【特別企画】FS U5 SLIM/BS U5 SLIMを試聴
エラック「Uni-Fi SLIM LINE」を聴く ー 名匠が手がけた同軸ユニット搭載スピーカー
エラックの最新スピーカー「Uni-Fi SLIM LINE」は、著名エンジニアであるA・ジョーンズ氏が、最も得意とする同軸ユニットを投入して作り上げたモデルだ。本シリーズのHi-Fi再生能力を探るべく、山之内正氏がステレオ再生に特化してレビューする。
■ドイツ語圏スピーカーブランドの人気を牽引するエラック
日本の音楽ファンは、以前から欧州メーカーのスピーカーを好んで聴いてきた。特に英国のブランドは私たちになじみ深いが、近年はドイツ、スイス、オーストリアなどドイツ語圏ブランドの人気が伸びている。
その人気を牽引するブランドが北ドイツのキールに本拠を置くエラックだ。創業90周年を迎えた歴史ある音響メーカーで、アナログ全盛期にはカートリッジやターンテーブルでも名を馳せた。その後JETトゥイーターなど独自技術を武器にスピーカーで成功を収めて今日に至るが、最近はアンプをはじめ、守備範囲をさらに広げたことも注目に値する。たしかな技術力がその裏付けだが、新しいテーマへの挑戦にも余念がないのだ。
著名なエンジニアのアンドリュー・ジョーンズ氏を迎え入れたことも、同社のチャンレジ精神を象徴するエピソードのひとつと言えるだろう。ジョーンズはKEF、インフィニティ、TADと英米日の名門ハイファイ・ブランドでスピーカー開発を手がけ、いまはエラックで新製品開発に腕を振るう。そのジョーンズが完成させた最新作「Uni-Fi SLIM LINE」が今回の主役である。
■A・ジョーンズが得意とする同軸ユニットを中高域に採用
同シリーズの注目すべきポイントは、まずは中高域に独自開発の同軸ユニットを採用したことだ。ジョーンズはこれまで在籍したすべてのメーカーで同軸ユニットの開発に関わっており、「同軸ユニットのマイスター」とでも呼ぶべき存在。その彼がエラックで最初に手がけたDebutシリーズは、同軸ではなく、通常形式のユニットだけで構成したエントリーグレードの製品だった。今回、彼が最も得意とする技術を全面的に投入することで、どんな成果を上げているのか、興味は尽きない。
同軸ユニットの口径と構造はシリーズ全モデルに共通する。トゥイーターは25mm口径のシルク振動板を採用したドーム型、ミッドレンジは100mm口径のアルミを振動板に採用。両者を駆動する磁気回路にネオジウムマグネットをあえて選択し、中高域のエネルギー密度を確保していることにも注目したい。上のクラスのスピーカーならともかく、Uni-Fi SLIMのような準ミドルクラスの製品にネオジウムマグネットを採用する例はかなり珍しく、音質への強いこだわりをうかがうことができる。
単一ユニットで270Hzから25kHzまでの広い帯域を再生するメリットはあらためて指摘するまでもないだろう。音源の位置が揃うことに加え、中域から高域にかけての良好なつながりや自然な指向性の実現も期待できる。
ウーファーも新たに開発されたもので、13.5cm口径のアルミ振動板をシリーズ共通で採用する。ブックシェルフ型の「BS U5 SLIM」はウーファー1個、フロア型の「FS U5 SLIM」は同じ音域で3個のウーファーを駆動するため、どちらもユニット構成はシンプルな3ウェイとなる。
■サイズを抑えつつ剛性を高めた特別仕様のキャビネットを採用
MDF製のキャビネットはウーファーのサイズぎりぎりまで横幅を切り詰めたスリムなサイズにまとめられている。それがシリーズ名の由来なのだが、そこにはもう一つ重要な背景がある。
実はUni-Fiはエラックの新しい主力シリーズとして北米でも発売されたのだが、そちらは「SLIM」が付かないオリジナル仕様で、キャビネットもひとまわり幅が大きく作られている。
一方のSLIMラインは欧州と日本を主なターゲットにした特別仕様で、キャビネットの幅を狭めて設置性を高め、さらに仕上げを上質なサテンブラックに格上げしていることが特長だ。幅を抑えた分だけ奥行きを若干伸ばしているので、実質的なキャビネットの容積はオリジナルとほとんど変わらないが、補強桟などの剛性対策と音響チューニングはSLIMラインの方が一歩踏み込んでいるという。ユニット自体は共通だが、キャビネットを変更してプレミアム仕様に仕上げたと理解すればよい。
市場に合わせた仕様変更はよくあることだが、今回はかなり思い切った手法ではある。日本市場向けに音質を吟味した製品を投入したことは、もちろん大歓迎だ。大型のターミナルやマグネット式のグリルなど、細部の作りの良さも一クラス上の製品に匹敵する。
■ドイツ語圏スピーカーブランドの人気を牽引するエラック
日本の音楽ファンは、以前から欧州メーカーのスピーカーを好んで聴いてきた。特に英国のブランドは私たちになじみ深いが、近年はドイツ、スイス、オーストリアなどドイツ語圏ブランドの人気が伸びている。
その人気を牽引するブランドが北ドイツのキールに本拠を置くエラックだ。創業90周年を迎えた歴史ある音響メーカーで、アナログ全盛期にはカートリッジやターンテーブルでも名を馳せた。その後JETトゥイーターなど独自技術を武器にスピーカーで成功を収めて今日に至るが、最近はアンプをはじめ、守備範囲をさらに広げたことも注目に値する。たしかな技術力がその裏付けだが、新しいテーマへの挑戦にも余念がないのだ。
著名なエンジニアのアンドリュー・ジョーンズ氏を迎え入れたことも、同社のチャンレジ精神を象徴するエピソードのひとつと言えるだろう。ジョーンズはKEF、インフィニティ、TADと英米日の名門ハイファイ・ブランドでスピーカー開発を手がけ、いまはエラックで新製品開発に腕を振るう。そのジョーンズが完成させた最新作「Uni-Fi SLIM LINE」が今回の主役である。
■A・ジョーンズが得意とする同軸ユニットを中高域に採用
同シリーズの注目すべきポイントは、まずは中高域に独自開発の同軸ユニットを採用したことだ。ジョーンズはこれまで在籍したすべてのメーカーで同軸ユニットの開発に関わっており、「同軸ユニットのマイスター」とでも呼ぶべき存在。その彼がエラックで最初に手がけたDebutシリーズは、同軸ではなく、通常形式のユニットだけで構成したエントリーグレードの製品だった。今回、彼が最も得意とする技術を全面的に投入することで、どんな成果を上げているのか、興味は尽きない。
同軸ユニットの口径と構造はシリーズ全モデルに共通する。トゥイーターは25mm口径のシルク振動板を採用したドーム型、ミッドレンジは100mm口径のアルミを振動板に採用。両者を駆動する磁気回路にネオジウムマグネットをあえて選択し、中高域のエネルギー密度を確保していることにも注目したい。上のクラスのスピーカーならともかく、Uni-Fi SLIMのような準ミドルクラスの製品にネオジウムマグネットを採用する例はかなり珍しく、音質への強いこだわりをうかがうことができる。
単一ユニットで270Hzから25kHzまでの広い帯域を再生するメリットはあらためて指摘するまでもないだろう。音源の位置が揃うことに加え、中域から高域にかけての良好なつながりや自然な指向性の実現も期待できる。
ウーファーも新たに開発されたもので、13.5cm口径のアルミ振動板をシリーズ共通で採用する。ブックシェルフ型の「BS U5 SLIM」はウーファー1個、フロア型の「FS U5 SLIM」は同じ音域で3個のウーファーを駆動するため、どちらもユニット構成はシンプルな3ウェイとなる。
■サイズを抑えつつ剛性を高めた特別仕様のキャビネットを採用
MDF製のキャビネットはウーファーのサイズぎりぎりまで横幅を切り詰めたスリムなサイズにまとめられている。それがシリーズ名の由来なのだが、そこにはもう一つ重要な背景がある。
実はUni-Fiはエラックの新しい主力シリーズとして北米でも発売されたのだが、そちらは「SLIM」が付かないオリジナル仕様で、キャビネットもひとまわり幅が大きく作られている。
一方のSLIMラインは欧州と日本を主なターゲットにした特別仕様で、キャビネットの幅を狭めて設置性を高め、さらに仕上げを上質なサテンブラックに格上げしていることが特長だ。幅を抑えた分だけ奥行きを若干伸ばしているので、実質的なキャビネットの容積はオリジナルとほとんど変わらないが、補強桟などの剛性対策と音響チューニングはSLIMラインの方が一歩踏み込んでいるという。ユニット自体は共通だが、キャビネットを変更してプレミアム仕様に仕上げたと理解すればよい。
市場に合わせた仕様変更はよくあることだが、今回はかなり思い切った手法ではある。日本市場向けに音質を吟味した製品を投入したことは、もちろん大歓迎だ。大型のターミナルやマグネット式のグリルなど、細部の作りの良さも一クラス上の製品に匹敵する。
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