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AVINITYの上位グレード「REFERENCE CLASS」をレビュー - “驚異のコスパ”を実現したオーディオケーブル

公開日 2015/03/06 11:00 井上 千岳
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その技術力を背景にラインケーブルでも同軸構造を採用

同軸構造は古くから開発された低ノイズケーブルの典型で、現在でもデジタルケーブルはほとんどこれである。しかしラインケーブルではプラス/マイナスを同一条件にしたいということから、2芯シールドを採用するケースが多い。同軸ではマイナス側がシールドと兼用なので、ノイズが入りやすいという認識である。

プラグ部のカバーを取り外したところ

それにも関わらず同軸構造を踏襲しているのは、それで十分に性能・音質が確保できるという確信があるからだろう。おそらくそれだけの測定やシミュレーションなどのデータがあるのに違いない。というのは、音を聴くと理解できるからである。従来モデルもそうだったが、このREFERENCE CLASSではいっそう精度に富んだ再現性を実感することができる。

■ナチュラルでクセがなく、レスポンスと位相がぴったりと揃う

まずラインケーブルを従来モデルと比較すると、エネルギーの乗り方が一回り大きい感触である。むしろ音調そのものは驚くほど似ているのだ。ナチュラルでクセがなく、レスポンスと位相がぴったりと平坦に揃っている。ただリファレンスの方が高低両端での彫りが深い。また全体としての立ち上がりも早い。このため出てくる音圧の総量が大きくなっているという仕組みである。

AR-RCA-STの端子部。スタンダード機と同様に緩やかなひねりを加えた独自形状のプラグを採用。一方でカラーはゴールドとなっている

ピアノは低音部の線の太さや響きの厚みに力強さを感じるが、高域でもスピードが速く、結果として輪郭と余韻の双方が明瞭な出方となっている。レンズの汚れを拭き取って、鮮明になった画像を見るような印象である。

バロックも同様だが、こちらはディテールの繊細な描写がいっそう鮮やかだ。古楽器特有のナイーブだが粘りのある質感と潤いに富んだ残響が、作りものではないリアルな手触りで迫ってくる。ただしそれだけを強調した鳴り方ではなく、ニュートラルでバランスに優れた再現の中での話である。

REFERENCE CLASSの各ケーブルを試聴する井上氏

フォノケーブル「AR-PH-0.73M」には、L字のアダプタープラグが4個付属する

デジタルケーブルも導入すると、鮮度やエネルギー感がさらに高まった

オーケストラはスケールが大きい。音が大きいということではなく、強弱の起伏が深まってダイナミズムの幅が広がったということである。このため演奏の説得力が強く感じられ、実体感の違いが明らかである。

デジタルケーブルも加えると、こうした鮮度の高さやエネルギーに強さがさらに引き立つ。ジャズのウッドベースやキックドラムが極めて弾みのいいタッチで描き出され、ボーカルは表情の変化や声の甘さなどがちょうどいい感覚で再現される。フュージョンの強靭なベースには、ちょっとびっくりさせられるほどのくっきりした輪郭がある。フォノケーブルも含めて頼もしいラインナップの登場である。

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