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アニソンオーディオポータル:第4回

アニメ「AIR」の神曲をこだわりオーディオで聴く! 独自開発 “胸キュン指数”で絶対評価

公開日 2015/07/21 11:04 赤江ユウ
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●オーディオ機器の有り無しで、どこまで変わるかをチェック

“胸キュン”指数とかよく分からないことを言い出したと思われるだろうから、流れを整理したい。まずオーディオ機器を使用せず、パソコンからの直出しで聴いたポイントを1とする。このポイントは10をMAXとして、オーディオ機器の使用によりどこまで基準点から向上するのかを探る、ということだ。さらに、そのチェック項目は3つ。

1:キラキラ
2:夏感
3:泣ける

これらの項目で、どこまで胸キュンさせてくれるかを試すわけである。いよいよ分からなくなってきただろうか…。しかし、もうちょっとついてきていただきたい。つけ加えておくと、楽曲は全て100点満点だ、当たり前です。ポイント1で100点の曲を、120点にして楽しむ方法を模索していることを念押ししておく。

前回のレビューで、「ちょっとこれ、なんか、……すいません」というシステムを組んでいただいたこともあり、今回はシンプルなシステムで、とお願いしてみた。そして当日、恐る恐る試聴室の扉を開けた先に広がっていた光景を見て、筆者は思った。「ほんと、……すいません」。


Oh……

続けて、「シンプルで良いって言ったじゃないですか!」と心中で叫んだ。申し訳無さに、心臓が早鐘を打つ。それを表に出さぬように、「ほう、今回はこれですか」としげしげシステムを眺めていると、編集部の方が「いえ、こっちです」と指を差した。その先を見て、逆に動揺した。


あれ、これだけ?

パソコン Macbook Pro 
再生ソフト Audirvana Plus2.0 
DAコンバーター ローランド Mobile UA 
スピーカー GENELEC G One 


ちっちゃい。縦40cm×横60cmの机に収まっている。それでいて、その実力は折り紙つきという、最先端オーディオのひとつの形である。これが技術の進歩というものなのだな、と感嘆するが、それにつけても極端ではなかろうか?

では、簡単に機材を紹介する。USB DACはローランドのMobile UA。世界初のUSBオーディオインターフェースを開発し、常に業界をリードしてきたローランドが送り出す小型機だ。厚さ16mmというコンパクトな筐体に「S1LKi」というDSPによる変換技術を搭載し、音質的に重要なアナログ回路にもこだわりを詰め込んだ、技術力の高さが活きた設計となっている。出力端子は3.5mmジャックのみなので、RCAとの変換ケーブルを用いてアクティブスピーカーと接続する。同様の接続方法で、例えばポータブルプレーヤーなどを代わりに用いることが可能だ。

スピーカーはGENELEC。スタジオで使用されるモニター機として世界的に有名なブランドであり、G Oneはその技術を踏襲したコンシューマー向けモデルだ。いわゆるアクティブスピーカー(パワードスピーカー)であり、アンプを内蔵している。そのメリットには、アンプを別に揃える必要がないことによる省スペース性、アンプとスピーカーのマッチングのとれた設計がなされていることが挙げられる。さらにG Oneでは角度調整が可能な脚部やトーンコントロール機能を備えているので、設置の自由度が非常に高い。またプロに信頼されるスタジオ・クオリティが自宅で楽しめるという点もポイントだろう。

それではここから、楽曲レビューに入りたい。なおバージョン違いに関しては、同タイトルの合わせて取り上げさせていただく。また、その場合の聴きどころチェックなどは通常のバージョンで行うこととする。


「鳥の詩」


静かな導入部で確認して欲しい、低音により生きる高音を
オープニングテーマであるこの曲は、あまりにも有名だ。作詞は麻枝 准、作曲は折戸伸治、編曲は高瀬一矢(I’ve)。神曲、国歌などと評されるが、始まりの一節からグッと惹き込まれる感覚は、それが過大評価ではないことを実感させる。どちらかと言えばシリアスな曲調なのだが、そこに4つ打ちで刻まれるビートが加わることで、楽曲をしっとりさせるだけのものではなく、ポップさをアクセントとした深みのある構成としている。「鳥の詩 2004summer version 〜Relaxin' with lovers mix〜」ではジャジーなラウンジ・ミュージック調に仕上げられており、ゆったりとした裏打ちのリズムとコーラス、ヴォーカルが主体となった落ち着けるアレンジだ。

この曲ではベースとビートの表現が鍵となる。楽曲を支えるのが低音部であるのはもちろんだが、より良い高音を獲得するためには低音をいかに良くするかがポイントとなるからだ。そう考えた時に、パソコン直出しでは【キラキラ=3】、【夏感=2】、【泣ける=2】といったところ。最大音量にしてみても、「僕、頑張ってるよ!」という風にパソコン本体は振動しているが、低音はあんまり聴こえてこない。頑張りすぎて、高音がザラついてしまった。一方で、オーディオシステムでは【キラキラ=7】、【夏感=5】、【泣ける=8】に。聴こえなかった低音が聴こえるだけでなく、聴こえなかった高音も聴こえるようになった。それにより描き出された世界は、空を見上げるような、空から見下ろすような、そんな光景を幻視させる。


『Farewell Song』


視覚化できても見えないであろうほど、透明なヴォーカル
エンディングテーマである「Farewell Song」は、作詞は麻枝 准、作曲・編曲は戸越まごめによる楽曲。「鳥の詩」よりも明るく、スーッと息を吸い込みたくなるような伸びやかさのあるミドルテンポのタイトルだ。ビートは軽快に、輝くような音色のメロディラインも軽く。どこまでも続く空をイメージさせるような広がりにLiaの澄んだ声が重なり、聴く者に浮遊感を与えてくれる。

こちらは元々キラキラとした曲調なので、直出しでも割りとその辺りはあまり問題ない。【キラキラ=5】、【夏感=4】、【泣ける=2】くらいだ。ただ、ヴォーカルが遠く感じられてしまい、それにより伸びやかさに限界が見えている。ビル街で見る空くらいの狭さがある。オーディオシステムではそこが良くなり、【キラキラ=8】、【夏感=7】、【泣ける=4】といった風になった。横と縦に広がり、もうその先は捉えられない。より明るさも引き出され、夏に聴きたいといった感覚も増した。

次ページ続いて挿入歌とイメージソング

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