーブルを試聴
WireWorld新ケーブル“7シリーズ”徹底レビュー ー 進化した絶縁体で再現力向上
■インターコネクトケーブル
ストレートで正確な再現性で プラチナムは音数と速さが違う
インターコネクトケーブルにはRCAとXLRバランスが用意されているが、複数の機器を使って同時に試聴した。
オアシス7はOFCを導体とするDANヘリックス構造。にじみがなく若干ソリッドに引き締まった音調でバランスがいい。ストレートでハイスピードな出方だ。正確な再現性が同社らしい。
エクリプス7は上級エントリーで、導体にOCCを使用する。しなやかで静かな鳴り方。ピアノのニュアンスが細かく、バロックは潤いが乗る。オーケストラも余韻が豊富でやはり音数が多い。ヴォーカルの表情や切れのよさなど、上級モデルらしい品位を感じる。
これがシルバー・エクリプス7になると、導体はOCCに銀クラッド銅線を加え、音楽的なニュアンスがずっと豊富に出てくる。バロックの潤いと実在感、オーケストラの実体感と空間性、ヴォーカルの透明度と低域の伸びなど、この間の違いはかなり大きい。
さらにゴールド・エクリプス7は銀の単線を使用し、ニュアンスがもっと細かくなる。余韻が豊富でピアノはステージが明瞭。バロックの瑞々しい潤いもリアルだ。オーケストラは楽器の周囲の空間まで感じられ、ヴォーカルはピントが鮮明でますますリアルになる。
そしてプラチナム・エクリプス7は、OCCに銀単線を加えて使用。ピアノの低音部のタッチ、バロックのチェロの実在感など、低域のニュアンスがこぼれるようだ。オーケストラの空気感やボーカルの表情など、立ち上がりの音数と速さがこれだけの違いを生む。
■スピーカーケーブル
くっきりしてバランスがいい
上位ほど生に近くなっていく
最後にスピーカーケーブルだが、ソリスタイス7は汎用モデルで導体にOFCを使用する。くっきりしてバランスがいいのは、ほかのジャンルのエントリーモデルと同様だ。
中級モデルのエクイノックス7になるとかなり様子が変わり導体はOCC。ここから上は芯線4組で構成する。ニュアンスが細かくなり、バロックの華やかな潤い、オーケストラの表情など緻密だ。
シルバー・エクリプス7はOCCと銀クラッド銅線。しなやかさが加わり、余韻が豊富で表情がずっと豊かになる。オーケストラの低域のニュアンスが多彩だ。
さらにゴールド・エクリプス7は芯の明確さと余韻の豊かさ、低域の強靭さまで備わっている。
生に近くなってくるのが明らかだが、最上位のプラチナム・エクリプス7はOCCと銀単線。ピアノもオーケストラもホールそのままの感触で、ヴォーカルの生々しさなど全てに隔絶した印象がある。上には上があるもので、グレードの違いが実に鮮明である。
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(株)ナスペック
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■執筆者紹介
井上千岳 Chitake Inoue
東京都大田区出身。慶應大学法学部・大学院修了。有名オーディオメーカーの勤務を経て、翻訳(英語)・オーディオ評論をはじめる。神奈川県葉山に構える自宅視聴室でのシビアな評論活動を展開、ハイエンドオーディオはもちろん高級オーディオケーブルなどの評価も定評がある。主な著書は『デジタルオーディオのすべて:DA変換技術をわかりやすく解説』(電波新聞社刊)。翻訳では、海外オーディオブランドの国内向けカタログを多数手がける。趣味は5歳より始めたピアノで、本格的な演奏を楽しむ。ほかに、登山をたしなみ、鮮魚料理(いわし)、日本酒にも目がない。