「キャラクターは明らかに異なる」
JVCのハイレゾヘッドホン「SIGNA 02」レビュー − 上位機「01」と音質傾向はどう違う?
本機「SIGNA 02(HA-SS02)」は、JVCブランド初のハイレゾヘッドホン「SIGNA」シリーズの弟機。ハイレゾを含む高品位な音楽ソースをいい音で楽しむための新しい潮流をつくること。これがSIGNAに課せられた使命だ。今回はシリーズに2つの新製品が発表された。さらにJVCでは、SIGNAシリーズのほかにも上質なサウンドライフを提案する新しい「CLASS-S」シリーズというコンセプトを立ち上げ、SIGNAシリーズのほかにも続々とハイレゾ対応のヘッドホンやイヤホンの商品を充実させていくようだ。ビクターブランドからのファンは待ちに待った展開だ。
本機は「SIGNA 01」(レビュー記事)の弟機ではあるものの、再生周波数帯域は同じ8Hz〜52kHzのワイドレンジをカバーしていたり、40mm口径のダイナミックドライバーに、高分子樹脂フィルム素材の「PEN」を組み合わせたユニットなど、上位機の技術的アドバンテージとの共通点は数多い。装着性の面ではイヤーパッドにSIGNA 01に採用したものよりも簡易なプロテインレザーを使っていたり、ハウジングの表面処理やディティールの化粧パーツなどに差をつけている。
他にも“01”との差分を枚挙するなら、まずはトッププレートの前後に2つのマグネットを挟むように配置した「ダブルマグネット構造」を採用。ハウジング内部の構造は、「シーケンシャル・ツイン・エンクロージャー」は一緒だが、バッフルの不要振動を抑えるための「アンチバイブレーションリング」は省かれている。また「クリアサウンドプラグ」や「アンチバイブレーションジャック」による振動対策は本機にも引き継ぐ。同梱ケーブルは“01”と同じL/Rそれぞれにグラウンドを独立させた3.5mmプラグ。ヘッドホン本体もバランス対応だ。
イヤーパッドは“01”のソフトタイプのものに比べると、ほんのわずかに肌触りが変わってくるが、側圧は控えめに抑えて、イヤーパッドの密着感をキープして音漏れを少なく抑えた。本体の質量は“01”よりも若干軽く抑えられているので、さらにアウトドアでのポータブルリスニングに最適なヘッドホンだといえるだろう。
サウンドは“01”の試聴環境と揃えて、MacBook Pro/Audirvanaにオーディオテクニカのポータブルヘッドホンアンプ「AT-PHA100」を組み合わせて聴いた。
シリーズもののヘッドホン/イヤホンを立て続けに試聴評価する作業は、時としてしんどく感じられることもある。何故なら、確かに上位モデルの高音質化のエッセンスは注入されているものの、そこから単純にスケールダウンしたような、エキサイティングではない小粒な製品も割と多いからだ。その点、SIGNAの「01」と「02」のキャラクターは明らかに異なっていて、聴き応えは十分。気が付いたらリスニングにのめり込んでいた。
マイケル・ジャクソンのバンドは、ボーカリストをステージの中央に定位させながら、どの楽器からも均等に凛とした存在感を感じる。聴感上のバランスはフラットに整えつつ、低域は二重線を引いたような印象の強みがある。それは中高域の音の輪郭も際立たせ、音楽にシャープな切れ味を与える。例えばマイケルのボーカルからは生き生きとした生命力が溢れ出るようになり、クレバーな表情を随所に垣間見せてくる。
ピアノコンチェルトは広々とした音場を描写する方向性は“01”に相通ずるものがあるが、“01”ほどに激しくリスナーの感情をゆさぶってくるようなことはない。だが、一方で冷静な観察者のようにディティールを逃さず克明に描く忠実さ、細部のニュアンスも着実に汲み上げる安定感の高さがこのヘッドホンの音づくりにおける土台の部分だ。そこへさらに、透明でスピーディーな低域再生という特徴を活かしつつ、“02”ならではのモニターライクでありながら、どこか良い意味で隙のある音楽性のようなものをにじみ出させてくる。オーケストラを構成するアコースティック楽器の、音色の個性が鮮明に浮かび上がってくるところにも、このヘッドホンが持っている音楽性の豊かさを感じてしまう。
土岐麻子のボーカルは声の質感を、ありのままに飾ることなく再現する。適度な量感と筋肉質なタイトさを兼ね備えたベースラインも、弾むような余韻を響かせて心地良いグルーブをつくり出す。
“01”と同じく、スマートフォンに直接つないで音を聴いてみても、本体の遮音性が高くアウトドア環境でも十分音楽に集中ができる。最近はハイレゾ対応のスマートフォンも増えてきたが、ハイレゾ音源も含めて家の外でも中でも、音楽をじっくりと腰を落ち着けて聴く時間を増やしたいと考えている方々に最良な選択肢となるヘッドホンではないだろうか。
本機は「SIGNA 01」(レビュー記事)の弟機ではあるものの、再生周波数帯域は同じ8Hz〜52kHzのワイドレンジをカバーしていたり、40mm口径のダイナミックドライバーに、高分子樹脂フィルム素材の「PEN」を組み合わせたユニットなど、上位機の技術的アドバンテージとの共通点は数多い。装着性の面ではイヤーパッドにSIGNA 01に採用したものよりも簡易なプロテインレザーを使っていたり、ハウジングの表面処理やディティールの化粧パーツなどに差をつけている。
他にも“01”との差分を枚挙するなら、まずはトッププレートの前後に2つのマグネットを挟むように配置した「ダブルマグネット構造」を採用。ハウジング内部の構造は、「シーケンシャル・ツイン・エンクロージャー」は一緒だが、バッフルの不要振動を抑えるための「アンチバイブレーションリング」は省かれている。また「クリアサウンドプラグ」や「アンチバイブレーションジャック」による振動対策は本機にも引き継ぐ。同梱ケーブルは“01”と同じL/Rそれぞれにグラウンドを独立させた3.5mmプラグ。ヘッドホン本体もバランス対応だ。
イヤーパッドは“01”のソフトタイプのものに比べると、ほんのわずかに肌触りが変わってくるが、側圧は控えめに抑えて、イヤーパッドの密着感をキープして音漏れを少なく抑えた。本体の質量は“01”よりも若干軽く抑えられているので、さらにアウトドアでのポータブルリスニングに最適なヘッドホンだといえるだろう。
サウンドは“01”の試聴環境と揃えて、MacBook Pro/Audirvanaにオーディオテクニカのポータブルヘッドホンアンプ「AT-PHA100」を組み合わせて聴いた。
シリーズもののヘッドホン/イヤホンを立て続けに試聴評価する作業は、時としてしんどく感じられることもある。何故なら、確かに上位モデルの高音質化のエッセンスは注入されているものの、そこから単純にスケールダウンしたような、エキサイティングではない小粒な製品も割と多いからだ。その点、SIGNAの「01」と「02」のキャラクターは明らかに異なっていて、聴き応えは十分。気が付いたらリスニングにのめり込んでいた。
マイケル・ジャクソンのバンドは、ボーカリストをステージの中央に定位させながら、どの楽器からも均等に凛とした存在感を感じる。聴感上のバランスはフラットに整えつつ、低域は二重線を引いたような印象の強みがある。それは中高域の音の輪郭も際立たせ、音楽にシャープな切れ味を与える。例えばマイケルのボーカルからは生き生きとした生命力が溢れ出るようになり、クレバーな表情を随所に垣間見せてくる。
ピアノコンチェルトは広々とした音場を描写する方向性は“01”に相通ずるものがあるが、“01”ほどに激しくリスナーの感情をゆさぶってくるようなことはない。だが、一方で冷静な観察者のようにディティールを逃さず克明に描く忠実さ、細部のニュアンスも着実に汲み上げる安定感の高さがこのヘッドホンの音づくりにおける土台の部分だ。そこへさらに、透明でスピーディーな低域再生という特徴を活かしつつ、“02”ならではのモニターライクでありながら、どこか良い意味で隙のある音楽性のようなものをにじみ出させてくる。オーケストラを構成するアコースティック楽器の、音色の個性が鮮明に浮かび上がってくるところにも、このヘッドホンが持っている音楽性の豊かさを感じてしまう。
土岐麻子のボーカルは声の質感を、ありのままに飾ることなく再現する。適度な量感と筋肉質なタイトさを兼ね備えたベースラインも、弾むような余韻を響かせて心地良いグルーブをつくり出す。
“01”と同じく、スマートフォンに直接つないで音を聴いてみても、本体の遮音性が高くアウトドア環境でも十分音楽に集中ができる。最近はハイレゾ対応のスマートフォンも増えてきたが、ハイレゾ音源も含めて家の外でも中でも、音楽をじっくりと腰を落ち着けて聴く時間を増やしたいと考えている方々に最良な選択肢となるヘッドホンではないだろうか。