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アナログ入力からヘッドホンまで徹底分析

価格やサイズに見合わぬ高品位サウンド − マランツ「HD-AMP1」に岩井喬が迫る

公開日 2015/12/11 18:48 岩井 喬
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低域は余裕ある音伸びを聴かせ、高域にかけての解像度も見事

試聴にはまずコンパクトな2ウェイ機B&W「CM1 S2」を用い、USB入力のクオリティをチェックしてみた(フィルター設定は“Filter1”)。デスクトップ向けとしては非常に豪勢なオリジナルスピーカーターミナルを採用したこともポイントが高い。低域にかけ余裕のある音伸びと、リズムに対してキレ良く追随する立ち上がりの素早さを実感。非常に抑揚良く伸びやかなサウンド傾向で、高域にかけての解像感や粒立ちの丁寧さも見事であり、品の良い艶やかな倍音の響きが適度な潤いを生んでくれる。

試聴風景。CM1 S2はニアフィールド気味の配置で試聴した

クラシックの管弦楽器はハーモニーの密度感も高く、余韻は爽やかに拡散。ローエンドのダンピングも良く臨場感のある響きを味わえる。個々の楽器の太さもしっかりと感じられ、旋律の鮮やかな立ち上がり感と余韻の清々しさのバランスも整い、リッチな音場が展開。ジャズにおいては階調細やかなピアノのタッチが丁寧に浮き上がり、ハーモニクスも豊かに伸びてゆく。ホーンセクションも厚み良く、リリースの響きもふくよかだ。ウッドベースの胴鳴りは朗々と響き、弦の艶良いたわみ感がハリ良く輪郭を生み出す。躍動感豊かなリズムと滑らかな楽器の質感描写により、終始耳当たり柔らかなサウンドを楽しめた。

ロックのディストーションギターもリッチな響きを聴かせ、リズム隊も密度良くしなやかな音運びを見せる。解像度高く空間性豊かで、リアルなサウンドだ。ボーカルはボトムの太さを持たせつつ、口元のハリをシャープに描き、分離良い音像を浮き上がらせている。

B&W「CM1 S2」

DSD音源ではより空間性のスムーズさが増し、音像の定位感も自然だ。楽器や声の質感も有機的に描かれ、落ち着き良くナチュラルな余韻が目前に広がる。11.2MHz音源においてはさらに質感が丁寧に表現され、レンジ感の広いピアノや潤い良くしなやかなボーカルの音像は分離良く、リヴァーブの細やかさも一際自然に感じられた。中低域は引き締まり、音場のクリアさも向上。奥行き感も深い。

アナログ入力も高解像度かつしなやかなサウンドを聴かせてくれる

フィルター設定を“Filter2”に変えてみるとより質感の滑らかさが増し、深みのあるアナログライクなテイストに変化。高域にかけての倍音の華やかさも少し落ち着く傾向で、穏やかかつスムーズな音色である。高密度な音像は重心低く定位し、オーケストラは流麗な響きを聴かせてくれた。

ソニー「PCM-D100」からのライン出力でアナログ入力のサウンドも確認

さらに入力をアナログに切り替え、ソニー「PCM-D100」からのライン出力のサウンドも聴いてみる。こちらも解像度高くしなやかなサウンド傾向で、音像やオーケストラの余韻の厚みも深く、落ち着きある音色を聴くことができた。ディティールは滑らかで粗さはなく潤いに満ちている。接続する機器の特長をきちんと捉え、誇張なく表現してくれるが、ほのかに高域にかけての倍音の煌びやかさを乗せており、中低域のリッチさとの相乗効果でオーケストラやロックなどの音源は耳当たり良いゴージャスなサウンドとして楽しめる。

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