AKG「K550」レビュー − よくコントロールされた、穏やかな低域感と品位の高い質感描写が持ち味
洗練されたモダンでシンプルなデザインを採用したAKG密閉型ラインナップの上級機が「K550」だ。「Q701」にも通じる独自のフォルムラインを持ちながら、マテリアルの質感やソリッドなエッジを生かした意匠は他にはない独特な存在感を醸し出す。
専用となる新設計の50mm大型ドライバーと余裕あるアラウンドイヤー形状の低反発素材・立体成型イヤーパッドを採用し、長時間の装着でも疲れにくい。モニター系ラインとは別の素性を感じるが、その根底に流れるのはAKGならではの芯のぶれない、きりっとした音像表現と丁寧に余韻をまとめ上げる巧みな音響設計。付帯感のないスマートなサウンドを楽しめる。
ケーブルは片出しで取り回しが良いが、脱着式ではない。AKGの密閉型伝統ともいえる引き締まった弾力良い低域表現は健在で、音場の見通しを明晰に描き出す。音像の密度感も素直で、高域にかけ癖なく澄んだタッチを聴かせてくれる。
■よくコントロールされた、
穏やかな低域感と品位の高い質感描写を得意とする
iBasso Audio「HDP-R10」を用いて試聴を実施。クラシックのレヴァイン指揮/シカゴ交響楽団『惑星』〜「木星」(CDリッピング:44.1kHz/16bit・WAV)では管弦楽器をハリ良く前へ浮き立たせ、ティンパニは皮のアタック感中心でローエンドを控えめに表現。旋律の芯を的確に捉えて前へ押し出し、定位感も明確だ。広がり良く音場のヌケも自然である。
オスカー・ピーターソン・トリオ『プリーズ・リクエスト』〜「ユー・ルック・グッド・トゥ・ミー」(CDリッピング:44.1kHz/16bit・WAV)では、ピアノのアタックを爽やかかつ軽いタッチで描く。トライアングルも透き通り、ウッドベースのアタックはたわみの質感を丁寧にトレース。胴鳴りも粒立ち良く引き締める。ドラムセットも立体的で、スネアブラシの浮き立ち鮮やか。分離良い音像がすっきりと定位する。
ロックのデイヴ・メニケッティ『メニケッティ』〜「メッシン・ウィズ・ミスター・ビッグ」(CDリッピング:44.1kHz/16bit・WAV)においては、エレキギターの腰高で細いリフが際立ち、リヴァーブもすっきりとしている。ドラムやベースはアタックを引き締め、ボーカルのハスキーな輪郭をより鮮明に描写。スネアのアタックも付帯感なくクリアだ。シンバルの輝きも澄んでいて良い。
続いてハイレゾ系ソースを用いてラックスマンDA-06&P-700uで再生したサウンドについても確認してみよう。筆者自身によるDSD録音である長谷川友二『音展2009・ライブレコーディング』〜「ゲット・バック」では弦の倍音鮮やかでハリ良くキレあるタッチを実感。ボーカルのディティールも緻密で、ハリ鮮やかな口元を滑らかに表現。ボディはヌケ良く引き締まりソリッドなテイストを感じさせる。定位感も素直だ。ウッドベースの胴鳴りもタイトに引き締まり、カラっとしたギター弦のドライな響きも弾けるように響く。
イ・ソリスティ・ディ・ペルージャ『ヴィヴァルディ:四季』〜「春」(HQM:192kHz/24bit・WAV)のストリングス弦の粒立ちは澄んでおり、ハーモニーは艶良くクールに浮かぶ。チェンバロもコロコロとして、輝き良い倍音のタッチが際立つ。水笛も分離良く、一つ一つの音像がほぐれて煌めき良い倍音が浮かび上がる。低域は引き締まっており、アタックが中心。余韻のコントロールも巧みだ。
飛騨高山ヴィルトーゾオーケストラ コンサート2013『プロコフィエフ:古典交響曲』〜第一楽章(e-onkyo:96kHz/24bit)は澄んだ弦のハーモニーやや細身となるものの、ハーモニーは解像感良く空間へ放たれる。ローエンドは制動高くアタック感をすっきりと表現。見通し深くハリ鮮やかな旋律が華やかに浮かぶ。
ポピュラー音源のハイレゾとしてシカゴ『17』〜「ワンス・イン・ア・ライフタイム」(e-onkyo:192kHz/24bit・FLAC)も聴いてみたが、シャープなシンセのキレ、ホーンセクションやクリーンギターも鮮度良くクリアに表現。ボーカルはハリ良くソリッドな定位となり、ベースを締まり良くアタックを聴かせ、透明感溢れる音場を際立たせるエッジの効いたスマートなサウンドである。
Suara『DSDライブセッション』〜「桜」(OTOTOY:2.8MHz・DSD)も聴いてみた。ヴァイオリンの弦はハリ良くソリッド。ボーカルは口元をクールに際立たせ、スマートにセンターへ浮かび上がる。ギターはハリ良くシャープな爪弾き。倍音の輝き強くキラキラした余韻となり、ヌケ良いリヴァーブも澄み切っている。
搭載したユニット口径やハウジングサイズはAKGの中でも大型クラスだが、全体的に音像コントロールが行き渡り、穏やかな低域感と品位の高い質感描写を得意とするアダルトなサウンドバランスを持つモデルであるといえよう。
専用となる新設計の50mm大型ドライバーと余裕あるアラウンドイヤー形状の低反発素材・立体成型イヤーパッドを採用し、長時間の装着でも疲れにくい。モニター系ラインとは別の素性を感じるが、その根底に流れるのはAKGならではの芯のぶれない、きりっとした音像表現と丁寧に余韻をまとめ上げる巧みな音響設計。付帯感のないスマートなサウンドを楽しめる。
ケーブルは片出しで取り回しが良いが、脱着式ではない。AKGの密閉型伝統ともいえる引き締まった弾力良い低域表現は健在で、音場の見通しを明晰に描き出す。音像の密度感も素直で、高域にかけ癖なく澄んだタッチを聴かせてくれる。
■よくコントロールされた、
穏やかな低域感と品位の高い質感描写を得意とする
iBasso Audio「HDP-R10」を用いて試聴を実施。クラシックのレヴァイン指揮/シカゴ交響楽団『惑星』〜「木星」(CDリッピング:44.1kHz/16bit・WAV)では管弦楽器をハリ良く前へ浮き立たせ、ティンパニは皮のアタック感中心でローエンドを控えめに表現。旋律の芯を的確に捉えて前へ押し出し、定位感も明確だ。広がり良く音場のヌケも自然である。
オスカー・ピーターソン・トリオ『プリーズ・リクエスト』〜「ユー・ルック・グッド・トゥ・ミー」(CDリッピング:44.1kHz/16bit・WAV)では、ピアノのアタックを爽やかかつ軽いタッチで描く。トライアングルも透き通り、ウッドベースのアタックはたわみの質感を丁寧にトレース。胴鳴りも粒立ち良く引き締める。ドラムセットも立体的で、スネアブラシの浮き立ち鮮やか。分離良い音像がすっきりと定位する。
ロックのデイヴ・メニケッティ『メニケッティ』〜「メッシン・ウィズ・ミスター・ビッグ」(CDリッピング:44.1kHz/16bit・WAV)においては、エレキギターの腰高で細いリフが際立ち、リヴァーブもすっきりとしている。ドラムやベースはアタックを引き締め、ボーカルのハスキーな輪郭をより鮮明に描写。スネアのアタックも付帯感なくクリアだ。シンバルの輝きも澄んでいて良い。
続いてハイレゾ系ソースを用いてラックスマンDA-06&P-700uで再生したサウンドについても確認してみよう。筆者自身によるDSD録音である長谷川友二『音展2009・ライブレコーディング』〜「ゲット・バック」では弦の倍音鮮やかでハリ良くキレあるタッチを実感。ボーカルのディティールも緻密で、ハリ鮮やかな口元を滑らかに表現。ボディはヌケ良く引き締まりソリッドなテイストを感じさせる。定位感も素直だ。ウッドベースの胴鳴りもタイトに引き締まり、カラっとしたギター弦のドライな響きも弾けるように響く。
イ・ソリスティ・ディ・ペルージャ『ヴィヴァルディ:四季』〜「春」(HQM:192kHz/24bit・WAV)のストリングス弦の粒立ちは澄んでおり、ハーモニーは艶良くクールに浮かぶ。チェンバロもコロコロとして、輝き良い倍音のタッチが際立つ。水笛も分離良く、一つ一つの音像がほぐれて煌めき良い倍音が浮かび上がる。低域は引き締まっており、アタックが中心。余韻のコントロールも巧みだ。
飛騨高山ヴィルトーゾオーケストラ コンサート2013『プロコフィエフ:古典交響曲』〜第一楽章(e-onkyo:96kHz/24bit)は澄んだ弦のハーモニーやや細身となるものの、ハーモニーは解像感良く空間へ放たれる。ローエンドは制動高くアタック感をすっきりと表現。見通し深くハリ鮮やかな旋律が華やかに浮かぶ。
ポピュラー音源のハイレゾとしてシカゴ『17』〜「ワンス・イン・ア・ライフタイム」(e-onkyo:192kHz/24bit・FLAC)も聴いてみたが、シャープなシンセのキレ、ホーンセクションやクリーンギターも鮮度良くクリアに表現。ボーカルはハリ良くソリッドな定位となり、ベースを締まり良くアタックを聴かせ、透明感溢れる音場を際立たせるエッジの効いたスマートなサウンドである。
Suara『DSDライブセッション』〜「桜」(OTOTOY:2.8MHz・DSD)も聴いてみた。ヴァイオリンの弦はハリ良くソリッド。ボーカルは口元をクールに際立たせ、スマートにセンターへ浮かび上がる。ギターはハリ良くシャープな爪弾き。倍音の輝き強くキラキラした余韻となり、ヌケ良いリヴァーブも澄み切っている。
搭載したユニット口径やハウジングサイズはAKGの中でも大型クラスだが、全体的に音像コントロールが行き渡り、穏やかな低域感と品位の高い質感描写を得意とするアダルトなサウンドバランスを持つモデルであるといえよう。