【特別企画】12段階でNC効果を調整可能
<実験>ボーズ「QC30」のノイズキャンセリングコントロール、シーン別 “最適値” を探る!
ここからは、実際に外出時におけるQC30の使用シーンを想定して、特にその可能性が高いであろう場所での実験結果をレポートしたい。リモコンと「Bose Connect」アプリによる操作で、シーンごとに12段階のなかから最適と思われるノイズコントロール設定値を探っていく。
■Case1:アウトドア/人混みの中
音楽を聴くためのノイズキャンセリング機能は、基本的には自分が激しく動き回る必要がなく、周りにぶつかりそうな人やモノもなければ機能がずっと「オン」でもいい。ところがスマホやオーティオプレーヤーに、ヘッドホン・イヤホンを組み合わせたアウトドアリスニングの場合は、ある程度周囲の環境音もモニタリングできた方がよい場合がある。街を歩きながら音楽を聴くシーンがその代表例だ。
QC30を身に着けて、今回まず最初に繰り出したのは銀座の中央通りだ。平日午後の時間帯だが、よく晴れて暖かかったので、外国人観光客も含めて買い物を楽しむ人々でたいそう賑わっていた。銀座中央通りは歩道の幅が十分に確保されているから歩きやすいのだが、視界に入らない後方から迫ってくる歩行者にはなかなか注意を向けにくいものだ。そしてもちろん、横断歩道を渡る時には車の走行音に細心の注意を払いたい。
Xperia XZにインストールした「Bose Connect」アプリの画面上で可変ノイズキャンセリング機能をコントロールしながらベストポジションを探す。音楽再生のボリュームは最大値から6〜7割ぐらいの位置に設定して、静かめな女性ジャズボーカルのミディアムバラード曲を選んだ。
可変ノイズキャンセリングは全12段階のうち「3」か「4」ぐらいに設定しても、まわりの歩行者の声や車の走行音が聞こえてくる。ただし、それは今回の実験を意識して、音楽を聴きながら周囲の音にアンテナを張っている状態だからであり、より音楽の方に集中を傾けていくと、どうしても環境音に対する感度が鈍くなってくる。おそらく街歩きの場合は「1」か「2」ぐらいの“弱め”に消音レベルを設定した方が安全だ。
QC30はハンズフリーコールにも対応するワイヤレスイヤホンなので、街中で音楽を聴いている時に電話がかかってきた場面も想定してみた。通話の音声についてもノイズキャンセリングイヤホンの方が、いたずらにボリュームを上げなくても相手の声がハッキリと聞こえるので便利だ。消音レベルは「4」か「5」の位置で通話の音声が隅々までクリアに聞こえる。ただしこれは立ち止まって通話している場合であり、歩きながら通話するならもっと消音レベルは下げて使いたい。
■Case2:地下鉄のホーム/電車内
次に、より騒音量の多い場所でQC30の実力をシビアにチェックしてみよう。東銀座から秋葉原へ、東京メトロの日比谷線で移動しながら試してみる。
まずはホームに電車が来ていない、比較的静かなタイミングで計測した。テストの音源と再生音量は街歩きで試した時点からそのまま変えていない。駅内の構内放送は消音レベル「7」ぐらいまでは十分に聞こえたが、「8」を超えると所々で聞こえづらく感じ出す。遅延情報や事故など、不意のタイミングにアナウンスがあった場合は聞き逃してしまうことも考えられるので、消音レベルは少し下げ気味にしておくことをおすすめする。
ホームに電車が滑り込んでくると周囲のノイズが盛大に響き出す。ノイズを回避することだけを考えれば消音レベルは最大の「12」がベストだが、混雑時には人にぶつからないよう安全性を優先して最大値までは上げない方がいいと思う。
車内に乗り込んで安全な場所を確保できたら、「8」から「12」の間にレベルを設定すれば快適な音楽リスニングが楽しめる。ただ、「8」以上に消音レベルを上げると今度は車内アナウンスが若干聞こえづらくなる。「5」以上であれば車輪がレールの継ぎ目を通過する時に発生する“ガタン、ゴトン”という音が、静かな音楽を聴けば少し気になるぐらいに抑えられる。土地勘のない出張・旅行先で地下鉄に乗る時には次の停車駅を知らせるアナウンスも自然と聞こえてきてほしいので、「5」前後が安心だ。
地下鉄・日比谷線の東銀座駅から、北千住方面に向かう列車に乗車すると、すぐ次の駅となる築地に向かうまでにほぼ90度の急カーブを曲がることになる。ふだん地下鉄に乗っていると周りの景色が基本的に真っ暗なので、電車が大きなカーブを曲がっていたり、急な坂道を上り下りしている様子がわかりにくいのだが、例えば90度近いカーブを曲がるタイミングでは“ギギーッ”と鋭くけたたましいブレーキ音が車内に鳴り響く。この時は素速くQC30のリモコンボタンで消音レベルを「10」から「12」の間に設定すれば快適な音楽リスニングが妨げられない。