「HD 800」や「HD 598」などをレビュー
審査員・野村ケンジが語る、「VGP」ゼンハイザー27製品受賞の理由:ヘッドホン編
■HD 650:金賞(開放型オーバーヘッド型ヘッドホン/5万円以上7万円未満)
デビューしてから12年、先代となる「HD 600」をも含めると20年もの長きにわたりモニター系ヘッドホンのデファクトスタンダードとして君臨し続けるHD 650。3年も経てばラインナップが総入れ替えしていることもある新陳代謝の激しいヘッドホンの世界にあって、20年という時間、それも一線級で活躍し続けてきたのは驚異的。
まさに、殿堂入りを果たすべき名ヘッドホンであり、今回のVGP金賞をはじめ、時々顧みられて様々な受賞履歴を積み重ねていくのも分かる気がする。それほどまでにHD 650の完成度は高い。
その外見はいたってシンプル。実用優先でデザインしたのだろう、1本バーの丈夫そうなヘッドバンドの両脇に、楕円形の開放型ハウジングが付属。奇をてらわないオーソドックスといえる外観ながらも、どこからどう見てもそれと分かる、ゼンハイザーらしさはしっかり主張されている。
また、そのサウンドは10Hz〜39.5kHzというワイドレンジな特性を持ち、抑揚表現のキメ細やかさ、音ギレの良さともあいまって、ハイレゾ音源が注目を集めている現在においても一線級で活躍できるハイスペックさを持つ。
さらに、プロ用を得意とするゼンハイザーならではのコンセプトでもある着脱式ケーブルの採用は、ケーブルの交換によってバランス駆動にも対応。そういった汎用性の高さも、HD 650がいまだ一線級のヘッドホンとして活躍し続けている魅力の一つと言えるだろう。
■HD 598:金賞(開放型オーバーヘッド型ヘッドホン/1万円以上3万円未満)
HD 650がHD 600から続くモニター系ヘッドホンの本流であるのに対して、「HD 500」という、別の流儀を受け継ぐモデルがこの「HD 598」だ。
ゼンハイザーのデザインアイデンティティである楕円型の開放ハウジングはそのままに、ライトブラウン系で纏め上げられたカラー、柔らかいカーブを描いたヘッドバンドや装着感の良いクッション、一体感のあるスマートなデザインが与えられたヘッドバンドステーなど、よりコンシューマーユーザーを意識したデザインに仕立てられている。
しかしながら、HD 598最大の魅力といえば、そのサウンドキャラクターに尽きる。他の“HDシリーズ”が存在感の強い高域を持つ、鮮度感の高い音色を特徴としているのに対して、柔らかな高域の、耳障りの良い中高音を持ち合わせているのが特徴。
おかげで長時間聴き続けていても疲れることのない、“リスニング用ヘッドホン”と例えるべき音色傾向に仕立てられているのだ。「とんがった高域のヘッドホンは苦手」「けれどもゼンハイザーらしい表現力の高さは好き」というユーザーにとっては、まさに理想のヘッドホンといえる存在だろう。
また、HD 800やHD 650とは異なり、片出しの着脱式ケーブルを採用しているので、扱いやすさに関してもHD 598の方がやや有利。音の上質さはもちろんのこと、ユーザビリティも含めた完成度の高さでは、数あるゼンハイザー製ヘッドホンの中でも5本の指に入る逸材といえる。金賞受賞も納得のヘッドホンだ。
■HDVD 800:金賞(ヘッドホンアンプ 据え置きタイプ/10万円以上)
マイクとヘッドホンに関して、世界有数のビッグネームと言えるゼンハイザー。中でもヘッドホンに関しては、高級モデルからエントリークラスまで数多くのラインナップを取り揃えているが、ヘッドホンアンプに関しては今までコレといったものが存在していなかった。
ようやく、と言っていいタイミングで登場したのが、希少なゼンハイザー純正ヘッドホンアンプ「HDVD 800」である。USB-DAC機能を搭載、バランス出力にも対応するこのHDVD 800は、ヘッドホンアンプとしてなかなかに素晴らしい実力を発揮してくれる製品だ。
ただ、やはり一番のアピールポイントといえば“ゼンハイザー純正”であることだろう。例えばHD 800は、音質重視のハイエンドモデルであるが故に、ヘッドホンアンプの組み合わせに悩ましい面もあり、どれが“本当のHD 800サウンド”か判断しかねる部分もあった。そんな矢先にHDVD 800が登場。HD 800はこう鳴らせと、指標を示してくれたのだ。
特に、バランス接続したHD 800のサウンドは特筆もの。ダイナミックな抑揚表現をアピールしつつも、細部のディテールまでしっかりと伝わる、活き活きとしたサウンドを楽しませてくれるのだ。そう、HD 800の実力を最大限に発揮させるには、このHDVD 800と組み合わせるのが最も理想的だし、最も手っ取り早い。
音質だけでなく設置性もよく考えられており、程よく抑えられた高さによって設置性も良好。なかなかに扱いやすい製品だ。
以上、2回連続企画として、ゼンハイザーのVGP受賞製品レビューをお届けした。ただし、今回レビューを行ったのはVGP受賞製品の中の一部である。次ページでは、今回受賞した全27製品をリストにて紹介する。
デビューしてから12年、先代となる「HD 600」をも含めると20年もの長きにわたりモニター系ヘッドホンのデファクトスタンダードとして君臨し続けるHD 650。3年も経てばラインナップが総入れ替えしていることもある新陳代謝の激しいヘッドホンの世界にあって、20年という時間、それも一線級で活躍し続けてきたのは驚異的。
まさに、殿堂入りを果たすべき名ヘッドホンであり、今回のVGP金賞をはじめ、時々顧みられて様々な受賞履歴を積み重ねていくのも分かる気がする。それほどまでにHD 650の完成度は高い。
その外見はいたってシンプル。実用優先でデザインしたのだろう、1本バーの丈夫そうなヘッドバンドの両脇に、楕円形の開放型ハウジングが付属。奇をてらわないオーソドックスといえる外観ながらも、どこからどう見てもそれと分かる、ゼンハイザーらしさはしっかり主張されている。
また、そのサウンドは10Hz〜39.5kHzというワイドレンジな特性を持ち、抑揚表現のキメ細やかさ、音ギレの良さともあいまって、ハイレゾ音源が注目を集めている現在においても一線級で活躍できるハイスペックさを持つ。
さらに、プロ用を得意とするゼンハイザーならではのコンセプトでもある着脱式ケーブルの採用は、ケーブルの交換によってバランス駆動にも対応。そういった汎用性の高さも、HD 650がいまだ一線級のヘッドホンとして活躍し続けている魅力の一つと言えるだろう。
■HD 598:金賞(開放型オーバーヘッド型ヘッドホン/1万円以上3万円未満)
HD 650がHD 600から続くモニター系ヘッドホンの本流であるのに対して、「HD 500」という、別の流儀を受け継ぐモデルがこの「HD 598」だ。
ゼンハイザーのデザインアイデンティティである楕円型の開放ハウジングはそのままに、ライトブラウン系で纏め上げられたカラー、柔らかいカーブを描いたヘッドバンドや装着感の良いクッション、一体感のあるスマートなデザインが与えられたヘッドバンドステーなど、よりコンシューマーユーザーを意識したデザインに仕立てられている。
しかしながら、HD 598最大の魅力といえば、そのサウンドキャラクターに尽きる。他の“HDシリーズ”が存在感の強い高域を持つ、鮮度感の高い音色を特徴としているのに対して、柔らかな高域の、耳障りの良い中高音を持ち合わせているのが特徴。
おかげで長時間聴き続けていても疲れることのない、“リスニング用ヘッドホン”と例えるべき音色傾向に仕立てられているのだ。「とんがった高域のヘッドホンは苦手」「けれどもゼンハイザーらしい表現力の高さは好き」というユーザーにとっては、まさに理想のヘッドホンといえる存在だろう。
また、HD 800やHD 650とは異なり、片出しの着脱式ケーブルを採用しているので、扱いやすさに関してもHD 598の方がやや有利。音の上質さはもちろんのこと、ユーザビリティも含めた完成度の高さでは、数あるゼンハイザー製ヘッドホンの中でも5本の指に入る逸材といえる。金賞受賞も納得のヘッドホンだ。
■HDVD 800:金賞(ヘッドホンアンプ 据え置きタイプ/10万円以上)
マイクとヘッドホンに関して、世界有数のビッグネームと言えるゼンハイザー。中でもヘッドホンに関しては、高級モデルからエントリークラスまで数多くのラインナップを取り揃えているが、ヘッドホンアンプに関しては今までコレといったものが存在していなかった。
ようやく、と言っていいタイミングで登場したのが、希少なゼンハイザー純正ヘッドホンアンプ「HDVD 800」である。USB-DAC機能を搭載、バランス出力にも対応するこのHDVD 800は、ヘッドホンアンプとしてなかなかに素晴らしい実力を発揮してくれる製品だ。
ただ、やはり一番のアピールポイントといえば“ゼンハイザー純正”であることだろう。例えばHD 800は、音質重視のハイエンドモデルであるが故に、ヘッドホンアンプの組み合わせに悩ましい面もあり、どれが“本当のHD 800サウンド”か判断しかねる部分もあった。そんな矢先にHDVD 800が登場。HD 800はこう鳴らせと、指標を示してくれたのだ。
特に、バランス接続したHD 800のサウンドは特筆もの。ダイナミックな抑揚表現をアピールしつつも、細部のディテールまでしっかりと伝わる、活き活きとしたサウンドを楽しませてくれるのだ。そう、HD 800の実力を最大限に発揮させるには、このHDVD 800と組み合わせるのが最も理想的だし、最も手っ取り早い。
音質だけでなく設置性もよく考えられており、程よく抑えられた高さによって設置性も良好。なかなかに扱いやすい製品だ。
以上、2回連続企画として、ゼンハイザーのVGP受賞製品レビューをお届けした。ただし、今回レビューを行ったのはVGP受賞製品の中の一部である。次ページでは、今回受賞した全27製品をリストにて紹介する。
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