[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域
【第77回】コルグの新プレーヤーアプリ「AudioGate3 Player」使い勝手&音質徹底ナビ
■好ましい意味で“オーソドックス”な再生アプリ機能
その再生アプリとしての機能や使い勝手をまずは大まかに評価すると、大規模な音楽ライブラリ管理までは想定していないし対応できないが、再生アプリとしての基本機能は押さえてあり、それらの機能の使いやすさにも不備はない。好ましい意味でオーソドックスな作りだ。
大規模な音楽ライブラリ管理は想定していないと思われるのは、例えばカラムブラウザ(ジャンル/アーティスト/アルバムなどのように徐々に絞り込める形式)等の、ライブラリ表示形式の選択肢が用意されていないことからだ。ライブラリ表示はずらっと並ぶリスト表示のみで、できることといえば項目(タイトルやアーティスト)を選んで並び替えするくらい。
だから、iTunes的なライブラリ管理の役割を期待して使うものではない。位置付けとしては「再生専用高音質アプリ」のグループに入るだろう(再生音質については後述)。
そうと割り切り、あくまでも再生専用アプリとして見れば、これは使いやすい部類だ。例えばライブラリの曲からのプレイリスト作成機能もわかりやすく完備されている。
■新たに搭載された注目機能「iTunesのソングを追加」
…というわけなので、iTunesユーザーはiTunesと本アプリを併用するスタイルになるかと思うのだが、そこで新たに搭載された注目機能が「iTunesのソングを追加」だ。iTunesのライブラリからこのアプリのライブラリに曲を読み込むことができる。
そしてさらに、iTunesに新しい曲を追加した場合はこの機能をさらに実行することで、iTunesに新たに追加された差分だけを読み込めるとのこと。これは実用的だ。
ただ僕が試したところでは、このVer.3.0.0ではどうも、iTunesのライブラリを外付けハードディスクに移動している場合、見つけてくれないようだ。そういった運用をしているユーザーは、現時点ではこの機能の恩恵を受けられないかもしれない。
■DSDのタグとアートワークを編集できる便利機能も引き続き搭載
またこれは旧バージョンから引き続きだが、機能面で個人的に注目しているのは、このアプリはFLACとDSDも含めてタグ情報とアートワークを編集できるという点だ。FLACのアートワークを編集できる、DSDのタグとアートワークを編集できるアプリは、Mac環境では選択肢が少ない。このアプリでそれをカバーできるのでは、と期待している。
期待している、という言い方になるのは、現状で僕が試した範囲では、動作が期待と異なるからだ。AudioGate3で行ったタグ&アートワーク編集の結果は、AudioGate3では確かにそのように表示されるのだが、その音源ファイルを他の再生アプリに読み込んだ場合には反映されなかった。
しかしこの挙動は不自然なので、僕の環境に起因するローカルな問題ではないかと思える。この点は各自確認してみてほしい。
使い勝手や機能の面は以上のようなところだ。なかなかの出来映えであり、見事な生まれ変わりだという印象だ。いくつか気になったところもあるが、何しろこれは登場したてのバージョン。細部の詰めは今後のアップデートに期待しておく。
さて、この手の再生アプリはもちろん音の良さも重要だ。次ページでそこをざざっとチェックしていこう。