[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域
【第134回】人気ハイレゾアプリ4種の“音の個性”とは? あまり使われてなさげな音質向上機能を比較してみた
▼KORG「iAudioGate」
アップサンプリング後の最大値は192kHzまで。44.1kHzから192kHzへのアップサンプリングを中心にチェックした。
…これは変化の大きさもHF Playerより大きく、そして変化の傾向もHF Playerとはかなり違う。
全体に硬質でシャープに、カチッとした精密感を強める方向に変化する。そして特に印象的というか驚いたのは、その変化が中低域のエレクトリックベースにまでしっかり及んだこと。ストレートな再生ではウォームでしなやか音色なのだが、アップサンプリングするとふくよかさを少し削いで骨太感のあるゴツさが出てくる。
こちらは192kHzという点ではHF Playerと同じなので、この変化の違いはそこの影響ではなく、アプリごとのアップサンプリング処理の違いなのかもしれない。
▼サイバーフォート「KaiserTone」
アップサンプリング後の最大値は設定上は768kHzだが、今回の動作確認は384kHzまで(HA-2の最大スペックがそこなのでそれを越えるところは確認できず)。44.1kHzから192kHz、384kHzへのアップサンプリングを中心にチェック。またこちらは量子化ビット数も32bitまでのアップコンバートが可能なので、そこでの違いあるのかもチェックしてみた。
まず384kHz/24bitへのアップサンプリングでは、HF Playerのアップサンプリングと近い傾向、近い変化量と思える。自然な効き方で音色の幅を広げてくれる印象だ。
384kHz/32bitへのアップサンプリングは…何とそのHF PlayerのアップサンプリングっぽさにNePLAYERのアップサンプリングに近い印象も加わる。全体に心地よい明るさが生まれるのだ。この部分が32bit効果なのだろうか?
なお、ちなみにこのアプリは384kHz/16bitみたいな設定も可能。なのだがこちらは、よく言えば飾らない、しかしまあのっぺりというか平面的な印象だ。ダイレクトさにこだわるならそもそもアップサンプリング的な処理自体を避けるだろうから、あえて16bitを選ぶ利点はあまりないかと思う。
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