NC効果を12段階で調整可能
ボーズ初のノイズキャンセリング対応ワイヤレスイヤホン「QC30」レビュー
■ボーズらしい重低音は確保しつつ、J-POPとの相性も良い
続いてQC30の音質をチェックしていこう。今回の音質検証は、基本的に実際の騒音がある地下鉄車内で音源を聴き込んだ。
まずはいつも試聴に使う宇多田ヒカルの『花束を君に』を聴いてみると、有線タイプも含めたボーズのイヤホンとしてはトップクラスと感じるほど音質の完成度が高い。ボーズの音質傾向というとクラブ系サウンドを想像する人も多いかもしれないが、QC30のサウンドは声の帯域をソリッドに立てるJ-POPとも相性が良い。
重低音は従来のボーズらしいボリュームを確保した上で、ベースやバスドラムの音も空間をたっぷり取った上で展開する。ボーカルのクリアさに加え、ライブ感もパワーも備えたダイナミックサウンドに昇華されている。
男性ボーカルのJロック音源、KEYTALKの『桜花爛漫』を聴いても、歌声も正確に立てつつエレキギターのエッジの刻みを鋭く引き出す。ゴリゴリとしたベースは量的な確かさと共に音空間たっぷりに表現。ライブ感あるサウンドは、ボリュームを上げてもベストバランスを維持する。
アコースティックな音源では、ジャズのSHANTI『Killing me Softy』を試聴した。中域のしっとりとした情報量と共に、音楽に引き込まれるような圧倒的な音空間を生み出す。やはりベースの沈み込みから来る臨場感が素晴らしい。
『スター・ウォーズ/フォースの覚醒 オリジナル・サウンドトラック』のメインテーマを聴くと、鮮烈なメインテーマのメロディと共にオーケストラの空間の立体感をスケール感たっぷりに再現する。コーネリアスの『Sensuous』では、アコースティックギターの音の強烈なセパレーションを極めて立体的に鳴らし分ける。
音質チェックを行いながらノイズキャンセリングのレベルを操作してみたが、10段階から1段階まで一気に下げても、再生音質の変化は感じ取れない水準だった。外音の多い環境で5段階以下に落とすと周囲の音も聞こえるし、なんとも絶妙なバランスでチューニングが行われていると実感した。
ボーズのノイズキャンセリングイヤホン新製品となる「QuietControl 30 wireless headphones」は、新機軸であるノイズキャンセリングコントロール機能の出来が素晴らしく、音質も日本人の好みに合う完成度の高いモデルだ。iPhone 7の購入などを機に、通勤・通学用のワイヤレスイヤホンを探しているなら、ベストの一台としてオススメしたい。