[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域
【第77回】コルグの新プレーヤーアプリ「AudioGate3 Player」使い勝手&音質徹底ナビ
■AudioGate3で音楽を再生した際の音質をレポート!
まずは同社のUSB-DAC「DS-DAC-100」と組み合わせて、ハイレゾも含めて色々と再生してみた。ヘッドホンはShure「SH1840」を組み合わせた。全体に突出した楽器や帯域を作らないバランスの良さで、何とも普通に良い音だ。高域側では滑らかさや厚みが特に好印象。それでいて例えばハイハットシンバルはある曲では落ち着いたピシッと感、ある曲では金属の質感を強めに出すなど、滑らかさに偏らない描き分けもしっかりとしている。ベースやドラムスなど低音楽器は太さとキレを共に確保しており、ここでもバランスが良い。
続いて、DS-DAC-100はDSD再生の他は他の再生アプリとの組み合わせでも動作するし、AudioGate3は他社DACとの組み合わせでも動作する。そこで、
A-1)AudioGate3+DS-DAC-100
A-2)iTunes+DS-DAC-100
B-1)AudioGate3+iBasso Audio D55
B-2)iTunes+iBasso Audio D55
…の組み合わせを比較試聴することで、DAC側の印象をできるだけ切り離して、AudioGate3自体の音質を探ってみた。
A)はAudioGate3で聴く方が明らかにクリア。AudioGate3で聴いてから同じ曲をiTunesで聴くと、音のエッジが雑というか荒いというか、残念な感じだ。これはAudioGate3の完全勝利。
B)も同じ傾向でAudioGate3の方が優位ではあるが、その差は小さくなる印象だ。とはいえこれもAudioGate3優勢であることは確か。
総じてAudioGate3の再生音質は良好と言えるだろう。となると…。
前述のようにこのアプリは、コルグのUSB-DACと組み合わせてアクティベーションした際にしか48kHz超のサンプリング周波数でDACに送り出すことができない。アプリ単体として見た場合、その点は大きな弱点ではある。
しかし逆に考えれば、48kHzまでの音源の再生であればどのDACとの組み合わせでも無料で不足なく使え、音質面ではiTunesあたりに対しては優位がある。ということは、CDからリッピングした44.1kHz/16bit音源の再生が中心のユーザーにとっては、このアプリは「無料の高音質再生アプリ」になるわけだ。この点は注目に値するだろう。
…というわけで、今回はAudioGate3をチェックしてみた。冒頭で述べたように、このバージョン(3.0.0)での僕の試用環境では、挙動が不安定であったり動作しなくて試せない機能もあったりした。しかしまあ、細かなところはアップデートで改善されるだろう。まずは新しい方向性を打ち出し、それを形にしたことがポイントだ。より多くのオーディオファンにとってよりなじみやすく実用的な再生アプリに生まれ変わっており、アプリ単体としてもコルグのDACと合わせてのシステム全体としても、より強くアピールできるものになったと言える。
高橋敦 TAKAHASHI,Atsushi 趣味も仕事も文章作成。仕事としての文章作成はオーディオ関連が主。他の趣味は読書、音楽鑑賞、アニメ鑑賞、映画鑑賞、エレクトリック・ギターの演奏と整備、猫の溺愛など。趣味を仕事に生かし仕事を趣味に生かして日々活動中。 |
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