【特別企画】DAC内蔵プレーヤーと組み合わせ試聴
オーディオNASがプレーヤーになる? DELA「N1A/Z」のUSB-DAC接続機能を検証
様々なUSB-DACまたはUSB-DAC内蔵プレーヤーと
組み合わせての音質を検証する
今回はN1Z/N1Aを4機種のUSB-DACおよびUSB-DAC内蔵SACDプレーヤーと組み合わせて、そのサウンドを確認した。以下に各組み合わせごとの音質レビューを掲載する。
<組み合わせ1>
DELA「N1A」×DENON「DCD-SX1」
■奔流のような豪快な音を楽しめる
本機はデノンの最高級SACDプレーヤーである。重量級の筐体、ツイントランス、大容量ブロックコンデンサーなどといった物量を投入するとともに、同社最新鋭の回路を擁している。N1Aと組み合わせて聴いたのだが、スケールの大きい豪快な音である。もちろんデジタルオーディオらしい精細感はあるのだが、音の構えは小型のUSB-DACよりも圧倒的に大きい。その種のUSB-DACがコンパクトカーなら、本機は大柄なSUVのようだ。音楽の勢いが奔流のようにスピーカーからリスニングポジションに押し寄せてくる。おそらくは電源部や筐体の作りに余裕があるからだろう。ジャズはしっかりとしたベースの支えに乗って、サックスやトランペットが縦横無尽に活躍する。ヴォーカルは基本的には清楚系であるのだが、凡百のUSB-DACよりも音像の骨格ははるかにしっかりしている。クラシックはCDクオリティもハイレゾも、オーケストラの表現が素晴らしい。細部の表現もさることながら、オーケストラの広がり感がリアルで、オーディオ的な臨場感がある。(石原 俊)
<組み合わせ2>
DELA「N1A」×LUXMAN「D-06u」
N1Aのベストパートナーのひとつ
ラックスマンのセカンドクラスのSACDプレーヤーだが、上級機のD-08uよりも筐体が一回り小さいことと、アナログ回路がシングルエンド化されていることくらいしか違いはない。デジタル回路はリファレンスとして使用したDA-06とほぼ同様である。しかしながらそのサウンドはDA-06とは趣を異にしている。N1Aと組み合わせたのだが、DA-06がオシャレでやや細身なのに対して、本機の音はエネルギー感が強く、ファンキーな味わいが得られるのだ。おそらくドライブメカニズムが動作していないので、電源部に余裕が生じるからだろう。これはUSB-DAC専用機では味わえない、プレーヤーのDACならではの表現であろう。CDクオリティとハイレゾの差異はDA-06に準じるが、音楽表現は本機のほうがざっくばらんで、ミュージシャンのホンネのようなものが感じられる。ジャズはノリが良く、ヴォーカルはややエロティック。クラシックの豪快さは抜群で、「トッカータとフーガ」は本誌試聴室の床がぐらりと揺れた。N1Aのベストパートナーのひとつ。(石原 俊)
<組み合わせ3>
DELA「N1A」×EXOGAL「Comet Computer DAC」
プレーヤーがDACの良さを引き出した
EXOGALは2013年にスタートしたアメリカの新鋭ブランドである。チーフ・テクノロジー・オフィサーを務めるのは元Wadiaのジム・キニー氏。本機は昨今流行のFPGAという書き換え可能な複合素子でDSP処理を行うもので、USBプリとして機能する。価格的なバランスをとるためN1Aと組み合わせ、他のモデルと同様プリアンプを介して試聴したが、基本的にスリムな音である。音場は非常に広く、音像は小さく引き締まっている。これはこれで十分いい音ではあるのだが、もっと良くなるような可能性が随所に感じられる。そこで、DACとの価格差は生じるがN1Zをソースとし、EXOGALのプリ機能を使いEXOGALからパワーアンプにダイレクト入力したところ、本機の真価が発揮された。音が研ぎ澄まされているのである。音楽に生命が宿っているのである。凡百のUSB-DACの音が標本なら、この音は生身のミュージシャンだ。ジャズやヴォーカルはジャズマンやシンガーがあたかもそこにいるようなリアリズム。「トッカータとフーガ」の超低域は轟然と鳴り渡った。(石原 俊)
<組み合わせ4>
DELA「N1Z」×ESOTERIC「K-01X」
立体的な音像を再現 剛性感のある本物の低音を聴かせる
エソテリックの最高級SACDプレーヤーである。デジタル回路、ドライブメカニズム制御回路、左右のアナログ回路に各一の、合計四基のトランスを使用するなど、一体型機としては考えうる限りの贅を尽くした構成になっている。ここでは価格的なバランスを考慮してN1Zと組み合わせた。彫刻的な音である。音像が3Dホログラフ映像を思わせるかのように立体的で、リスニングポジションから立ち上がってスピーカーの裏側まで歩いて行けば、演奏の裏側が見えるのでは、と思われるほどである。これはステレオ再生において「あたりまえ」ではあるのだが、それがなかなかできないのがオーディオの実情だ。その「あたりまえ」のことを易々とやってのけるあたりに本機の凄味があるといっていい。音楽のジャンルは問わない。何を聴いてもいい。ひょっとするとスイングジャズなどは少し分別臭くなるかもしれないが、それも本機の持ち味だ。データのクオリティへの反応は完全にリニアで、N1Aのような緩みで低音を表現せず、剛性感のある本物の低音が得られる。(石原 俊)
■Specification
【N1Z(HA-N1ZS10)】●内蔵ストレージ:オーディオグレードSSD 512GB×2●対応サンプリング周波数/bit数:PCM 44.1kHz/16bit〜192kHz/32bit, DSD 2.8MHz/1bit〜11.2MHz/1bit●メディアサーバー:Twonky Media Server●搭載端子:1000BASE-T規格×2、USB3.0×3、USB(電源供給用)×1●サイズ:350W×65H×370Dmm●質量:7.0kg
【N1A(HA-N1AH20)】●内蔵ストレージ:3.5インチHDD 1TB 2基搭載(ミラーリング設定済み)●対応サンプリング周波数/bit数:PCM 44.1kHz/16bit〜192kHz/32bit、DSD 2.8MHz/1bit〜11.2MHz/1bit●メディアサーバー:Twonky Media Server●搭載端子:1000BASE-T規格×2、USB3.0×3、USB2.0×1●サイズ:436W×70H×352Dmm●質量7.0kg●取り扱い:(株)バッファロー
【問い合わせ先】
(株)バッファロー サポートセンター TEL/0570-086-086
本記事は、季刊『Net Audio』2014年vol.17からの転載です。Net Audio誌の詳細はこちら。
組み合わせての音質を検証する
今回はN1Z/N1Aを4機種のUSB-DACおよびUSB-DAC内蔵SACDプレーヤーと組み合わせて、そのサウンドを確認した。以下に各組み合わせごとの音質レビューを掲載する。
<組み合わせ1>
DELA「N1A」×DENON「DCD-SX1」
■奔流のような豪快な音を楽しめる
本機はデノンの最高級SACDプレーヤーである。重量級の筐体、ツイントランス、大容量ブロックコンデンサーなどといった物量を投入するとともに、同社最新鋭の回路を擁している。N1Aと組み合わせて聴いたのだが、スケールの大きい豪快な音である。もちろんデジタルオーディオらしい精細感はあるのだが、音の構えは小型のUSB-DACよりも圧倒的に大きい。その種のUSB-DACがコンパクトカーなら、本機は大柄なSUVのようだ。音楽の勢いが奔流のようにスピーカーからリスニングポジションに押し寄せてくる。おそらくは電源部や筐体の作りに余裕があるからだろう。ジャズはしっかりとしたベースの支えに乗って、サックスやトランペットが縦横無尽に活躍する。ヴォーカルは基本的には清楚系であるのだが、凡百のUSB-DACよりも音像の骨格ははるかにしっかりしている。クラシックはCDクオリティもハイレゾも、オーケストラの表現が素晴らしい。細部の表現もさることながら、オーケストラの広がり感がリアルで、オーディオ的な臨場感がある。(石原 俊)
<組み合わせ2>
DELA「N1A」×LUXMAN「D-06u」
N1Aのベストパートナーのひとつ
ラックスマンのセカンドクラスのSACDプレーヤーだが、上級機のD-08uよりも筐体が一回り小さいことと、アナログ回路がシングルエンド化されていることくらいしか違いはない。デジタル回路はリファレンスとして使用したDA-06とほぼ同様である。しかしながらそのサウンドはDA-06とは趣を異にしている。N1Aと組み合わせたのだが、DA-06がオシャレでやや細身なのに対して、本機の音はエネルギー感が強く、ファンキーな味わいが得られるのだ。おそらくドライブメカニズムが動作していないので、電源部に余裕が生じるからだろう。これはUSB-DAC専用機では味わえない、プレーヤーのDACならではの表現であろう。CDクオリティとハイレゾの差異はDA-06に準じるが、音楽表現は本機のほうがざっくばらんで、ミュージシャンのホンネのようなものが感じられる。ジャズはノリが良く、ヴォーカルはややエロティック。クラシックの豪快さは抜群で、「トッカータとフーガ」は本誌試聴室の床がぐらりと揺れた。N1Aのベストパートナーのひとつ。(石原 俊)
<組み合わせ3>
DELA「N1A」×EXOGAL「Comet Computer DAC」
プレーヤーがDACの良さを引き出した
EXOGALは2013年にスタートしたアメリカの新鋭ブランドである。チーフ・テクノロジー・オフィサーを務めるのは元Wadiaのジム・キニー氏。本機は昨今流行のFPGAという書き換え可能な複合素子でDSP処理を行うもので、USBプリとして機能する。価格的なバランスをとるためN1Aと組み合わせ、他のモデルと同様プリアンプを介して試聴したが、基本的にスリムな音である。音場は非常に広く、音像は小さく引き締まっている。これはこれで十分いい音ではあるのだが、もっと良くなるような可能性が随所に感じられる。そこで、DACとの価格差は生じるがN1Zをソースとし、EXOGALのプリ機能を使いEXOGALからパワーアンプにダイレクト入力したところ、本機の真価が発揮された。音が研ぎ澄まされているのである。音楽に生命が宿っているのである。凡百のUSB-DACの音が標本なら、この音は生身のミュージシャンだ。ジャズやヴォーカルはジャズマンやシンガーがあたかもそこにいるようなリアリズム。「トッカータとフーガ」の超低域は轟然と鳴り渡った。(石原 俊)
<組み合わせ4>
DELA「N1Z」×ESOTERIC「K-01X」
立体的な音像を再現 剛性感のある本物の低音を聴かせる
エソテリックの最高級SACDプレーヤーである。デジタル回路、ドライブメカニズム制御回路、左右のアナログ回路に各一の、合計四基のトランスを使用するなど、一体型機としては考えうる限りの贅を尽くした構成になっている。ここでは価格的なバランスを考慮してN1Zと組み合わせた。彫刻的な音である。音像が3Dホログラフ映像を思わせるかのように立体的で、リスニングポジションから立ち上がってスピーカーの裏側まで歩いて行けば、演奏の裏側が見えるのでは、と思われるほどである。これはステレオ再生において「あたりまえ」ではあるのだが、それがなかなかできないのがオーディオの実情だ。その「あたりまえ」のことを易々とやってのけるあたりに本機の凄味があるといっていい。音楽のジャンルは問わない。何を聴いてもいい。ひょっとするとスイングジャズなどは少し分別臭くなるかもしれないが、それも本機の持ち味だ。データのクオリティへの反応は完全にリニアで、N1Aのような緩みで低音を表現せず、剛性感のある本物の低音が得られる。(石原 俊)
角田郁雄氏も大絶賛! オーディオルームからパソコンが消える? バッファローが発売した高音質オーディオNAS、DELA N1A/N1Zは、ネットワーク再生を好む愛好家に大好評。その機能がアップグレードされ、USB DACと組み合わせてUSB再生することが可能となった。その音は鮮度が極めて高く、S/Nが明らかに高まっている。もうパソコン再生には戻れないほどだ。私はN1Zを実際に自宅に導入し、ネットワーク再生ではdCS Vivaldi Digital Playback SystemとLAN接続していた。USB再生ではベータ版ファームウェアをインストールしたN1ZとCHORD HugoをUSB接続して音楽再生を楽しんでいる。ネットワークとUSB再生の垣根は取り払われ、小さなiPhoneをWi-Fiリモコンとして、スムーズにハイレゾミュージックが楽しめる時代が到来したのである。(角田郁雄) |
■Specification
【N1Z(HA-N1ZS10)】●内蔵ストレージ:オーディオグレードSSD 512GB×2●対応サンプリング周波数/bit数:PCM 44.1kHz/16bit〜192kHz/32bit, DSD 2.8MHz/1bit〜11.2MHz/1bit●メディアサーバー:Twonky Media Server●搭載端子:1000BASE-T規格×2、USB3.0×3、USB(電源供給用)×1●サイズ:350W×65H×370Dmm●質量:7.0kg
【N1A(HA-N1AH20)】●内蔵ストレージ:3.5インチHDD 1TB 2基搭載(ミラーリング設定済み)●対応サンプリング周波数/bit数:PCM 44.1kHz/16bit〜192kHz/32bit、DSD 2.8MHz/1bit〜11.2MHz/1bit●メディアサーバー:Twonky Media Server●搭載端子:1000BASE-T規格×2、USB3.0×3、USB2.0×1●サイズ:436W×70H×352Dmm●質量7.0kg●取り扱い:(株)バッファロー
【問い合わせ先】
(株)バッファロー サポートセンター TEL/0570-086-086
本記事は、季刊『Net Audio』2014年vol.17からの転載です。Net Audio誌の詳細はこちら。