NC効果を12段階で調整可能
ボーズ初のノイズキャンセリング対応ワイヤレスイヤホン「QC30」レビュー
■効果MAXではトップ級のNC性能!効果を抑えたら外音もライブに聴ける
ペアリングとアプリ導入の準備もそこそこに、QC30を身に着けて早速地下鉄に乗車してみる。まずはQC30のノイズキャンセリング性能のみを試すべく音楽を流さず装着してみると、イヤホンタイプで従来体験した事がないほどの強烈な消音効果を実感した。
出荷時や初回接続時のノイズキャンセリング効果は最大に設定されており、地下鉄駅構内の雑踏や電車の走行音から来る騒音、空調の音までもほとんどカットされる。
QC30を身に着けて地下道を歩くと、周囲の騒音がカットされるため、自分の歩く“カツカツ”という靴音もクリアに聞き取れる。ユニークな体験だ。
レベル調整はリモコンの専用ボタンか、ペアリング済みのスマホにインストールしたアプリから調整する仕組みだ。リモコンボタンなら1ステップ単位、アプリではイヤホンの写真周囲のスライダーを回すことで直感的に調整できる。
繰り返すが、QC30のノイズキャンセリング効果は非常に強力だ。最大値では外部の騒音がほとんどカットされ、地下鉄の走行中であればレールが軋むような甲高い音が、そよ風が吹く音のように伝わる程度だ。
従来のノイズキャンセリングイヤホンではあまり消えない、人の声の帯域もカバーしており、男性の話し声は会話の内容が聞き取りにくいレベルにまで抑えられる。周波数の高い女性の声は内容がわかるレベルで、効果を最大にしても、車内アナウンスが女性車掌だったら問題ないだろう。
ノイズキャンセリングのレベルを最大値の12段階から落としていくと、9〜10段階のあたりが一般的な効果レベルで、ノイズキャンセリング特有の圧迫感を抑えながら、地下鉄の走行音もほとんどカットする。6段階目あたりまで下げると、ノイズをカットしながら周囲の音の“ライブ感”が現れ、男性の声や男性車掌のアナウンスもよりクリアに聞こえる。
ノイズキャンセリング効果が5段階目以下になると、騒音と呼ぶべき音も一定量聞き取れる。ただしそのままの外の音ではなく、例えるなら高性能マイクで録音した音をイヤホンで聴いているような、高感度で臨場感ある外音といった印象だ。最低レベルの1段階まで落とすとガヤガヤとした周囲の雰囲気まで伝わり始めるが、ノイズキャンセリング効果がまったくゼロになるわけではない。QC30のイヤーチップを外してみると、外の世界は更なる重低音の騒音で満ちている事を思い知らされる。
結局筆者がどの設定で使ったかというと、地下鉄の車内なら12段階中10段階あたりが消音効果と快適さでベストバランスと感じた。また、ショッピング街にもなっている地下道などを歩く時は、少しは外音も感じたいので5段階あたり。装着したままでこうした使い分けができるのは面白い試みだ。