ユニークな形と機能。だけど音は本格派
モノラルでハイレゾ? エレコムの新発想スピーカー “pianissimo” を聴く
■ハイレゾ音源の繊細なディテールまで見通せる
さて、ここからは音を確認していこう。スペックでも分かるとおり低域側はそれほど出ないが、そこで無理をしていないのでバスドラムは膨らみなくスパンとキレるし、ベースも同じく明瞭だ。
低域側のすっきり感と、モノラルではあるが独立トゥイーターを装備するおかげで、女性ボーカルの息遣い、アコースティックギターの弾けに含まれる弦の倍音感といった繊細なところも見えやすい。
アコースティック編成、そうでなくともシンプルな編成で音数の少ない曲とは相性がよいと感じる。例えば女性ボーカルなどは得意だ。ナイロン弦ギターのデュオ、FAKiEの曲などは、ギターがパシッと弾けて気持ちよい。
なお、以上の印象はハイエンドDAP「AK320」とのライン接続時のもので、これをiPhone SEとのBluetooth(AACコーデック)接続に変えると、やはりアタックは少し丸くなり、全体のクリアさも後退する。Bluetoothの圧縮伝送による音質上のデメリットも明確に提示してしまうわけだが、逆に言えばその違いがはっきりと分かる再現能力を備えているということになる。
またこのモデルはモノラルだが、トゥイーターの指向性が高いのでリスニングのスイートスポットはスピーカー正面だ。そこを外れると高域が減衰して音色もバランスも損なわれるので、ハイレゾをしっかりと聞きこむときなどは、そこはなるべく外さないようにしたい。もっともそれを逆に利用して高音を和らげ、穏やかな音で音楽を流しておくという使い方もできそうだ。
なお、この製品の使いこなしとして、サランネットを装着した状態の方がさらに音が良くなったことを特筆しておきたい。
ということで、本機の実力をフルに発揮するには、リスニングポジションを含めて少し工夫が必要だ。だがセッティングに敏感に反応する特性については、小型かつバッテリー駆動で様々な置き方を気軽に試せる本機であれば、チューニングを気軽に楽しめるとも考えられる。やはり「見た目通りに面白い」スピーカーという評価が適当だろう。