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小型軽量で装着性向上。音質も追求

<レビュー>ボーズ史上最小の“プレミアム”イヤホン「SoundTrue Ultra in-ear」実力検証

公開日 2015/10/14 10:56 鴻池賢三
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■音質チェック! 低域の“量から質へ”路線変更したハイレゾ時代のサウンド

肝心の音質はどうか? 試聴してみると、ボーズらしさと、ボーズらしくないテイストを感じた。まずボーズサウンドの特徴とも言える低域の鳴りは、従来モデルの空気を揺るがすようなボリューム重視のチューニングから、楽器の音色を引き出す解像度方向へと路線変更したように思える。端的には「量から質への変化」と言える。

一方、ボーカルから高域にかけては、映画館のように張りのある音調で、ボーズならではの個性を継承していると感じた。こうした変化は、ハイレゾの台頭による音源のワイドレンジ化を反映したものだろう。ハイレゾは高域の再生周波数に注目されがちだが、実は低域の質感向上も目覚ましい。ハイレゾ音源に含まれる情報を引き出す観点からも、量から質への路線変更は歓迎すべきだろう。

試聴はiPhone 6への直接接続と、ポータブルヘッドホンアンプを追加してのハイレゾ再生との両方で行った。曲は平井堅の「切手のないおくりもの」(96kHz/24bit/FLAC)。ディキシージャズ風のアレンジが施され、アコースティック楽器も多用された優秀録音音源だ。

まずはiPhone 6に直接接続。冒頭の口笛やアカペラ風のボーカルは、粒立ちが良くニュアンスが豊かで、色付きなく鼓膜にダイレクトに届く。本機はプラスチィック筐体だが、音の濁りは微塵も感じず、使用する素材よりも設計力が重要と再認識させられた。トランペットなど金管楽器は抜けの良さで張りや輝きが感じられ、実に魅力的に聴かせてくれる。

次に同曲をポータブルヘッドホンアンプを通してハイレゾ品質で再生。バラエティー豊かな楽器それぞれが分離良く楽しいハーモニーを奏でる。スーザフォンが放つ低域のスケール感も見事だ。ハイレゾ音源の分解能を、本機は充分に引き出す能力を備えていることが分かる。圧巻はバスドラムの実在感。収録されている音量は小さいのだが、低く厚みのある打音が遠くから聞こえる様子がリアルで、制作者が意図したであろうバランスの美が感じられ、音楽性を豊かにしている。

ケーブルは絡みにくい素材で取り回しは良いものの、少々硬質なためかタッチノイズがやや気になる。これは遮音性の高さとの裏返しとも言えるが、音質が優れているだけに、今後改善して欲しいポイントに感じた。

全体的に、これほどコンパクトな筐体で、低域から高域までナチュラルな広帯域サウンドを実現できたのは、遮音性の高さに加え、ボーズが独自開発したという新型ドライバーや、総合的な音質チューニングのセンスが融合した結果だろう。見た目は地味だが、やはり「ボーズならでは」と思える魅力がいっぱいで、価格以上の価値を感じる完成度の高い1台だ。

(鴻池賢三)

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