<山本敦のAV進化論 第61回>LINE MUSIC/AWAとも比較
「Apple Music」レビュー。ストリーミング音楽配信 “本命” の実力とは?
「My Music」や「プレイリスト」への追加は、作品のメイン画面に配置されたアイコンからメニューを呼び出してタップ操作で簡単にできる。また、iOSデバイスからアーティストや楽曲をシェアする機能については、メール/メッセージ/Twitter/Facebookのほかに、LINEやGmailも選べたり、Evernoteのノートブックにも保存ができる。メッセージに貼られたリンクを辿るとApple Musicのコンテンツ情報に飛ぶ仕組みになっているようだ。
■自分のiPhoneに楽曲をダウンロードする「オフライン再生」機能も
ちなみにApple Musicの中にも「iTunes Storeで表示」するメニューが設けられているが、聴きたい曲がApple Musicで見つかる限り、iTunes Storeで購入する動機がみつけにくい。なぜなら、Apple Musicでは気に入った曲をiOSデバイスにダンロードして聴ける「オフライン再生」の機能があるからだ。
オフライン再生は確かに便利だ。iPhoneやiPadはSDカードなど外部記憶媒体への拡張性が低いため、調子に乗ってダウンロードしまくるとすぐに内蔵ストレージがいっぱいになる落とし穴もあるが、取りあえず外出先で音楽を聴く自由度は高まる。ダウンロードした楽曲はApple Watchにもチェックアウトできるのが嬉しい。
「オフライン再生」機能は、秋から始まるAndroidデバイス向けのApple Musicで真価が発揮されそうだ。iPhoneと違い、ほとんどの端末がmicroSD等の外部記録媒体に対応しているAndroidであれば、大容量のSDカードによって音楽ダウンロードも少し余裕を持って楽しめるようになるだろう(もっとも楽曲はダウンロードした端末でしか聴けない仕様だとは思うが)。
Apple Musicに公開されている楽曲の音質は、iTunesで販売されているものと同じAAC形式でビットレートは256kbpsといわれている。もしそうなら、Wi-Fi環境が利用できる場所でないと、LTEの通信容量制限にすぐさま到達してしまうだろう。
Apple Musicには残念ながらAWAやLINE MUSICのように、ストリーミングの音質を下げてデータ通信容量を減らせる「音質モード」の設定項目が設けられていない。その代わりオフライン再生ができるということなのかもしれないが、本当はApple Musicの膨大なアーカイブを、もっと自由にいつでもどこでも楽しめる使い方が理想だ。音質設定のバリエーションはぜひ早いところ拡張してもらいたい機能だ。
■音質チェック。「AWA」や「LINE MUSIC」と聴き比べてみた
ここでApple Musicの楽曲をAWA、LINE MUSICと聴き比べたインプレッションも報告しておきたい。リファレンスのヘッドホンにはオーディオテクニカのATH-MSR7を使った。曲は3つのサービスともに配信されていたマイケル・ジャクソンのアルバム「Bad」からタイトル曲の『Bad』を選曲。AWAの音質は「Wi-Fi接続時に自動で320kbpsにする」に、LINE MUSICは「音質-高(320kbps)」にそれぞれ設定している。
LINE MUSICはサービスインした当初から使ってみて感じていたが、中低域の情報量が濃くて聴き応えがある。ベースラインのリズムが太くてタイト。ボーカルの鮮度が高く、高域にかけての抜け味も爽やかだ。音のつながりがスムーズで、演奏の一体感が心地良い。