AKGの高コスパイヤホンK324P/K374の後継機は?最新モデル「N20」と比較!
K324P/K374/N20、それぞれのサウンドの違いを探る!
― 外観としては3機種ともそんなに共通点はないですね。
岩井:K324Pはすごくシンプルなデザイン。オール樹脂製で、いま見ると少しレトロな雰囲気も感じますね。K374はヘアライン仕上げのアルミハウジングで、円柱型なので結構どっしりした印象です。
N20はアルミハウジングで、梨地加工のような光を優しく反射する仕上げ。柔らかなゴールドやブラックのカラーリングもいいし、オーバルシェイプを効果的に使ったデザインで、優雅で洗練された印象になっていますね。
― 実際、音的にはどうなんでしょうか?
岩井:じゃあまずはK324P/K374ともに、N20との音の印象を比較してみましょうか。
「K324P」は音像はソリッドで、中域成分が豊かなのでエレキギターの音は厚みのあるいい響きに聞こえますね。低域は少し太めですがハリ感があり、バランスのいい押し出し感です。ただ、ボーカルなんかは音ヌケの部分でもう一歩な印象もあります。N20よりレンジ感も狭めです。
― なるほど〜。
岩井:K374はいまだにフラグシップ機として君臨する「K3003」の流れを汲むモデル。K3003にも搭載されたダブル・ベンチレーション・システムを搭載し、低域の豊かさがより強くなった印象です。ただ引き締め感がちゃんとあり、濁ったりすることはありません。高域のハリや音ヌケもK324Pより良くなっていると思います。倍音の表現も豊かな“ゴージャス系サウンド”って感じですね。N20と比べると、メリハリがあってロック系に合いそうなサウンドだと思います。
― 「厚みはあるが音ヌケはあと一歩のK324P、メリハリのK374」、と。
岩井:そしていよいよN20のサウンドです。中高域の素性を丁寧にまとめた印象で、AKGらしい、締まりがよく澄んだ響きを爽やかに表現してくれます。低域はやや控えめですが、潤いやツヤ、滑らかさが感じられる音ですね。音像の密度も高い。ただハリ感はちゃんとありますし、芯の部分はソリッドさを残しているのでキレの良さもしっかり味わえますよ。個人的には「K324Pを音ヌケ良くワイドレンジ化させたうえで、K374のやんちゃな部分を抑えた、品位の高い大人びた音色」だなと感じます。
― N20は外観と同じくサウンドも洗練された、という感じでしょうか。
岩井:時代の変化とともに好まれる音は変わってきていますから、K324PやK374がいかに優れたモデルだったと言っても、そのサウンドをそのまま受け継いだモデルというのはないと思います。どんどん進化していくべきだと思いますしね。
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