【特別企画】エプソン新プロジェクターの実力に迫る
大橋伸太郎が観た「EH-TW8200」ー 家庭での映画視聴に最もおすすめしたいモデル
現代私達が見る映像は、過去から現在まで技術の変遷を経た様々なカメラで撮影され、多種多様なフォーマットで記録保存されている。最も代表的な映画ひとつをとっても、モノクロ(銀塩)フィルム実写、カラーフィルム実写、アニメーション、CG、3DCGアニメ、ハイビジョン撮影、4Kシューティングが混在し、しかも全ての映画に欧米で“LOOK"と称されることの多い、固有の世界を構築するための撮影と画質の設定がある。
現代の私達は美しい映像に恵まれた時代に生きている一方で、映像を見る上で新たな課題(贅沢な悩み?)に日々直面してもいるのだ。現代のホームシアター用ディスプレイは、映像のすべてに柔軟に寄り添い作品の映像世界を的確に表出していくことが求められる。だから、選別の目は厳しいものになり、それに適う製品は少数である。
その一つがエプソンの最新鋭3LCD プロジェクター「EH-TW8200」。ワイヤレストランスミッターつきで、フルHDの映像を無線伝送できる「EH-TW8200W」もラインナップされている。
TW8200を推奨する理由は、家庭で映像を楽しむ全ての条件、画質、機能、設置まで全て満たした完成度の高い高画質機であることによる。まずは10月3日に発売されたばかりの本機のプロフィールに先に触れておこう。
昨季の「EH-TW8100」からの進歩の第一は、エプソンの3LCD最上位機種のキーテクノロジーである「ディープブラックテクノロジー」をさらに高め研ぎ澄ましたことにある。一般に、コントラストの土台である黒表現と暗部階調はLCOS(反射型液晶)やDLP方式に利がある。透過型液晶の場合、デバイスの画素の開口率に一定の制限があり光の有効利用率で劣る。それを克服し、LCOSやDLPに肩を並べる黒表現を可能にしたのが「ディープブラックテクノロジー」である。
UHEランプの反射鏡の形状まで含む光学システムの効率を追求して生まれたものだが、今季は新規オートアイリスを採用し、遮光率を上げることにより無駄な光を抑えた。その結果、セットとしてのコントラストは60万:1、ピーク輝度は2,400lmに達した。ちなみに昨季のTW8100(W)は、それぞれが、32万:1、2,400lmであった。
第二に、超解像とフレーム補間を3Dにも適用できるようになった。3Dの場合、コマ数が減るため補間による効果は大きいのである。
心臓部の透過型液晶デバイスは昨季のTW8100からキャリーオーバーのD9パネルで、下位機のTW7200と同じ、3群8枚構成のレンズもTW7200と共通だが、TW8200の場合、マルチレンズの作りこみと組み込み精度を高めてフォーカス精度とフレアー感で同時発売のTW7200に一枚上を行くという。
暗部や色表現の見事さに刮目
設置性もあわせ、家庭での映画視聴に最もおすすめしたいモデル
視聴は音元出版の視聴室で9月2日と10月2日の二度にわたって「EH-TW8200」を使って行った。
最初に強い印象を受けたのが、暗部表現の見事さである。昨年のアカデミー音響編集賞を受賞した『ゼロ・ダーク・サーティ』のクライマックス、ウサマ・ビン・ラディンのアジトの急襲に向かうシーンは、CGで描画されていると思えない臨場感とリアリティがあり、その決め手がアフガニスタンの夜の原野を低空飛行する米軍のステルスヘリの近接描写である。見掛けのコントラストを稼ぐならガンマを寝かせて黒を早めに引き込んでしまえばいい。しかしTW8200はそれを潔しとしない。非常に暗いなかに豊富な情報が隠れていて、それが映画の迫真性を生み出しているからである。EH-TW8200は絶妙の暗部表現で原野の起伏と二機の機影を描き出す。某社の4Kテレビで同じシーンを見て原野が赤く色浮きし興をそがれたことがある。輝度が低いほどRGBのバランスが難しくなるためで、その点TW8200は暗部階調の管理が見事に行き届いている。
次に見たのが、ジェニファー・ローレンスが主演女優賞を得た『世界にひとつのプレイブック』。一転してラブコメらしい現代アメリカの都会が舞台の温かく美麗な色彩の映画だが、ここで印象付けられたのがTW8200の中間色の美しさだ。
劇映画はカラー化以来「希望」「憧憬」「憂鬱」「情熱」といった人間の思いを象徴する色彩で構成されている。BDがハイビジョンの広色域を得た今、映画の色彩設計を忠実に再現することが家庭用ディスプレイの役割だが、EH-TW8200は中間色のバラエティと艶やかさで抜きん出ている。フル10bit(場合によって12bit処理)のカラープロセッシングが奏功している。
他方式LCOSやDLPの「広色域」はもっぱら原色の純度を指している。しかし、デジタルアニメを除けば、実写映画の映像は原色でなく中間色で構成されている。EH-TW8200には、中間色の「艶」「濁り」「翳り」まで表現する練り上げられた豊かな色彩表現がある。RGBCMY6軸調整を初めてプロジェクターに搭載したのもエプソンだった。EH-TW8200のカラリストぶりは、同社がカラープリンターの経験が厚く色彩表現に独自のノウハウを持つとことと深い関係がある。
『世界にひとつのプレイブック』は、撮影にシェイキーカムが多用され、登場人物の感情の不安定さを映す映像のある種の<気忙しさ>が特徴だが、この点でもTW8200のフレーム補間が自然でなめらかな動きを大画面に生み出し、クライマックスのダンスシーンでパートナーの絆を得た登場人物の自己回復を象徴するような活き活きとした流動感が映像に生まれ感動を膨らませてくれた。
多種多様な高画質映像の氾濫を受け止め、それぞれの個性をスクリーン上に表現していかねばならない今だから求められる高次元の要求を満たした高画質プロジェクターが、エプソンの「EH-TW8200」である。画質に優れるだけでない。レンズシフトも上下96%、左右47%と可動範囲で高級機種中群を抜く。また、「EH-TW8200W」は非圧縮ワイヤレスで映像を再生することが可能だ。映像同様、さまざまな空間にもフィットするプロジェクターである。前面吸排気のスペースセイビングも含め設置性で他を圧倒する。画質、機能、設置性。個人が家庭で映画を見るという行為に寄り添った、現在最右翼のオールマイティのプロジェクターと言えるだろう。
現代の私達は美しい映像に恵まれた時代に生きている一方で、映像を見る上で新たな課題(贅沢な悩み?)に日々直面してもいるのだ。現代のホームシアター用ディスプレイは、映像のすべてに柔軟に寄り添い作品の映像世界を的確に表出していくことが求められる。だから、選別の目は厳しいものになり、それに適う製品は少数である。
その一つがエプソンの最新鋭3LCD プロジェクター「EH-TW8200」。ワイヤレストランスミッターつきで、フルHDの映像を無線伝送できる「EH-TW8200W」もラインナップされている。
TW8200を推奨する理由は、家庭で映像を楽しむ全ての条件、画質、機能、設置まで全て満たした完成度の高い高画質機であることによる。まずは10月3日に発売されたばかりの本機のプロフィールに先に触れておこう。
昨季の「EH-TW8100」からの進歩の第一は、エプソンの3LCD最上位機種のキーテクノロジーである「ディープブラックテクノロジー」をさらに高め研ぎ澄ましたことにある。一般に、コントラストの土台である黒表現と暗部階調はLCOS(反射型液晶)やDLP方式に利がある。透過型液晶の場合、デバイスの画素の開口率に一定の制限があり光の有効利用率で劣る。それを克服し、LCOSやDLPに肩を並べる黒表現を可能にしたのが「ディープブラックテクノロジー」である。
UHEランプの反射鏡の形状まで含む光学システムの効率を追求して生まれたものだが、今季は新規オートアイリスを採用し、遮光率を上げることにより無駄な光を抑えた。その結果、セットとしてのコントラストは60万:1、ピーク輝度は2,400lmに達した。ちなみに昨季のTW8100(W)は、それぞれが、32万:1、2,400lmであった。
第二に、超解像とフレーム補間を3Dにも適用できるようになった。3Dの場合、コマ数が減るため補間による効果は大きいのである。
心臓部の透過型液晶デバイスは昨季のTW8100からキャリーオーバーのD9パネルで、下位機のTW7200と同じ、3群8枚構成のレンズもTW7200と共通だが、TW8200の場合、マルチレンズの作りこみと組み込み精度を高めてフォーカス精度とフレアー感で同時発売のTW7200に一枚上を行くという。
暗部や色表現の見事さに刮目
設置性もあわせ、家庭での映画視聴に最もおすすめしたいモデル
視聴は音元出版の視聴室で9月2日と10月2日の二度にわたって「EH-TW8200」を使って行った。
最初に強い印象を受けたのが、暗部表現の見事さである。昨年のアカデミー音響編集賞を受賞した『ゼロ・ダーク・サーティ』のクライマックス、ウサマ・ビン・ラディンのアジトの急襲に向かうシーンは、CGで描画されていると思えない臨場感とリアリティがあり、その決め手がアフガニスタンの夜の原野を低空飛行する米軍のステルスヘリの近接描写である。見掛けのコントラストを稼ぐならガンマを寝かせて黒を早めに引き込んでしまえばいい。しかしTW8200はそれを潔しとしない。非常に暗いなかに豊富な情報が隠れていて、それが映画の迫真性を生み出しているからである。EH-TW8200は絶妙の暗部表現で原野の起伏と二機の機影を描き出す。某社の4Kテレビで同じシーンを見て原野が赤く色浮きし興をそがれたことがある。輝度が低いほどRGBのバランスが難しくなるためで、その点TW8200は暗部階調の管理が見事に行き届いている。
次に見たのが、ジェニファー・ローレンスが主演女優賞を得た『世界にひとつのプレイブック』。一転してラブコメらしい現代アメリカの都会が舞台の温かく美麗な色彩の映画だが、ここで印象付けられたのがTW8200の中間色の美しさだ。
劇映画はカラー化以来「希望」「憧憬」「憂鬱」「情熱」といった人間の思いを象徴する色彩で構成されている。BDがハイビジョンの広色域を得た今、映画の色彩設計を忠実に再現することが家庭用ディスプレイの役割だが、EH-TW8200は中間色のバラエティと艶やかさで抜きん出ている。フル10bit(場合によって12bit処理)のカラープロセッシングが奏功している。
他方式LCOSやDLPの「広色域」はもっぱら原色の純度を指している。しかし、デジタルアニメを除けば、実写映画の映像は原色でなく中間色で構成されている。EH-TW8200には、中間色の「艶」「濁り」「翳り」まで表現する練り上げられた豊かな色彩表現がある。RGBCMY6軸調整を初めてプロジェクターに搭載したのもエプソンだった。EH-TW8200のカラリストぶりは、同社がカラープリンターの経験が厚く色彩表現に独自のノウハウを持つとことと深い関係がある。
『世界にひとつのプレイブック』は、撮影にシェイキーカムが多用され、登場人物の感情の不安定さを映す映像のある種の<気忙しさ>が特徴だが、この点でもTW8200のフレーム補間が自然でなめらかな動きを大画面に生み出し、クライマックスのダンスシーンでパートナーの絆を得た登場人物の自己回復を象徴するような活き活きとした流動感が映像に生まれ感動を膨らませてくれた。
多種多様な高画質映像の氾濫を受け止め、それぞれの個性をスクリーン上に表現していかねばならない今だから求められる高次元の要求を満たした高画質プロジェクターが、エプソンの「EH-TW8200」である。画質に優れるだけでない。レンズシフトも上下96%、左右47%と可動範囲で高級機種中群を抜く。また、「EH-TW8200W」は非圧縮ワイヤレスで映像を再生することが可能だ。映像同様、さまざまな空間にもフィットするプロジェクターである。前面吸排気のスペースセイビングも含め設置性で他を圧倒する。画質、機能、設置性。個人が家庭で映画を見るという行為に寄り添った、現在最右翼のオールマイティのプロジェクターと言えるだろう。