本格ヘッドホンアンプも搭載した意欲作
名門モデル10代目の実力。デノンのHi-Fi直系ミニコンポ「D-M40」シリーズをレビュー
■デノンのHi-Fiコンポーネント直系の中低域再生を味わえる
D-M40の音楽を実際に体験すると、期待通りデノンのHi-Fi直系の、エネルギー豊かな中低域を全面に打ち出した骨太なサウンドが味わえる。
例えば、カーペンターズの『トップ・オブ・ザ・ワールド』では、躍動感のある低音に明朗な表現のボーカルが乗る。広がり感も豊かで、各楽器の音に実体感がある。特にロックやボーカルを再生して得られる満足感は、同じ価格帯のオーディオ製品ではそうそう味わえないものだろう。
より現代的にDuftPunkの『Random Access Memories』を鳴らしてみても、骨太でパワーのある低域再生が実に気持ち良い。シンバルなどの高域はアタックがタイト。各音の分離も良く、音楽としてのバランスが整っている。一方で各楽器の質感豊かに鳴らしてれるあたりには、ミニコンポと呼ぶのがためらわれる音楽性も備えている。
音楽ジャンルの志向を変えて、ジャズはSHANTIの『Born to Sing』を聴く。想像通りというかジャズ系との相性は良く、パワフルかつ立体的なボーカル、アコースティックギターの鋭いアタックや音の厚みなど、ダイナミックな表現が心地よい。演奏の一体感と共に個々の楽器の分離も両立。クラシックは『カラヤン〜ザ・ベスト・オブ・マエストロ〜アビイ・ロード・スタジオ新リマスターによる』を再生したが、エネルギッシュな低音が繊細な演奏を際立たせてくれる。
なお、本機には「SDB」(スーパーダイナミックバス)というバスブースト機能もあるが、12畳程度の視聴室で聴く分にはオフの設定でも低域に相当なパワーがあるため、今回はイコライジングをパスする「ソースダイレクト」をメインに試聴をした。
■USBメモリーからハイレゾが再生できた!
ちなみに、前面のUSB端子にUSBメモリーを挿入してFLACの音源を再生していたところ、非対応のはずの96kHz/24bitや88.2kHz/24bitなどのハイレゾファイルが再生できるケースがあった。デノンに問い合わせたところ、どうやらビットレートによってはハイレゾ音源が再生できるケースもあるとのこと。公式にはサポートされていない“裏技”であり、再生できないケースもあるが、ハイレゾをこうしたコンポで手軽に楽しめてしまうのは便利だ。
■ゲイン切替対応のディスクリート・ヘッドホンアンプも搭載
D-M40は光デジタル入力端子を2系統搭載しており、テレビを高音質化するためのオーディオとして利用することができる。今回はBDレコーダーの光デジタル出力と接続して録画済みのサッカー中継を視聴した。当然のことだが、テレビの内蔵スピーカーとは別格のスタジアムの臨場感、そしてピッチのライブ感が味わえる。前述の優れた低音再生は、映像とのマッチングも良い。映画視聴にも好適だろう。
もうひとつ、RCD-M40の特徴といえるのがヘッドホン出力で、高速オペアンプを搭載し、出力バッファーにディスクリート回路を採用するなど凝った作りとなっている。アンプのゲインも3段階で切り替えできる。SHUREの開放型ヘッドホン「SRH1840」で試聴してみたところ、こちらも低域の押し出しが心地よいダイナミックな表現。ゲインを切り替えると、高域方向のエネルギー感に変化も楽しめた。
◇◇◇
D-M40は、いわゆるミニコンポにカテゴライズしてもよい価格帯ながら、オーディオメーカーとしてのデノンの音作りが楽しめる、ミニコンポと呼ぶにはちょっと躊躇してしまうような製品だ。一方で適度な低域指向がプラスされており、幅広いジャンルの音楽を心地よく楽しめる。コストパフォーマンスの高さは言うまでもなく、幅広いユーザーにお薦めできる製品である。
(折原一也)
D-M40の音楽を実際に体験すると、期待通りデノンのHi-Fi直系の、エネルギー豊かな中低域を全面に打ち出した骨太なサウンドが味わえる。
例えば、カーペンターズの『トップ・オブ・ザ・ワールド』では、躍動感のある低音に明朗な表現のボーカルが乗る。広がり感も豊かで、各楽器の音に実体感がある。特にロックやボーカルを再生して得られる満足感は、同じ価格帯のオーディオ製品ではそうそう味わえないものだろう。
より現代的にDuftPunkの『Random Access Memories』を鳴らしてみても、骨太でパワーのある低域再生が実に気持ち良い。シンバルなどの高域はアタックがタイト。各音の分離も良く、音楽としてのバランスが整っている。一方で各楽器の質感豊かに鳴らしてれるあたりには、ミニコンポと呼ぶのがためらわれる音楽性も備えている。
音楽ジャンルの志向を変えて、ジャズはSHANTIの『Born to Sing』を聴く。想像通りというかジャズ系との相性は良く、パワフルかつ立体的なボーカル、アコースティックギターの鋭いアタックや音の厚みなど、ダイナミックな表現が心地よい。演奏の一体感と共に個々の楽器の分離も両立。クラシックは『カラヤン〜ザ・ベスト・オブ・マエストロ〜アビイ・ロード・スタジオ新リマスターによる』を再生したが、エネルギッシュな低音が繊細な演奏を際立たせてくれる。
なお、本機には「SDB」(スーパーダイナミックバス)というバスブースト機能もあるが、12畳程度の視聴室で聴く分にはオフの設定でも低域に相当なパワーがあるため、今回はイコライジングをパスする「ソースダイレクト」をメインに試聴をした。
■USBメモリーからハイレゾが再生できた!
ちなみに、前面のUSB端子にUSBメモリーを挿入してFLACの音源を再生していたところ、非対応のはずの96kHz/24bitや88.2kHz/24bitなどのハイレゾファイルが再生できるケースがあった。デノンに問い合わせたところ、どうやらビットレートによってはハイレゾ音源が再生できるケースもあるとのこと。公式にはサポートされていない“裏技”であり、再生できないケースもあるが、ハイレゾをこうしたコンポで手軽に楽しめてしまうのは便利だ。
■ゲイン切替対応のディスクリート・ヘッドホンアンプも搭載
D-M40は光デジタル入力端子を2系統搭載しており、テレビを高音質化するためのオーディオとして利用することができる。今回はBDレコーダーの光デジタル出力と接続して録画済みのサッカー中継を視聴した。当然のことだが、テレビの内蔵スピーカーとは別格のスタジアムの臨場感、そしてピッチのライブ感が味わえる。前述の優れた低音再生は、映像とのマッチングも良い。映画視聴にも好適だろう。
もうひとつ、RCD-M40の特徴といえるのがヘッドホン出力で、高速オペアンプを搭載し、出力バッファーにディスクリート回路を採用するなど凝った作りとなっている。アンプのゲインも3段階で切り替えできる。SHUREの開放型ヘッドホン「SRH1840」で試聴してみたところ、こちらも低域の押し出しが心地よいダイナミックな表現。ゲインを切り替えると、高域方向のエネルギー感に変化も楽しめた。
D-M40は、いわゆるミニコンポにカテゴライズしてもよい価格帯ながら、オーディオメーカーとしてのデノンの音作りが楽しめる、ミニコンポと呼ぶにはちょっと躊躇してしまうような製品だ。一方で適度な低域指向がプラスされており、幅広いジャンルの音楽を心地よく楽しめる。コストパフォーマンスの高さは言うまでもなく、幅広いユーザーにお薦めできる製品である。
(折原一也)