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若手評論家4人が聴く ー オーディオテクニカ“IMシリーズ”全6機種総合レビュー

公開日 2013/12/04 00:01
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ATH-IM03  by 野村ケンジ /製品詳細情報はこちら

手間を惜しまず最適な音を追求する姿はオーディオテクニカの真骨頂
まとまりの良さ、完成度の高さはかなりのもの



ATH-IM03/¥OPEN(予想実売価格39,800円前後)
エントリーからハイエンドまで、ヘッドホンに関して幅広いラインナップを取りそろえているオーディオテクニカ。なかでもBA型ドライバー搭載のカナル型イヤホン“CKシリーズ"は、登場以来多くの人に親しまれてきた人気モデルだ。そんな定評あるシリーズが、この冬に一新され、IMシリーズとして生まれ変わった。

これまでのCKシリーズも、イヤーモニターを意識した作りとなっていたが、IMシリーズではさらにコンセプトを明確化。特殊な樹脂素材を採用する半透明の小柄な筐体や、オリジナル端子による“耳掛け"式の着脱ケーブルなど、まさにイヤーモニター然としたスタイルが与えられている。

ダイナミック型ドライバー搭載モデル2つを含め、全6モデルが一斉デビューしたIMシリーズだが、興味深いのは、共通したアイデンティティを持ちつつもそれぞれが強い個性を発揮していることだ。

たとえば「ATH-IM03」は、フラグシップモデル「IM04」と同じ筐体を採用しているものの、クリアスモークと呼べる半透明のオリジナルカラーを採用。低域1、中域1、高域1の3基が搭載されているドライバーも、他のモデルとは異なる、オリジナルのものだ。一般的に、BAドライバー搭載モデルがシリーズ展開する場合は、まずシングルとしてフルレンジを採用、それに低域用を加えダブル、高域用を加えトリプルという展開になるのだが、IMシリーズはそれぞれに最適な、全く異なるドライバーが搭載されているのだ。こういった手間を惜しまず、最適なサウンドを追求する姿勢は、オーディオテクニカの真骨頂といえるだろう。

そういった作り込みのおかげもあってか、「IM03」の音はなかなかに上質だ。鋭く存在感のある高域が全体の音色を支配した、キレの良い清々しいサウンドでありながら、柔らかく広がる低域のおかげもあって、響きはかなり良い。結果として、“印象派の美音"といったイメージのサウンドを奏でてくれる。相性としてはクラシックが抜群。特に弦の響きが印象的で、普段よりいくぶん力強い、闊達な演奏を楽しませてくれる。女性ヴォーカルとの相性の良さが光るのも、BAドライバーならでは。

このように、「IM03」のまとまりの良さ、完成度の高さはかなりのもの。「CK100pro」が気に入っていて、その進化版が欲しいと思っている人には、ベストなチョイスといえる。

次ページ続いて折原一也がATH-IM04を試聴

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