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音質だけでなく使い勝手も検証

ふだん使いに最適な実力派 − PHILIPS “Fidelio"「S1」の魅力とは?

公開日 2014/04/01 11:27 山本 敦
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「S1」とiPhone 5sを組み合わせて、Michael Jacksonのアルバム『Dangerous』から「Black or White」を聴いた。エレキのサウンドは煌びやかでアタックも力強く、ドラムスやエレキベースなどリズムセクションの音は非常に俊敏なレスポンスだ。バンドの中でボーカルの位置がしっかりとセンターに定位して、存在感が打ち消されることはない。高域もきれいによく伸びる。

Michael Jacksonのアルバム『Dangerous』(44.1kHz/16bit)

セミオープンバックのイヤホンは背面から音が通り抜ける構造になっているため、アウトドアリスニングを楽しむ際には外部への音漏れも気をつけたい。S1を電車の中で聴いてみたが、音漏れは少ない方だと思う。ボリュームをセンターより少し上げたポジションで聴いても、周りに環境音もあるためか、背面からの音漏れが気になることはなかった。ただ通勤・通学のピーク時にはボリュームを下げて聴くなど、マナーには十分気を配りたいところ。リモコンはクリック感がしっかりとあって、曲送り/戻しの操作がスムーズに行える。ボリュームコントロールもできたら、なお使い勝手が良かったと思う。

セミオープン型だが、音漏れはほとんど気にならない。カフェでのノマドワーキングにも、「S1」はぴったりだ

■S2とS1それぞれに違う個性が光る

S2に比べると再現可能な音域の広さ、音のバランスではややS2に分があるように感じるが、S1は中低域を中心に力強くバイタリティに溢れるサウンドが魅力的なイヤホンだ。明るい楽曲は心も元気になり、クールな音楽は心を落ち着かせてくれるような、ハートに直接語りかけてくるような音色だ。特にボーカルものの楽曲ではアーティストの存在を極めて身近に感じさせてくれる。

「S1」(左)と「S2」(右)

コンプライ製イヤーピースを装着したところ

イヤーピースをコンプライに変えてみても、外部騒音の遮音性は少し高まるものの基本的な音質傾向は変わらないと思う。好みに応じてシリコンタイプのイヤーピースと使い分けたい。

音のチューニングにはもちろん、フィリップスの「音のエキスパート」であるゴールデン・イヤー(関連ニュース)が深く関わっている。フィリップスでは「良い音」のリファレンスとして、独自にサンプリングを行った「サウンド・シグネチャー」を基準にオーディオ製品の音づくりを行っている。ひとつのサウンド・シグネチャーが絶対基準となっていながら、イヤホンのS2とS1を比べてみても、互いに豊かな個性を備えた上質なサウンドを聴かせてくれるところにオーディオ的な魅力を強く感じる。

サウンドだけではなく、装着感や使い勝手にも配慮が行き届いた「S1」ならば、時間を選ばず、場所を選ばず、日常の中で音楽に没頭することができる

人間工学を熟慮してつくられた本体のハンドリング性能の良さは、使ってすぐに実感できる完成度の高さを持っている。耳への高い装着感、ケーブルの取り回しの良さなど、毎日使うオーディオ機器であるイヤホンのハンドリング性をユーザーの生活に密接しながら高めようとする開発者の情熱が伝わってくる。ワンランク上のポータブルオーディオを求める全ての音楽ファンにお勧めできるイヤホンだ。

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