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装着性まで厳しくチェック!

日常でもスポーツでも使えるボーズ「SoundSport in-ear」を実際に走ってテストした

公開日 2015/10/07 10:28 山本敦
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■日常使いでのパフォーマンスは?静かな場所で集中して音質チェック

さて続いては、スポーツをしていない状態で、ピュアに音楽鑑賞の目的のみで本機を使う場合の試聴感について。静かな場所でのリスニング感をレポートする。AWAで配信されている楽曲を中心に、音質は320kbpsに固定して聴いた。

全体的に、開放型ならではの爽やでヌケの良いサウンドが一番の持ち味だ。特にクリアでエッジがシャープに再現されるボーカルの清涼感が抜群にいい。

ボーカリストの作品は城南海のアルバム「ミナミカゼ」から『渡良瀬橋』を試聴。奄美出身のボーカリストである彼女ならではのテクニックである「グイン(こぶし)」がとても軽やかにまわる。声のイメージがクリスタルのように透明で、ディティールが鮮明に浮かび上がる。彼女のように元から爽やかな声質のボーカリストの作品と見事にマッチするイヤホンではないだろうか。

斉藤和義のアルバム「青春ブルース」では、アコースティック・ギターの乾いた音色との相性が抜群に良いことも確かめられた。ギブソンの銘機「J-45」に代表されるような、中低域の音をドカンと束でぶつけてくるようなアコギの乾いた音の生々しさは、あまり他のイヤホンで味わえないぐらいにリアルだ。楽曲『ぼくらのルール』や『アメリカ』では、鉄弦によるコードストロークのジャキジャキっとした硬さと、中高域の柔らかい和音のハーモニーが絶妙にブレンドされ、演奏の情景が目の前に浮かんでくるような体験だった。

ビッグバンドはラスマス・フェイバー・プレゼンツ・プラチナ・ジャズのアルバム「アニメ・ヒット・セッションズ」から『デリケートに好きして』を聴いてみた。ベースラインのリズムがどっしりと安定していて、サックスやピアノの音色はふくよかで艶っぽい。トランペットの高域は鋭くシャープだが、音に独特の柔らかさがある。全体の音場も立体的で、ビッグバンドを構成する楽器それぞれの音色の持ち味が鮮明に聴こえてくる。音楽ライブ系のソースにも合うイヤホンかもしれない。

最後にパット・メセニー・グループのアルバム「Still Life(Talking)」から『Last Train Home』を試聴した。S/Nが高く、本作品の魅力である広大なサウンドスケープを伸び伸びと描いてみせた。エレクトリック・シタールの甘いビブラートがゆっくりと響いて静寂の中に溶け込んでいく。雄大な物語の情景を描ききるイヤホンだ。

■おわりに

「最高のスポーツイヤホン」であることを大前提に、安全性や使い勝手の面も十分配慮して開放型を選んだイヤホンだが、独特の爽やかで広がり感の豊かなサウンドは、スポーツ向けであることを除いてもユニークで価値ある個性として確立されている。たとえばボーカルものの楽曲ではボーカリストの声の特徴や細かなニュアンスまで忠実に再現しながら、空間を広く立体的に描き込めるセンスを持ち合わせている。

それは、これまでのオーディオの歴史で、常に一石を投じてきたボーズならではの高いパフォーマンスと言えるだろう。今回は実際に走りながらのレビューをお届けしたが、スポーツを楽しむシーンに限らず、じっくりと音楽に耳を傾けて聴き込みたい時にも良いパートナーになってくれるはずだ。

(山本敦)

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