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藤岡誠のオーディオワンショット<第8回>

MCカートリッジ出力のバランス伝送への誘い<その5>「バランス伝送対応フォノEQアンプ」

公開日 2015/08/05 12:19 藤岡 誠
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最初に採り上げる製品はB.M.C.(ドイツ)の「MCCI」¥380,000(税別)である。BMC(Balanced Music Concept)は、Carlos Candeias(カルロス・カンダイアス)が1986年に立ち上げたCandeias Audio Electronicsが源流のオーディオブランド。現在の社名は2001年に設立したCandeias Electronicsである。主力は各種アンプでLEF(Load Effect Free)と呼ぶ独自回路は有名で、かつては日本の某社へ“LEFアンプ”としてOEM供給を行っていた。また、CDプレーヤー/トランスポート、DACユニットも商品化している。

B.M.C.「MCCI」

MCCIの構成は、電流入力/増幅のデュアモノ・バランス設計でノンNFB、パッシブRIAA回路などに加え、出力段はオリジナルのLEFのA級動作出力である。パネル中央の大きなノブは電源スイッチ。使い方はシンプル。ボンネットを開け、使用するMC型の特性や好みに合わせて幾つかの設定をすればいい。具体的には4つの特性切換えがある。(1)ゲイン設定(3段階)、(2)RIAAイコライゼーション(RIAA+ノイマン補正の有無)、(3)サブソニックフィルター(ON/OFF)、(4)ローエンド補正(サブソニックフィルターON時に低域方向が不足すると感じた場合にその帯域を補正・増強(リニア/バスブースト/バスブースト+ウォームサウンド)可能である。なお、本機は極端な低出力MC型との組合せでは十分なSN比の確保が難しい。入力端子はXLRとRCA。出力端子はXLR専用である。

MCCIの聴こえは結構楽しい。低域方向に躍動感が感じられるし、中音、高音楽器にメリハリがあり、ダイナミックレンジも広い。敢えていえば、クラシック系ソフトよりもジャズ系ソフトと相性がいいように私は思う。生真面目さよりもハッピーな方向のサウンドである。SN比については格別ではないが満足すべき水準はある。

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