1万円程度で驚きの音質や機能
ハイコスパな “全部入り” Bluetoothスピーカー「TREK Flex」レビュー【動画あり】
■驚きを感じるほどのボーカル表現力
最初に挙げておきたいポイントはボーカルのクリアさ。やくしまるえつこさんや花澤香菜さんといった女性ボーカルを聴いたときに、失礼ながら期待を超えた驚きを感じてしまった。低域再現の強化が強調されていたので、中高域についてはさほど注力していないのかと思い込んでいたのが、良い意味で裏切られた。
非常に好印象なボーカル表現。ぼやけることなくやや硬質なクリアさで息遣いまで感じさせつつ、硬すぎたり鋭すぎたりして聴きにくいことはない。
また同じく中高域の良好さのおかげで、ハイハットシンバルのピシッとした抜けやクリーントーンのギターの滑らかな艶といったところも感じられる。
低域は相対性理論「たまたまニュータウン (2DK session)」冒頭のバスドラムとベースを聴くと、その高いクオリティがよくわかる。サイズという制約があるので、大きなスピーカーでしか鳴らないような低域までは出ないが、出ている範囲の低域表現が良質なのだ。
バスドラムもベースも、実音以上に膨らませないタイトな太さにまとめられており、ドライブ感が明確に伝わってくる。低音をもう少し緩めれば量感は出しやすいが、そうはしないことでリズムを引き締めている。喜多村英梨さん「掌-show-」のような高密度メタル曲でもバスドラムやベースが潰れずにアタックが明確だ。
加えて実音の下の方の、バスドラムの胴やベースのスピーカーキャビネットの震えが生み出すような、超低域が部屋を揺らす空気感のようなものも、実際にその音域までは出ていないと想像されるのだが、感じることができる。ここは「MaxxBass」システムの活躍だろうか。
続いて横置きの他に縦置きも含め、またスピーカーとの位置関係を色々と変えて試してみた。
するとたしかに、そういった条件が変わっても音が大きく変化することはなかった。もちろん多少の変化はあり、例えばセンターに定位するボーカルの明瞭度は、横置きの方が優位に思える。しかし帯域や定位が大きく崩れることはなく、置き場所を選ばないタイプのスピーカーであることは間違いない。
ひとりで聴く場合も、自分の移動とともに音を携えることができるし、大勢で聴く場合には、全員に同じように良い音を届けてくれる。
定番スタイルとなった=激戦区となっている円筒形&防水耐衝撃。さすがそこに新たに参入するだけの実力を備えたモデルだ。
(高橋敦)