テレビ・PC・格安スマホでテスト
開幕直前、DAZNのJリーグ中継は“使える”か? Jサポーター記者がチェック
最も気になったのが、カメラのアングル移動時に画面が少しカクつく感じがすること。例えばディフェンスラインから相手ディフェンスラインの裏のスペースへロングボールが蹴られた際など、画面移動が滑らかにいかず、引っかかるような印象を受けることが多かった。要するにフレームレートが足りていない。
この現象はノートPCで全画面視聴した際も同様だった。また、最高でフルHDでの視聴が行えるとしているが、記者が試した限りではフルHDまでの画質が出ているとは感じられなかった。
テスト時の回線状況など環境の問題である可能性もゼロではないが、DAZNがHD画質ストリーミング時に推奨している9.0Mbps以上が出ていても上記のように感じられたたため、おそらくDAZN側の問題だろう。
一方、スマートフォンでの視聴には特に不満を感じることはなかった。FREETEL SAMURAI REIという、いわゆる格安スマホで試したが、端末スペック不足で動作が重くなるようなこともなかった。ある程度の回線状況さえ確保できれば、外出先でもスムーズに試合をチェックできそうだ。
そのほか放送と違って、インターネット配信は原理的にアクセスが集中すると中継が遅れたり止まってしまったりする可能性がある。この点を心配する声も多く聞こえる。
記者は「DAZNニューイヤーカップ」のジュビロ磐田対ロアッソ熊本戦で、この問題に遭遇した。横浜F・マリノスから移籍してきた中村俊輔の出場で注目が高かったからか、中継中に一度だけ映像が2〜3秒止まってしまった。確認のため、スマホで見逃し配信の試合を同時に流していたが、そちらは止まること無く配信されていたので、生中継配信への視聴集中が原因だろう。
なおDAZNでは、中継カメラを増やすことも発表している(関連ニュース)。J1の場合、2016年シーズンまでは6台のカメラを配置していたところ、2017年シーズンは9台に増設。注目試合では、カメラの数をさらに増やしたり、スーパースローモーションカメラの設置も予定している。さらに臨場感溢れる映像が期待できるが、今回記者が見たのはプレシーズンマッチであり、カメラ増設による効果は確認できなかった。
■ユーザーの声でDAZNの発展を促したい
このように、プレシーズン段階ではまだ不安の残る結果となってしまったDAZN。以前の発表会では同社スタッフから「順次サーバ設備などの増強を行っている」とのコメントを聞くことができたので、それを信じて早急な改善に期待したいところだ。
また、見逃し配信が試合後30日間で消えてしまうのも残念。ジェームス・ラシュトンCEOは「ユーザーからの声が多ければ期間を伸ばしたり、将来的にダウンロード視聴対応も検討する」と語っているが、この点もぜひ期待したい。
なお、念のため申し添えておくと、不満は残るものの、問題外というほどではない。画質面も、筆者の個人的な感覚では、一応は及第点レベルと言える(とにかく試合中に止まらないようにすることだけは頑張って欲しいが)。
前述したように記者はJ3チームを応援しているため、J3全試合中継という点だけでも個人的にはすでに“神サービス”ではあるのだが、それでもやはり、特に画質面での改善は要求したい。海外サッカーやサッカー以外のスポーツも追加料金なしで見られるのは大きな魅力だが、Jリーグファンは何より自分のチームの試合を安定した状態で、できれば高画質で見たいのだ。
試合中継だけでなく、様々な面でJリーグへの投資を表明しているDAZNだけに、まずは配信コンテンツ再生の環境整備にもぜひ期待したいところ。過去の会見では「ユーザーからの声が多ければ」「ユーザーの反応を見て」といった類の発言が多く聞かれたので、我々ユーザーも積極的に声を上げ、要望を届けていくべきだろう。