音も機能も日本のリビングで使いやすい
“コンパクトで音が良い”を実現したサウンドバー。ボーズ「Solo 5 TV」レビュー
■リモコンからの低音調整と「ダイアログモード」にも対応
ところで、日本の家庭、特にマンションのリビングでホームシアターを導入する際に気になるのが、“低音の響き”だ。
Solo 5 TVは冒頭でも説明した通りワンボディ型で、低音はデフォルトでビートの刻みが小気味よく鳴るタイプであり、部屋を振動させるほどの重低音を出すことはなく、まさに日本の家庭向けのチューンといえる。しかし、広い部屋ではより迫力あるサウンドを求めたい、また、反対に夜中の視聴では家族に迷惑の掛からない程度に調整したいこともあるだろう。
そこで使えるのがリモコンに用意された「BASS」ボタンだ。ボタンを操作すると本体インジケーターが白く点灯、その状態でBASSボタンの上下で低音を調整できる。調整は5段階で切り替えることが可能で、最大ボリュームにすると、日本の家庭ではこれ以上は必要ないだろうというレベルに強烈なサウンドを繰り出す。反対にBASSを最小値にすると、その通り低音をほとんどカットするようになる。これなら深夜の映画視聴にも対応できるはずだ。
今回の取材では、テレビ放送番組も視聴してみた。歌番組を視聴すると、普通のテレビ内蔵スピーカーではメロディを中心に聴いているアイドルの楽曲が、Solo 5 TVを通すことでスタジオで歌っている位置感まで伝わってくるほどだ。歌番組を観る楽しみも増す。
加えてSolo 5 TVは「ダイアログモード」と呼ばれる、トーク番組などで人の声をより聞きやすくする機能も備えている。歌番組、ニュース、スポーツ、バラエティと様々なジャンルで試してみたが、特に効果があったのがトーク中にBGMのかかっている場面などで、声の明瞭感がしっかりアップして聞き取りやすくなる。また、意外な番組ではスポーツ中継でも効果を発揮した。低音が抑えられた結果、声の質感を変えずに実況音声のみを的確に鳴らすことができたのだ。
最後にSolo 5 TVのワイヤレス音楽再生も試してみた。手持ちのiPhone 6とのペアリングも、リモコンからBluetooth音声入力モードに切り替えるだけであっさり接続が完了した。J-POP、クラブ系、ジャズと様々な音楽を聴き込んでみると、中域に厚みがあってリズミカルな低音が響き、迫力のあるヌケの良いサウンドが楽しめる。特に薄型テレビ用と組み合わせる設計だけに音の空間再現に優れており、クラブ系音楽を聴いたときの音の包囲感は最高だ。
ボーズのスピーカーが小型でも高音質を発揮することは既存製品で実証済みだが、Solo 5 TVはその実力を、薄型テレビと組み合わせるサウンドバーで成功させた製品だ。BASSの個別調整機能など、特に日本のリビングで使いやすい機能も揃い、入門価格帯のワンボディサウンドバーの新定番モデルとなることだろう。
(折原一也)