USB接続も可能
世界初、コンデンサー型Bluetoothスピーカーの実力とは? BenQ「treVolo」を試す
■コンデンサー型ならではの精緻かつ繊細な音
treVoloを開梱すると、左右側面のパンチングメタルが目に飛び込む。これがコンデンサースピーカーだ。観音扉とは反対に手前へ向かって開けると、フロントグリルのやや後方に左右スピーカーが並ぶ形となる。開けばB5サイズほどの表面積を持つスピーカーに早変わりするが、使用時以外は折り畳めばルータ程度の大きさになるという収納性がポイントだ。なお、開閉構造ではあるが、蝶番のつくりが精巧なためガタつきは皆無だ。
付属のACアダプタで充電し、スマートフォンとBluetoothのペアリングを完了させれば準備は完了。treVoloの実力を試すには、高効率/高音質コーデックの「aptX」で再生することが望ましいため、スマートフォンにはSONY Xperia Z Ultraをチョイスした。なお、コーデックはAACも(当然SBCにも)対応するため、iPhoneなどiOSデバイスでも利用できる。
専用アプリとして「BenQ Audioアプリ」が用意されているが、実はこのアプリには音楽再生機能は搭載していない。Bluetoothで再生するかぎり、利用するアプリは問われないため、自分好みのアプリを選べばいい。筆者の場合、ポータブルアンプへ出力することも多いため、「ONKYO HF Player」をチョイスした。あとは、出力先に「BenQ treVolo」を選択するだけだ。
その音は、精緻かつ繊細。中高域を担うコンデンサースピーカー用アンプの出力は0.1W+0.1W、ウーファーのダイナミックスピーカー用は5W+5Wという構成のため、低域寄りの音になりそうなものだが、4アンプ構成のマルチチャンネル駆動が奏功してか、全域のバランスはとれている。倍音成分と高域方向への伸びがもうひと息ほしいところではあるものの、パネルの前後に音が放出されるというコンデンサー型の特性ゆえか、奥行き感のある音場空間はtreVolo独自のものだ。ただし、音は立体的ではなく平面方向に広がるため、設置場所は耳の高さに近づけたほうがいい。
パッシブラジエーターにより低域に力強さがあるため、ポップスやロックも楽しめるが、treVoloの本領を発揮するのはソロ、もしくはアンサンブルだ。ピアノのアタック音は減衰がすばやく、細かなニュアンスが正確に伝わる。応答速度に利があるコンデンサー型ならではか、ギターの巻き弦に触れたときの微細な音までリアルに響く。treVoloの音場の広さを生かすのであれば、音数少なめなアコースティック中心の音源をゆったりと楽しみたい。
コンデンサースピーカーの特性をより深く知りたければ、USB接続を試すことをお勧めしたい。入力は最大48kHz/16bitのため、ハイレゾ再生には対応しないが、Bluetooth接続と比較したときのS/N感のよさは格別。ワイヤレスのメリットはなくなるものの、PCと組み合わせデスクトップで聴く、という新たな可能性が出てくるはず。
Bluetoothスピーカーにコンデンサー型という新たな風を吹き込んだBenQ。今後の新製品に期待するとともに、この場を借りてエールを送りたい。