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同社渾身のKシリーズを視聴する

ESOTERIC新世代の一体型デジタルプレーヤー「K-05」と「K-07」を聴く

公開日 2014/05/15 14:06 山之内 正
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●K-07の概要を知る
基本構成は上級機と同じでメカはVOSPを採用した

続いて姉妹機のK-07の内容を簡単に紹介しておこう。本機はKシリーズのエントリーグレードを受け持つ重要な製品で、メカニズムにはハウジング部に8mm厚の大口径スタビライザーを採用した「VOSP」を搭載し、軸摺動型ピックアップとの組み合わせによって精度の高い読み出しを実現している。DAコンバーターはAK4392のデュアル・モノ構成に変更されているが、チャンネルあたり2回路のパラレル差動出力という基本構成はK-05と共通だ。

そのほか、ハイエンドオーディオ用オペアンプを採用した完全バランス構成のXLR出力、バッファーアンプをチャンネルたり2回路組み合わせたパラレルバッファーRCA出力、192k&kHz/24bit対応のUSB/同軸/光入力など、オーディオ回路とデジタル入力の基本構成は上級機と変わりがない。また、電源部には電源供給力にゆとりのある大型のトロイダルトランスを積んでおり、その点でもK-05との差は見出すことができない。

なお、K-05と本機は10M&kHzを含む外部クロックとの同期に加え、22.5792M&kHz入力によってPLLをパスする「ダイレクト・マスタークロックLINK」にも対応する。これはP-02とD-02に搭載されたものと同様な機能で、外部クロックジェネレーターの精度をDAコンバーターのマスタークロックとして利用することが可能になり、精度がさらに向上するメリットが大きい。

K-07の視聴風景。スピーカーにはディナウディオのコンターS3.4を組み合わせた

●K-07の音に触れる
分解能の高さとハーモニーの忠実な再現が実力の高さを証明

K-07の再生音は、K-05に比べるとテンポ感が若干緩む印象のゆったりとした感触に特徴がある。特に、ウィーン・モーツァルティステンのモーツァルトのように自発的なテンポの推進力を持つアンサンブルを聴くと、その部分がはっきりと浮かび上がってくる。音のアタックや微妙な音速の違いが影響している可能性があるが、弦楽器や木管楽器の音色の多様性は本機にも確実に受け継がれている。ホルンの柔らかい広がりに空間的な制約は感じないし、歪み感と無縁な柔らかいオーボエの音色も大きなアドバンテージのひとつだ。

ヴァント指揮北ドイツ放送響の《カルミナ・ブラーナ》では、ローエンドの伸びこそK-05に一歩譲るものの、各楽器の動きを正確に描き分ける分解能の高さと、合唱のハーモニーの忠実な再現に本機の実力を聴き取ることができた。

《ボリビアのバロックII》ではチャンネルクラシックスの録音に共通する鮮度の高い音色と臨場感豊かな空気感を確実に引き出しており、この録音では特に音場の見通しの良さを強く印象づけた。エソテリックから登場したクライバーのブラームス第4番を聴くと、比べようがないほど歌い込むヴァイオリンの表情や、最弱音でも音の芯を失わない高密度な音色にKシリーズ共通の美点を実感することができた。USB経由で聴くハイレゾ音源の余裕のある情報量と誇張のない音色も上級機に肉迫しており、DAコンバーター部の完成度の高さをうかがうことができた。

両機はKシリーズの重要な役割りを担う製品であるが、特にK-05が同ラインアップのなかで果たす役割は非常に大きいと思う。

<本記事は季刊オーディオアクセサリー誌144号から転載しました>

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