【特別企画】豊富なラインナップを価格帯別にレポート
蓄音機時代からの伝統を受け継ぐ英国ブランド「Goldling」の実力を探る
ラインコンタクト針を採用。CPの高さを実証する2機種
以上2種のベーシック・クラスをそれぞれグレードアップしたのが次の2モデルで、ミドルクラスと呼んでおくことにする。MM型の1042とIM型の2300がそれである。
両モデルともラインコンタクト針を装着しているのがベーシック機との違いだが、同じものではない。またボディや磁気回路などは、各シリーズ共通である。
1042はGygerSという非常に扁平なスタイラスを使用しているが、それだけに細部の情報量が豊富で緻密な再現性を持つ。歪みっぽさのないピアノやディテールのきめ細かいオーケストラなど、当たりがよく重心の落ち着いた音調が安心感を与える。
一方の2300はGyger IIというスタイラスで、やはり濁りのない鳴り方を備えている。こちらも中・低域に厚みを持たせているが、1042よりわずかに現代的なシャープネスも感じる。
MC型はもっと高い価格帯に集中している。こだわりを捨てれば、これらのモデルのコスト・パフォーマンスの高さがよくわかるはずだ。
2500はMCに匹敵。鮮明な再現性のエロイカ
トップクラスとしてIM型の2500とMC型のEroicaを挙げておきたい。MC型はこのクラスにならないと出てこない。
2500はMC型に全く遜色のない再現力で、ピントがよく合い解像度が高い。ピアノの表情もオーケストラの起伏も多彩に描き出す。緻密で伸びやかな音調である。
EroicaはMCエントリーとしても手頃だ。ネオジムマグネットにガイガー II ラインコンタクト針を装備。切れのいい新鮮な音調で再現性がきめ細かい。また高出力型も用意されている。
好みの分かれる個性派。2種類のトップモデル
最後に残るのが、フラッグシップ的な存在のMC型である。Eliteは純銀線コイルにガイガーS針という豪華な装備。誇張やくせがなくまさしく中庸そのものだが、それでいて物足りなさがない。厚みがあってしかも歯切れがいい。まさしく中庸そのもので、同社の見本と呼んでいい。
一方Legacyは、最先端の技術を取り入れた最高峰機で、繊細で精密な音調と幅の広いダイナミズムを備える。シャープな意欲作と言ってよく、フラッグシップの名に相応しいモデルである。
それぞれのクラスでゴールドリングの製品は、コストバリューに富んで安定した再現力を発揮する。正統派の典型とも呼ぶべきその製品群は、現代の標準機にもなり得る存在と言ってもおかしくない。
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