HOME > レビュー > あの高音質ストリーミングはラズパイオーディオで聴けるのか?

海上忍のラズパイ・オーディオ通信(8)

あの高音質ストリーミングはラズパイオーディオで聴けるのか?

公開日 2015/12/18 14:21 海上忍
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

ラズパイ・オーディオで高音質ストリーミングを楽しめる?

ストリーミングサービスの利用でもうひとつ課題となるのが、ユーザ認証システムだ。有償サービスの場合、正当な権利を持つユーザであることを確認する処理は不可欠であり、そのためのチェック機構が求められる。

VolumioがサポートするMP3ベースの再生系の場合、広告収入で運営される「WEBラジオ」という建前のためユーザ認証は必要ないが、Apple MusicやGoogle Play Musicといった有償サービスは軒並みシャットアウト。WEBブラウザでの再生がサポートされるGoogle Play Musicは、Volumioでもマウスとキーボードを使えば再生自体は可能だが、ユーザ認証が必須のためMPDでの利用は(少なくとも現時点では)難しい。

長い目で見たときの有償ストリーミングサービスを利用する適切な解法は、「APIの利用」だろう。たとえば、同じ有償サービスでもSpotifyはさまざまなAPIを公開しており、そのうちWeb APIを使えばWEBブラウザからの再生指示を実現するWebアプリを開発できる。「libspotify」というARMアーキテクチャをターゲットとしたライブラリもMITライセンスのもと提供されているため、より高度なストリーミング再生ソフトも開発可能だ。

個人的には、ロスレス配信もサポートする高音質ストリーミングサービス「TIDAL」に期待している。日本ではサービス開始されていないうえ、APIの公開も大々的には行われていないが(契約したメーカーには提供している模様)、現状ではHi-Fiのイメージから遠いストリーミングサービスを変える可能性がある。それを身軽なラズパイ・オーディオで楽しめるとすれば、プラットフォームとしての魅力も増すと考えるが、いかがだろうか。

あくまで現時点での解法を追求するのであれば、Volumio/MPD以外の構成を使うという手がある。たとえば、SqueezePlugの後継として展開されているディストリビューション「MAX2PLAY」は、ickStreamというLogitech Media Serverベースの音楽再生プラットフォームを利用すると、TIDALやDeezerのサービスを受信できる。GUIを利用した操作体系となるが、ひとつの解決策ではあるはずだ。

Spotifyのように開発情報を積極的に提供している企業のストリーミングサービスは、ラズパイでも利用しやすくなる日が来るかも

TIDALに拘らないのであれば、Mopidyという選択肢がある。こちらはMPD(Volumioにおける音楽再生の軸となるソフトウェア)およびWEBサーバの一式であり、Google Play MusicやSpotify Premiumなどの有償ストリーミングサービスをサポートしている。Volumio同様に、PC/スマートフォンのWEBブラウザから操作できることもポイントだ。Pi MusicBoxというディストリビューションを使えば容易に導入できるので、興味があれば試してほしい。

「Pi MusicBox」にWEBブラウザ(iPhone)からアクセスしたところ。Google Play MusicやSpotify PremiumのユーザIDを登録しておくことができる





ラズパイ・オーディオの電子書籍第2弾「Raspberry Pi 2対応「Raspi Audio」活用編」
ラズパイ・オーディオの電子書籍第2弾「Raspberry Pi 2対応「Raspi Audio」活用編」を、Amazon Kindleストアで発売開始しました(販売ページ)。その記念キャンペーンとして、第1弾・導入編を12月31日まで2.99ドル(通常価格は5.5ドル)に値下げさせていただきました。この機会にご覧いただけると幸いです。 

(海上忍)

前へ 1 2

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE