HOME > レビュー > ESOTERICの一体型デジタルプレーヤー「Kシリーズ」全4モデルを徹底視聴

全モデルSACD/CD&ネットオーディオ対応

ESOTERICの一体型デジタルプレーヤー「Kシリーズ」全4モデルを徹底視聴

公開日 2014/05/15 15:32 石原 俊
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
上位モデルK-01、K-03のクオリティ
■K-03は微細なところまで高度に表現。あらゆる面でパーフェクトなK-01

K-03を改めて試聴したが、やはり高級な音だな、と思った。そのミュージカリティにはK-05をグレードアップしたような雰囲気がある。具体的に申し上げると、ジャズのベース奏者が左手の指を動かしてビブラートをかけているのが聴覚的に伝わってくるのがK-05ならば、視覚的に伝わってくるのがK-03である。ハイハットの開閉が見えるのがK-05ならば、開閉による空気の動きを肌で感じ取れるのがK-03だ。これは微妙なことではあるのだが、その微妙なところにこだわってしまうのがオーディオ人類なのかもしれない。ちなみにK-07とK-03は音楽的なベクトルが異なるので比較の対象とはなりにくい。

「K-03」と「K-01」のメカニズム

最後にK-01を聴いたのだが、やはりシリーズのトップモデルだけのことはあるな、というのが正直な感想だ。あらゆるチェック項目が満点なのだ。また、クオリティ的には最高なのだが、それを意識することなく音楽に入っていける。いや、それどころかオーディオシステムの存在すら意識しなくなるかもしれない。また、興味深いことに、K-03では感じられなかったK-07的な縦ノリ風の音楽世界も、K-01は内包しているように思われた。やはり長兄モデルというものは、弟たちの要素の全てを有しているものなのかもしれない。

Kシリーズの価値と魅力
■統一された内容と音色を有しておりシステムを組みやすいのも魅力である

Kシリーズの各モデルは、音楽的に微妙な差こそあれ、オーディオ的には統一された内容と音色を有している。これはシステムを組む際に非常に有難い。というのも、生身のリスナーには予算というものがあって、その配分によって音色が変わってしまっては困るからだ。同傾向の音色でも、モデルによって音楽の方向性を微妙に変化させているのにも好感が持てる。こういう非金太郎飴的な音楽性が個々のグレードに存在すると、下位モデルが上位を凌駕するようなシステムアップも可能になるからである。同じエソテリックのアンプ等を使用する場合は、外装デザインの統一も有利に働くにちがいない。現代オーディオにおいては、メカニズムの部分が音色に与える影響が大きく、統一された筐体デザインの機器でシステムを組めば、より説得力のあるサウンドが得られるからである。

Kシリーズの解説を聞く石原氏。その巧妙なラインアップと、完成度の高い音づくりに感心しきりの状態だった

完成をみたKシリーズと共に写真に収まる開発担当の加藤徹也(右)さんと谷嶋敬夫(左)さん

■開発者の声
音響機器事業部 開発部 副部長 
加藤徹也氏
(Kシリーズ開発のリーダー)

新製品K-05、K-07は、兄貴分であるK-01、K-03の設計思想、音質へのこだわりに加え、セパレート型P-02、D-02のエッセンスも受け継いでいます。DSDへのコンバートも可能なデジタルプロセッサーを中心として、デュアルモノ構成で左右に配置される32bit DAC、パラレルバッファーは、しっかりしたステレオ表現を実現。クロック同期が可能となったアシンクロナス伝送USB入力などのデジタル入力は、オーディオソースの幅をひろげ、新たなオーディオの可能性を引き出しました。また、P-02、D-02に採用されたPLLレス・ダイレクト・マスタークロックLINKや10MHzに対応したクロック入力は、デジタルオーディオならではのクオリティアップと拡張性を引き出しました。このように今考えられるデジタルオーディオの要素を、ラウンドシェイプで高さを抑えた、エソテリックデザインにすべて詰め込んだのが、K-05、K-07です。しかし、ただ技術を詰め込むだけでは、完成しないのがハイエンドオーディオ機器です。入念な試聴とチューニングを繰り返し、音楽を聴く悦び、趣味としてオーディオを楽しむ悦びを追求しました。お気に入りのディスクやオーディオソースの感動を、家族や友人にも体感してもらいたくなるようなK-05、K-07が、リスニングルームで、新たな音楽体験、オーディオ体験のお手伝いができれば幸いです。


■Kシリーズの選び方とは?
しっかり音楽を聴き込みたい方にはK-05がお薦め
K-03は将来を見越して安心して購入できる秀作

Kシリーズはトータル的にさまざまな愛好家にお薦めできるが、個々のモデルによって、相性のいいリスナーの人物像は異なってくるように思われる。もしも私が40代に戻れるとしたら、迷うことなくK-07を選ぶ。この世代は音楽を勢いで聴くことができるから、このモデルの音楽性がぴったりくるからだ。ディスク資産もそれなりにあるので、ネットオーディオと併用できるのもいい。それよりも少し音楽を聴きこんでいる方には、K-05がお薦めだ。このモデルの滑らかな表現からは、音楽の活力と癒しの両方を求めることができる。より十全なオーディオ的完成度を求めるのならば、もうK-03にいくしかない。このモデルはさまざまな意味合いでK-05を上回っているのだが、そのグレード的な差異が価格差よりも大きいところが非常に魅力的だ。このモデルを買っておけば、将来、他の機器をどれだけグレードアップしようとも困ることはないだろう。さて、トップモデルのK-01をお薦めできるのは、どのような御仁だろうか。このモデルは一体型機として完全無欠といっても過言ではなく、そうであるがゆえに怖さも持っている。システムが完備していなければ、その不備を容赦なく指摘するだろうし、逆にシステムが完全に調整された状態だと、オーディオならではのスリリングさがなくなってしまうのだ。そういう状態に耐えられるだけの、知識と才能のある愛好家にK-01を使っていただきたい。

前へ 1 2

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

トピック: