<山本敦のAV進化論 第121回>
【連続レビュー】定額制音楽配信、現在の実力比較(1)「Apple Music」− 大幅刷新で何が変わった?
■ユーザーインターフェースのデザイン
iOS版は昨年秋のリニューアルで大きくUIのデザインやメニューの配置が変わった。Android版アプリはApple Musicのスタート時から基本的に据え置かれたままなので、iOSとオペレーションの感覚が少し違う。両端末で使い分けているユーザーにとってはちょっと違和感がある。
どちらの方がより使いやすく感じられるかは好みが分かれるところだろう。筆者はAndroid版の方が馴染みやすく感じる。例えばメニューの「New」がリニューアル後に「見つける」に変わり、検索機能と間違えてタップしてしまったり、そもそもレコメンド機能の「For You」もそうだが、メニューの意味合いが直感的に伝わりづらいように思うからだ。
iPhoneにiTunesからチェックアウトした楽曲と、Apple Musicから「追加」をチェックしたりダウンロードした楽曲がまとまって「ライブラリ」に放り込まれてしまうのも、最初はどうも馴染みづらい。反面、iOS版の新UIでは「検索」メニューが独立して、Apple Musicとライブラリのどちらを検索するか、ハッキリとして使いやすくなっている。
■検索の使いやすさ
先述の通り、新しいiOS版アプリはApple Musicとライブラリを区別しながら検索しやすくなった。Android版では全ての画面の上側に検索メニューが表示され、キーワードを入力するとApple MusicかMy Musicのどちらを探すかを選択する仕様だ。タイプしたキーワードの候補を先読み表示するインクリメンタルサーチのほか、いま話題になっているキーワードをきっかけに未知の名曲と出会える「トレンド検索」も便利。検索実行後のリストも、意中のアルバムや曲、プレイリスト、ラジオステーションにCONNECTからヒットしたものを気持ち良く整理整頓した状態で表示してくれる。
もしクラシックやジャズ、ダンスなど音楽のジャンルで未知の曲を探して聴きたい時には「見つける」>「ジャンル」から調べる方法が有効だ。ジャンル分けは過度にマニアック過ぎず、面白そうな曲をほどよい感じに探せる。
■レコメンド機能の特徴
Apple Musicは登場当初からレコメンド機能に力を入れてきた。「For You」のメニューを選択すると、ユーザーがラブを付けたり、再生した楽曲などの好みを学習しながら自動生成されたプレイリストのほかに、キュレーターと呼ばれる音楽に精通した専門スタッフがひとつずつハンドメイドしたプレイリストも並んで、音楽好きのハートを刺激する。機械学習のエンジンにはつくれない魅力があると言われている。
ライブラリに保存されている音楽も、聴けば聴くほどユーザーの好みに合わせてFor Youの中味が育っていく実感も得られる。プレイリストは「どれ、聴いてみようか」と思わせる粋なタイトルが付けられていたり、「はじめての○○」シリーズは、何となく気になっていたアーティストの楽曲と出会うよいきっかけになる。
あとはユーザーが投稿したプレイリストにも出会えるようになれば良いのに、と思っていたところ、刷新後のiOS版ではFor Youの中にフォローしているアーティストに関連した「Connect投稿」リストが並ぶようになり、仕組み自体は整った。もちろん、Connectの利用がもっと活発化することが課題として残るのだが。