AKGからプロユースの新製品登場!
原音を緻密に再現 − AKG 「K712 PRO」「K612 PRO」登場!
■新たなフラッグシップモデル「K712 PRO」
コンデンサマイクをはじめとするプロ用機器を幅広く手がけているAKGだけあって、ヘッドホン/イヤホンはコンシューマー向けと同時に、プロユースを前提としたラインナップも用意されている。そんな、スタジオモニターやDJ用のモニタリングヘッドホンなどをメインに展開しているプロ向けのラインから、一挙に2台もの新製品が登場した。それが今回紹介する「K712 PRO」と「K612 PRO」である。
このうち「K712 PRO」は、ベストセラー「K702」の上位モデルで、プロ向けオープンエアー型ヘッドホンとしては、こちらが新たなフラッグシップとなる。とはいえ、オープンエアーのハウジングやセルフアジャスト機能付きのヘッドバンド、ミニXLR採用の着脱式ケーブルなど、スタイル/機能的にはK702オリジナルとほぼ同一。カラーリングがこれまでのダークブルー×ブラックからマッドグレー×オレンジに変わった程度なのだが、どことなく質感が向上したようにも感じられる。
いっぽう搭載テクノロジーについても、ボイスコイルを小型軽量化しレスポンスを向上させた「フラットワイヤー・ボイスコイル」や、減衰特性が異なる2つの素材を組み合わせた「TWO-LAYERダイヤフラム」、ダイヤフラムの厚みを中心部と外縁部で変更することで低歪みとダイナミックな音楽表現を両立する「バリモーション・テクノロジー」など、キモとなる部分は変わりない。
しかしながら、ドライバー自身は全くの新設計となり、イヤーパッドにも低反発素材を採用するなど、音質、装着性の両面から確かな進化のほどが垣間見られる。
結果として、「K712 PRO」のサウンドは「K702」に対してややキャラクターが異なっているイメージ。ヘッドホンとは思えない豊かな広がり感を持つ音場表現は変わらないものの、レスポンスが向上しているのだろう、一段とキレの良い、それでいて抑揚豊かな表現に生まれ変わっている。
また、低域の押し出し感もはっきりと強まっていて、いちだんと演奏がダイナミックに感じられるようになったほか、高域とのボリュームバランスが絶妙に整い、かえって聴きやすい、ニュートラルな帯域バランスとなった。実際、AKGからのインフォメーションでは、低域が+3dBほどレスポンスアップしているようだが、このあたりは、新ドライバーの特性とともに低反発イヤーパッド採用の恩恵もありそうだ。
帯域バランス、音色傾向ともに素直、それでいてダイナミックなサウンドが楽しめるというキャラクターは、これまでの「K702」シリーズにはない、「K712 PRO」ならではのアドバンテージといえる。「K702」は気になるけどもうちょっと元気なサウンドが欲しい、と思っていた人には、ぴったりかもしれない。とはいえ、「K702」は「K702」なりの高い完成度を持ちあわせているので、優劣というよりも好みの問題といえる。
■ハイコストパフォーマンスモデル「K612 PRO」
さて、もうひとつの新製品「K612 PRO」は、ドライバーに「K702」シリーズと同じテクノロジーを採用しつつ、手軽な価格を実現したハイコストパフォーマンスモデルだ。外観は、「K601」とほとんど変わらないオープンエアー型。ダークグレーを基調としたカラーリングを採用したおかげか、ずいぶんとシックな印象を憶える。このあたりは、プロユースを意識した結果なのかもしれない。
しかしながら、「K612 PRO」のサウンドを聴いて驚いた。「K712 PRO」に比較すると解像度感などがやや劣り、曲調によっては多少表現に荒っぽさを感じるものの、伸びやかな歌声、重層的で広がり感のある音場表現は健在。AKGオープンエアーならではのキャラクターは、しっかり受け継がれている。音色はややライトなイメージだが、その分聴き心地が良いこともあり、「K612 PRO」のほうが好みという人がいるかもしれない。17,000円前後という実売価格を考えると、とても魅力的な、コストパフォーマンスの高いサウンドだ。
最後に、「K712 PRO」と「K612 PRO」に共通する嬉しい話題をひとつ。プロ向けのAKGヘッドホンは、家電量販店ではなく楽器店などで入手できるが、その際、2年間の長期保証が付属しているという。大事に扱えばそうそう壊れることはないが、いざというときにはありがたいサービスといえる。
(野村ケンジ)
SPECIFICATIONS
K712 PRO
●型式:オープンエアー型 ●感度(1kHz):93dB SPL/mW ●再生周波数帯域:10Hz〜39.8kHz ●最大許容入力:200mW ●インピーダンス:62Ω ●イヤーパッド:アラウンドイヤー、着脱式、ベロア製 ●入力コネクター:3.5mmステレオ・ミニプラグ(金メッキ) ●ケーブル:着脱式、片出し ●ケーブルの長さ:3m(ストレート)、5m(カールコード) ●質量:298g(除ケーブル) ●付属品:ヘッドホンケーブル(3mストレート、5mカールコード)、標準プラグアダプター、キャリングポーチ
K612 PRO
●型式:オープンエアー型 ●感度(1kHz):92dB SPL/mW ●再生周波数帯域:12Hz〜39.5kHz ●最大許容入力:200mW ●インピーダンス:120Ω ●イヤーパッド:アラウンドイヤー、着脱式、ベロア製 ●入力コネクター:3.5mmステレオ・ミニプラグ(金メッキ) ●ケーブル:片出し、ストレート ●ケーブルの長さ:3m ●質量:256g(除ケーブル) ●付属品:標準プラグアダプター
コンデンサマイクをはじめとするプロ用機器を幅広く手がけているAKGだけあって、ヘッドホン/イヤホンはコンシューマー向けと同時に、プロユースを前提としたラインナップも用意されている。そんな、スタジオモニターやDJ用のモニタリングヘッドホンなどをメインに展開しているプロ向けのラインから、一挙に2台もの新製品が登場した。それが今回紹介する「K712 PRO」と「K612 PRO」である。
このうち「K712 PRO」は、ベストセラー「K702」の上位モデルで、プロ向けオープンエアー型ヘッドホンとしては、こちらが新たなフラッグシップとなる。とはいえ、オープンエアーのハウジングやセルフアジャスト機能付きのヘッドバンド、ミニXLR採用の着脱式ケーブルなど、スタイル/機能的にはK702オリジナルとほぼ同一。カラーリングがこれまでのダークブルー×ブラックからマッドグレー×オレンジに変わった程度なのだが、どことなく質感が向上したようにも感じられる。
いっぽう搭載テクノロジーについても、ボイスコイルを小型軽量化しレスポンスを向上させた「フラットワイヤー・ボイスコイル」や、減衰特性が異なる2つの素材を組み合わせた「TWO-LAYERダイヤフラム」、ダイヤフラムの厚みを中心部と外縁部で変更することで低歪みとダイナミックな音楽表現を両立する「バリモーション・テクノロジー」など、キモとなる部分は変わりない。
しかしながら、ドライバー自身は全くの新設計となり、イヤーパッドにも低反発素材を採用するなど、音質、装着性の両面から確かな進化のほどが垣間見られる。
結果として、「K712 PRO」のサウンドは「K702」に対してややキャラクターが異なっているイメージ。ヘッドホンとは思えない豊かな広がり感を持つ音場表現は変わらないものの、レスポンスが向上しているのだろう、一段とキレの良い、それでいて抑揚豊かな表現に生まれ変わっている。
また、低域の押し出し感もはっきりと強まっていて、いちだんと演奏がダイナミックに感じられるようになったほか、高域とのボリュームバランスが絶妙に整い、かえって聴きやすい、ニュートラルな帯域バランスとなった。実際、AKGからのインフォメーションでは、低域が+3dBほどレスポンスアップしているようだが、このあたりは、新ドライバーの特性とともに低反発イヤーパッド採用の恩恵もありそうだ。
帯域バランス、音色傾向ともに素直、それでいてダイナミックなサウンドが楽しめるというキャラクターは、これまでの「K702」シリーズにはない、「K712 PRO」ならではのアドバンテージといえる。「K702」は気になるけどもうちょっと元気なサウンドが欲しい、と思っていた人には、ぴったりかもしれない。とはいえ、「K702」は「K702」なりの高い完成度を持ちあわせているので、優劣というよりも好みの問題といえる。
■ハイコストパフォーマンスモデル「K612 PRO」
さて、もうひとつの新製品「K612 PRO」は、ドライバーに「K702」シリーズと同じテクノロジーを採用しつつ、手軽な価格を実現したハイコストパフォーマンスモデルだ。外観は、「K601」とほとんど変わらないオープンエアー型。ダークグレーを基調としたカラーリングを採用したおかげか、ずいぶんとシックな印象を憶える。このあたりは、プロユースを意識した結果なのかもしれない。
しかしながら、「K612 PRO」のサウンドを聴いて驚いた。「K712 PRO」に比較すると解像度感などがやや劣り、曲調によっては多少表現に荒っぽさを感じるものの、伸びやかな歌声、重層的で広がり感のある音場表現は健在。AKGオープンエアーならではのキャラクターは、しっかり受け継がれている。音色はややライトなイメージだが、その分聴き心地が良いこともあり、「K612 PRO」のほうが好みという人がいるかもしれない。17,000円前後という実売価格を考えると、とても魅力的な、コストパフォーマンスの高いサウンドだ。
最後に、「K712 PRO」と「K612 PRO」に共通する嬉しい話題をひとつ。プロ向けのAKGヘッドホンは、家電量販店ではなく楽器店などで入手できるが、その際、2年間の長期保証が付属しているという。大事に扱えばそうそう壊れることはないが、いざというときにはありがたいサービスといえる。
(野村ケンジ)
SPECIFICATIONS
K712 PRO
●型式:オープンエアー型 ●感度(1kHz):93dB SPL/mW ●再生周波数帯域:10Hz〜39.8kHz ●最大許容入力:200mW ●インピーダンス:62Ω ●イヤーパッド:アラウンドイヤー、着脱式、ベロア製 ●入力コネクター:3.5mmステレオ・ミニプラグ(金メッキ) ●ケーブル:着脱式、片出し ●ケーブルの長さ:3m(ストレート)、5m(カールコード) ●質量:298g(除ケーブル) ●付属品:ヘッドホンケーブル(3mストレート、5mカールコード)、標準プラグアダプター、キャリングポーチ
K612 PRO
●型式:オープンエアー型 ●感度(1kHz):92dB SPL/mW ●再生周波数帯域:12Hz〜39.5kHz ●最大許容入力:200mW ●インピーダンス:120Ω ●イヤーパッド:アラウンドイヤー、着脱式、ベロア製 ●入力コネクター:3.5mmステレオ・ミニプラグ(金メッキ) ●ケーブル:片出し、ストレート ●ケーブルの長さ:3m ●質量:256g(除ケーブル) ●付属品:標準プラグアダプター