映像調整メニューも進化
<新開発RGB-LEDで明るさ向上>オプトマ新旗艦DLPプロジェクター「HD92」視聴レビュー
■HD90よりさらに光パワーに溢れ、輝度に余裕がある映像
つい深入りしてしまったが、本格的に視聴インプレッションといこう。今回はわが家の120インチスクリーンに加え、オプトマ製品を取り扱うオーエス本社の「ピュアマットIII Cinema(WF302)/150インチ」でもあわせて鑑賞することができた。
まずは『ゼロ・グラビティ』や『ホビット』など見慣れた作品から…。HD90よりさらに光パワーに溢れ、輝度に余裕があるのが率直な印象である。超大型スクリーンでも、悠然として隅々まで明るさを保つ。黒の沈みもさらにディープで、コントラストが拡大されたように感じられる。そしてレンズ性能の良さなのか、フォーカスがきれいに揃うのだ。『ゼロ・グラビティ』の宇宙の隅々、『ホビット』の雄大な原野の果てまで、画像情報がビシリと安定する。「シネマ」「フィルム」「リファレンス」など、どのモードでもウルトラディテールはONだ。この設定は実に自然でクセがなく、このクラスのフルHD機の中でも群を抜く体感解像度とみた。
4K撮影の『オブリビオン』は、SFシーンのダイナミックな描写もそうだが、池の場面の深いディテールがリアルに再現され、遠景に吸い込まれるようだ。光そのものの純度が高まり、カメラワークやその場の湿度感さえも伝えてくれる。
戦争映画の緊張感も、HD92ではその生々しさが違っている。乾いた空気や砂地の熱さまで、ありのままダイレクトに伝えてくる感じなのだ。『ヒューリー』『アメリカン・スナイパー』は、ぜひ本機で観てほしい。タイガー戦車の圧倒的な物量感はコワいほどだ。少年が対戦車砲を構えようとするシーンは、劇場で見たときの息が止まるような緊張感があった。さらに特筆すべきは、圧巻の色彩表現であろう。素材は『Samsara』。70ミリフィルムを使った人類と地球の壮大な記録だ。鮮やかな極彩色的質感が基調になっており、これこそ本機の「シネマモード」で見て欲しい。チベット仏教の寺院で描かれる砂絵(曼茶羅)は、赤、青、緑など原色の石英粉がキラキラと輝き、見ごたえたっぷりだ。
アニメ・CG系の作品では、アナのあくほど見てきた『アナと雪の女王』や『マレフィセント』が、どのシーンにも新しい発見があり、見えないものが見えてきた。これほど遠近が深いのに映像との距離が近づき、スクリーンに入り込んでしまったような錯覚である。また、HD92では2D/3D変換を含め、3D映像のパフォーマンスもはっきりと向上していることも付け加えておく。オプトマの新しい時代を拓くフラグシップマシンを歓迎したい。
(林 正儀)